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ふぇみんの書評

サバイバー 池袋の路上から生還した人身取引被害者

マルセーラ・ロアイサ 著 藤原志帆子、安田浩一 解説

  • サバイバー 池袋の路上から生還した人身取引被害者
  • マルセーラ・ロアイサ 著 藤原志帆子、安田浩一 解説
  • ころから1800円
 21歳のコロンビア人女性が、日本の性産業で働かされた記録。  ブローカーの手引きで日本に送られ、日常は同国の女性マネジャーに管理され、日本のヤクザの支配下にあった。路上での売春、個室での「サービス」等々。家族のためとはいえ来日した後悔、恥辱、恐怖、無力感、怒り、正義感などが交錯する思いと共に語られる。初めての路上で目の当たりにした、中国マフィアに殺害される女性。仲間を救う行動でさらに酷い目に。大使館に逃げ込み帰国。その後、心の平安を願い受けたセラピーで勧められ、綴ったのが本書。  日本は人身取引大国と指摘され続け、2005年、刑法に「人身取引罪」が制定された後は減少。いま著者は「サバイバー」として、講演もする。日本から逃れて15年になっても、「恐怖は、消えない」という。彼女を始め、フィリピンやタイの少女・女性が人身取引の被害者になった。彼女たちが、トラウマから回復し平穏に過ごしていてほしいと心から願う。(澄)

そこが知りたい電力自由化 自然エネルギーを選べるの?

高橋真樹 著

  • そこが知りたい電力自由化 自然エネルギーを選べるの?
  • 高橋真樹 著
  • 大月書店1600円
 4月から自由化となったものの、何をどう考えて電力会社を選べばいいのか決めかねていたところ、この本に出合えてよかった。  電力自由化といっても、さまざまな問題がある。1つが発送電分離の問題。現段階では透明性、公平性が確保されているとはいい難い。電源構成の表示義務化も課題だ。また、原発はもちろんだが、世界的には石炭や化石燃料発電による環境汚染も深刻な問題となっている。自然エネルギーは推奨したいが、立地や気候条件、土地の景観などにも配慮が必要だ。  今、さまざまな地域で発電事業が始まっている。一部を自治体が出資している事業や、小規模でも地域に根差した発電を行う企業体、生協もある。   自分たちのエネルギーを自分たちでつくり循環させる。この取り組みにかかわることって、意外におもしろい。いまある課題にも、消費者として堂々と改善要求していこう。エネシフアクションの楽しさが満喫できる一冊。(梅)

科学者と戦争

池内了 著

  • 科学者と戦争
  • 池内了 著
  • 岩波書店780円
日本では軍(防衛省・自衛隊)と学(大学・研究機関)との共同研究(=軍学共同)が急展開。本書は、実態を描いて社会に警鐘を鳴らすことを目的に書かれた。  今、大学に対する国の経費削減により、研究現場は疲弊し、軍からの資金に頼らざるを得ない状況だという。筆者はこれを「研究者版経済的徴兵制」だと指摘する。  一方、軍は科学者をとりこむことに腐心し、「安全保障のため」と言えば二の足を踏む研究者に配慮して、「安全・安心(な社会)に資する技術」の研究と言い換える。  あらゆる科学研究の成果はデュアルユース(両義性)の可能性を持つ。民生と軍事利用の区別は不可能だ。だから、どこから研究費を得るかが重要だと筆者は明快だ。  だが、科学者がどの道を選ぶかを、個人の良識や倫理に閉じ込めてはならないだろう。軍事的資金に科学者を向かわせてしまう仕組みを変えることも含め、その行方に目を凝らさなければならない。現状を知るために必読。(い)
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