WOMEN'S DEMOCRATIC JOURNAL femin

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ふぇみんの書評

ソウルの市民民主主義

白石孝 編著

    ソウルの市民民主主義
  • 白石孝 編著
  • コモンズ1500円
官製ワーキングプア問題等の社会運動に長年取り組んだ編著者が、社会変革の行動モデルを韓国に求めた意欲的な書。  朴元淳市長のリーダーシップの下、ソウル市はめざましく改革を進める。2011年に当選するや、公約達成の評価システム(ほぼ100%達成も!)、財政改革(財政評価方法を明確化)、それに公共部門(市職員等)の非正規労働者の正規職化などを進めた。なんと、人件費は削減されたという。  市民も改革の主役だ。市民団体「参与連帯」や、労働団体が各年代に浸透し、社会運動を牽引する。  改革を表明すると「財源はどこに?」と否定的な日本と比較してしまう。編著者は50回以上訪韓し、市民団体や現場の人々、朴市長とも話をし、調査も行い、日本との違いを明らかにした。朴市長の文章やソウル市の女性政策、貧困と格差是正に関する日韓社会の比較論考も大いに参考になる。社会を変える民主主義のため、希望も見えてくる一冊。(三)

北欧に学ぶ小さなフェミニストの本

サッサ・ブーレグレーン 著 枇谷玲子 訳

  • 北欧に学ぶ小さなフェミニストの本
  • サッサ・ブーレグレーン 著 枇谷玲子 訳
  • 岩崎書店1500円
 娘にフェミニズムを伝えたいと思うけれど、「権力関係」だの「家父長制」だのと言ってしまう私。本書はスウェーデン発の子ども向けの本だが、平易な言葉でフェミニズムの真髄をズバっと突く。  主人公は10歳の女の子、エッバ。ある朝新聞を見て気づく。「なんで世界の権力者って似たようなおじさんばっかり?」。エッバは早速調査開始。女性参政権運動の歴史、性別役割分業、女性運動家たちの活動…。いとこや祖母に相談し、友達とフェミ・クラブを結成。祖母の言葉がいい。今私たちが恵まれているのは「昔の女の人たちが、権利を勝ち取ってきたから!」  難しい言葉はない。「権力がある」状態や、「支配の手口」を友達同士や親子関係も例に説明。そう、フェミニズムは全ての人に必要な人間解放の思想。ラストは国際女性デーのデモで、エッバたちは「わたしはわたし、ぼくはぼく。そのままの自分でいさせて」と叫ぶ。自分を丸ごと愛する勇気と情熱を全ての子どもに。(登)

〈食といのち〉をひらく女性たち 戦後史・現代、そして世界

佐藤一子、千葉悦子、宮城道子 編著

  • 〈食といのち〉をひらく女性たち 戦後史・現代、そして世界
  • 佐藤一子、千葉悦子、宮城道子 編著
  • 農山漁村文化協会2500円
「食といのち」を守り続けているのは、女性たちの力である。その機知と勇気がどんな苦境にも挑戦する。本書は、農村女性の過重労働、原発事故による放射能との闘い、子どもの貧困などを背景に、外国の例なども挙げ、「食」を通した新しい社会活動を担う女性たちのレポートである。  「食」は常に社会状況や自然環境により危機的な状況に陥る。戦争、貧困、気候変動、巨大資本は脅威である。私たちはそれに闘い続けなくてはいけないし、闘いはエネルギッシュで明るく楽しくなければ意味がないとこの本は訴える。  日本は今年4月、「バイオ化学企業」モンサントの世界戦略に“寄り添う”ように種子法を廃止した。これは生物多様性をも否定する「食といのち」の危機である。私たちはそれに打ち勝つ知恵を捻り出さなくてはいけない。そのヒントが本書にはある。有機農法による地産地消の運動や女性主体の共同体、生活協同組合の発想など、闘い方の術があるからだ。(ぶ)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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