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ふぇみんの書評

暮らしのなかのボイコット 消費者市民としての50年

富山洋子 著

  • 暮らしのなかのボイコット 消費者市民としての50年
  • 富山洋子 著
  • 現代書館2000円
著者は「日本消費者連盟」(日消連)の創立時からのメンバーで、現在は顧問。食の安全、合成洗剤追放、公害・原発などの問題に長く取り組んできた(日消連とふぇみんが一緒に運動したことも多い)。1974年、東京電力の電気料金大幅値上げに反対し、「原発のためのお金は払わない」と、旧料金で払う運動を仲間と始め、現在も継続中とのこと。不買・不払い運動は、国家にも資本にも対峙する「市民的不服従」を体現する「非暴力直接行動」であるという。  3・11前から全国の反原発運動の人々と関わり、原発誘致で地域は衰退するということ、風力発電には問題もあり、再生可能エネルギーは風土・地域の特性を活かすべきという主張には説得力がある。  風土は単なる自然ではなく、人間の資質、社会関係、文化等、地域の生活の総体であり、いのちを大切にする地域住民の自治の力が原発や戦争を止めるという言葉が心に響く。地域の力を希望にしたい。(く)

水俣・女島の海に生きる わが闘病と認定の半生

緒方正実 著 阿部、久保田、高倉、牧野 編

  • 水俣・女島の海に生きる わが闘病と認定の半生
  • 緒方正実 著 阿部、久保田、高倉、牧野 編
  • 世織書房2700円
 水俣病というレッテルを貼られることに抵抗し、認定申請はしないと決めて生きてきた著者・緒方正実さんは、38歳のとき、一つの区切りをつけようと「政府解決策」に申請する。しかし意外にも、結果は「非該当」。驚いた著者は、行政を問いただし、その過程でいかにずさんで人権意識を欠いた物差しで被害者が扱われてきたかを見出す。「組織」としてふるまおうとする行政の一人ひとりに粘り強く語りかけ、謝罪や是正、ついにはほとんど不可能とも言われる「原処分破棄・差し戻し」「認定」を勝ち取った闘いは、著者にとって、逃げ続けてきた水俣病と真正面から向き合い、被害の事実とともに一人の人間としての自分の存在を「証明する」闘いでもあった。  公式確認から61年。「終わった」ことにされかけていた水俣病は、こうして「いま・ここ」の闘いとして、わたしたちの目の前にまた提起される。「解決」しえない苦しみと、闘いの中で見出された尊さや希望とともに。(さ)

フランス人ジハーディスト 彼らはなぜイスラム聖戦士になったのか

あごら九州 編

  • フランス人ジハーディスト 彼らはなぜイスラム聖戦士になったのか
  • ダヴィッド・トムソン 著 小沢君江 訳
  • 緑風出版2200円
  2015年のパリ同時多発テロなど、フランス国籍のイスラム過激派によるテロが続く。彼らはなぜ「ジハーディスト」(イスラム聖戦士)になったのか。  著者はジャーナリスト。11年から3年間、18人のフランス人ジハーディストにインタビューを続けた。「テロを起こすのは移民の子。貧困と差別が根底にある」。そんな常識は、ほんの一面だ。生活も家族関係も順調な若者が、現代社会特有の疎外感の中で、生きる意味を考え、絶対的な神を求め「聖戦」にたどりつく。改宗方法も思想も、グーグル検索で入手できる。「戦って死ぬことだけが来世の楽園を約束してくれる」と洗脳されれば、自爆も怖くない。ジハード結婚など多様な生き方も示される。  彼ら彼女らにとって「非イスラム」は罪悪であり、「反イスラム」はテロ攻撃の対象だ。トランプの米国が再びテロの標的になるのは時間の問題だし、日本も例外ではありえない。私たちはこの現実から出発するしかないのだ。(矢)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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