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ふぇみんの書評

もうひとつの占領 セックスというコンタクト・ゾーンから

茶園敏美 著

    もうひとつの占領 セックスというコンタクト・ゾーンから
  • 茶園敏美 著
  • インパクト出版会2400円
戦後、占領軍兵士を迎えた女たちの側から描いたもうひとつの占領の書。占領期の性暴力を問い直す研究を行う著者が、占領当時の「街娼の調査報告書」「レイプに関するGHQ報告書」「生き証人の語り」に基づいて分析する。全国に駐留した占領兵が休暇を過ごした京都が背景。  占領兵と性的関係のあった、17歳から36歳の女性、63人に焦点を当て、レイプ、売買春、恋愛、結婚及びその連続体での生き延び方(“生存戦略”)を考察した。レイプをきっかけに占領兵相手に稼ぎまくる女性。高級将校の疑似結婚生活の“オンリー”になる女性。夫が戦地から帰らず、子ども4人と暮らす自宅で客をとる女性。3分の1は相手の帰国で別れる。  シングルマザーになり子どもと共にひっそり暮らす女性。養育にお金をかけ、占領者の子として育てる女性。帰国した占領兵が子どもだけを受け取りに来たが拒否した女性…。子どもを巡る事例も興味深い。(澄)

OKINAWA1965

都鳥伸也、都鳥拓也 著 佐野亨 編

  • OKINAWA1965
  • 都鳥伸也、都鳥拓也 著 佐野亨 編
  • 七つ森書館1800円
1965年。報道写真家の嬉野京子さんは米軍占領下の沖縄で米軍トラックに轢殺された少女を「命がけで」撮った。50数年後、写真を目にして「一緒に映画を作りたい」と嬉野さんに申し出た若者たち。映画『OKINAWA1965』は、かくして生まれた。  30代の都鳥兄弟が嬉野さんを通じて出会った人びとから聞いた沖縄戦、アメリカの統治時代、本土復帰…映画に収めきれなかったあふれる思いを書き綴ったのが本書である。「ヌチドゥタカラの家」の謝花悦子さん、ガマで遺骨発掘を続ける具志堅隆松さん、米兵で平和活動家のアレン・ネルソンさんらの話から、かつては島ぐるみ闘争、現在はオール沖縄で、常に闘いを強いられる沖縄の姿が見える。  同世代の若者にマイクを向けると、短大の卒業式に米兵の彼氏が迎えに来てくれるのが憧れと語る若者も。さらに恐ろしいのは、無関心が社会を動かしてしまうこと。だが、気づいた人が立ち上がるとき、この本は力になる。(室)

刑務所しか居場所がない人たち 学校では教えてくれない、障害と犯罪の話

山本譲司 著

  • 刑務所しか居場所がない人たち 学校では教えてくれない、障害と犯罪の話
  • 山本譲司 著
  • 大月書店1500円
刑務所ってどんなところ? この小さな疑問から、障害や貧困に関する社会の課題をわかりやすく明らかにする書。実際に服役経験を持つ著者は、受刑者の10人に2人が知的障害者であること、年々高齢化が進み、同じ受刑者の立場の者が介護を担い、刑務所が福祉施設のような機能を持たざるを得なくなっている実態を伝える。  知的障害者が罪を犯す動機は生活苦が最も高く、特に出所後の住居や就労が不安定な人は再犯もしやすい。2006年に監獄法が受刑者処遇法に改められてからは再犯防止のための矯正教育にも力が入れられているが、就労支援や地域定着支援制度はあっても、社会の理解はまだ途上だ。  障がい者や高齢者を含む犯罪には、司法の問題ではなく福祉の問題があると著者はいう。犯罪者を刑務所に追いやるのでなく、誰も排除しない社会こそが、安全な社会だと考えさせられる。(梅)
【 新聞代 】(送料込み)
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 6カ月4,500円、1年9,000円
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 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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