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ふぇみんの書評

女性記者が見る基地・沖縄

島洋子 著

  • 女性記者が見る基地・沖縄
  • 島洋子 著
  • 高文研1300円
 1960~70年代の沖縄・コザで育った著者は、大学で報道を学び、琉球新報の記者になる。安倍政権が沖縄の民意をつぶした時期の東京支社勤務を経て、今春、政治部長として沖縄に戻った。  冒頭、今年4月の女性殺害事件を挙げ、基地と性暴力事件への怒りを綴る。女性で沖縄人で記者である著者の言葉が、重く鋭く響く。続く章で、沖縄にまつわる誤解(基地で食っている・多額の振興予算を得ているなど)を糾弾。  圧巻は翁長知事当選直後の、菅官房長官への単独インタビューだ。選挙結果や基地建設工事強行の真意を突くが、相手は木で鼻をくくる得意の「粛々」を連発する。その様子に、むず痒さと怒りがこみ上げる。  しかし憤りばかりではない。一転、後半は著者が担当したコラム「金口木舌」が並ぶ。官房長官とのインタビュー直後には「粛々」を嗤い、難しい話題をひねってちょっと笑わせる。人としての意地が読み取れ、心で拍手する。(三)

倒せ! 独裁 アウンサンスーチー政権をつくった若者たち

山本博之 著

  • 倒せ! 独裁 アウンサンスーチー政権をつくった若者たち
  • 山本博之 著
  • 梨の木舎2000円
国外から民主化を求める声明をファクスで受け取った、印刷物を配布した…ささいな罪で多くの若者が5年、10年の刑に処され獄につながれた。だが、彼らは刑務所の壁に穴をうがち、英語の雑誌や辞書を隠し持って獄中で学び合い、出獄後はジャーナリストとなった者もいた。それは、人々を無知におこうとする政府の意図を覆し、アウンサンスーチーの〈知性を磨き、自分を変えねばならないときには変えられる能力をもつこと〉に応えるものだった。獄中にありながら諦めることのない姿に、胸が熱くなる。  著者は新聞記者としてビルマを取材、さらに取材の時間をつくるため退職してビルマに向かい、獄中であるいは市井で非暴力で抗い続けた人々の体験をつづる。  ビルマはようやく民主化への緒に就いたばかりだ。独裁政権により、経済は疲弊し、教育も衰えた。これからの道は険しいにちがいない。だが、希望はある、実現する人たちがいると確信する。(ね)

認知症の人とのおつきあい 家族の心をととのえる対応と工夫

認知症の人と家族の会 東京都支部 編

  • 認知症の人とのおつきあい 家族の心をととのえる対応と工夫
  • 認知症の人と家族の会 東京都支部 編
  • 三一書房1500円
認知症高齢者を抱える家族の相談に応じ、家族会を開いてきた団体の相談事例を基に認知症患者とのつきあい方を指南する書。  65歳以上の高齢者の7人に1人は認知症の時代、情報量がふえたとはいえ、介護者の負担が軽減されたとはいえない。認知症の人とのつきあいは日々厄介だ。攻撃的になったらそばを離れる、車の運転をやめてほしいときは医者など「他人」に言ってもらうなど、特性に応じた対処法がある。でも性的な言動を「やんわりたしなめる」のは無理かも、と思う。  症状は改善もできる。多剤服用が気になり医師に相談して薬を減らしたらせん妄も減った例や、糖尿病症状の改善で認知症も軽減された例もある。  とにかく介護は「抱え込まない」が基本。短い時間でも介護から離れ自分の時間を確保するために、巻末の相談先リストや介護保険サービスはぜひ知っておこう。誰もが認知症と無関係ではいられない時代、手元に置きたい本。(梅)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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