WOMEN'S DEMOCRATIC JOURNAL femin

  • HOME
  • >
  • ふぇみんの書評

ふぇみんの書評

「女子」という呪い

雨宮処凛 著

    「女子」という呪い
  • 雨宮処凛 著
  • 発行 集英社クリエイティブ 発売 集英社1100円
「女子」でいるって本当にしんどい。男性がつくり上げた価値観の中で常にバカなふりをし続け、セクハラを笑顔であしらうことがたしなみみたいに誤解されている。これはもう「呪い」。でも社会で生きていくためにはその呪いを内面化せざるを得ない。そんな著者の実感は、自身がさまざまなつらさを抱えていた10代から、上京し、同郷の友人が次々と風俗産業などで働き、自身もキャバ嬢として生活した1990年代に遡る。同世代の中には、身も心も消費されボロボロになった人や亡くなった人もいる。 一方で、セーラー服歌人・鳥居さんのように、虐待と孤立のなかホームレスになり過酷な体験をしながらも生き延びた人たちのことも書かれる。孤独や傷つきを抱えても、寄り添い、仲間とつながることで、生き直しはできるのだと希望が持てる。  いまだはびこる女性差別に立ち向かう第一歩として提案される男と女の入れかえ「必殺・フェミ返し」もぜひ実践したい。(梅)

赤ちゃん本部長1

竹内佐千子 著

  • 赤ちゃん本部長1
  • 竹内佐千子 著
  • 講談社700円
 ある日、体だけ生後8カ月(とみられる)赤ちゃんとなった、株式会社モアイの営業一課本部長・武田、47歳。本部長の世話をするのは個性豊かな3人の部下たち(男性)。奇想天外な展開の本書は、本紙マンガでおなじみ竹内佐千子さん作のコミックだ。  男社会の中で権力を持つ本部長が赤ちゃんとなったことで、周囲にさまざまな気づきと影響を与える。お昼寝が必要で、便意も堪えきれない本部長のために会議を効率化、オムツ替えやミルク作りは必須のスキル、本部長のお世話で営業一課が一丸となる。家庭を顧みずに仕事に邁進してきた役員たちは本部長を抱っこして人生を振り返り、心を病む社員が本部長には本音を話し、本部長も女性社員と外出し「ママ」への視線に気づく…。  ギャグ漫画だが、ケア責任を女性だけに負わせて公的な場から排除する日本社会の構造や文化に対する荒療治とも言え、多様性やワークライフバランスの示唆も。今度は「赤ちゃん総理」を!(登)

現代オリンピックの発展と危機 1940-2020 二度目の東京が目指すもの

石坂友司 著

  • 現代オリンピックの発展と危機 1940-2020 二度目の東京が目指すもの
  • 石坂友司 著
  • 人文書院2500円
 2020年の東京五輪まで、あと2年と迫る。スポーツ社会学の専門家が、政治・経済・社会など多面的に五輪を考える書。  さまざまな五輪トリビアに引き込まれた。マラソンの距離、五輪アマチュアリズムの出自、「東洋の魔女」出現のそもそも…。実に、政治利用や商業主義は近代五輪誕生当初から懸念され、ボイコットはモスクワ五輪前から常態化。効率よく政治的アピールができるからだ。そして、スポーツがつくり出す多くの「物語」―勝者/敗者の美談・ドーピング検査を隠すためのクリーンイメージづくり・「レガシー(遺産)」という名の下の開発。からくりを知れば、作り上げられた五輪の裏側が理解できる。  さて、東京五輪は? 政治家を組織委のトップにおくことでスポーツの自律性が失われるという言葉は重要だろう。このまま無邪気に五輪を進めていいのか。五輪リテラシーが求められる。(三)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
このページのTOPへ