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ふぇみんの書評

女たちの情熱政治 女性参政権獲得から70年の荒野に立つ

京新聞・北陸中日新聞取材班 編

  • 女たちの情熱政治 女性参政権獲得から70年の荒野に立つ
  • 京新聞・北陸中日新聞取材班 編
  • 明石書店1800円
2014年、東京都議会の女性議員に対するセクハラやじを契機にした新聞連載、「女の議会みち」「黙らない」等に加筆しまとめた書。  SEALDs、「ママの会」といった新たな市民運動と比較し、70年前に女性参政権を行使して国会デビューした女性議員を「70年前のSEALDs」と名付ける冒頭から、個々の物語に引き込まれる。  女性議員がただ1人の地方議会もあれば、半数が女性という議会もある。「女のくせに生意気だ」と揶揄される悔しさ、周囲に推されて立候補し四苦八苦するが、女性議員が出れば地域に変化も。そんな経験が聞き取られる。識者の解説も加わり、政治参画が案外身近な問題であることを知る。勇気を振り絞って立候補し、「私が変える」という意気込みに、女性議員が増えれば社会は変わるという確信が強くなる。  たとえ荒野でも、情熱が道を開いていく。真の女性活躍社会のために、選挙に出る人も応援する人も、議論し行動しよう。(三)

村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝

栗原康 著

  • 村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝
  • 栗原康 著
  • 岩波書店1800円
 凄まじくも爽快なフェミニスト、伊藤野枝(1895~1923年)の生き方を知る書。  著者の軽妙な語りが素晴らしく、読み進めるうちに、野枝をはじめ、平塚らいてう、大杉栄といった人たちが、白黒写真から抜け出て生き生きと動き出すように感じた。誰もが自分の言葉でものを言い、権力と闘う。そして恋、子育て、貧乏と、みんなそれぞれにダメで、それが素敵だ。  働くことの嫌いな父を持った野枝は貧しかった。でも金がなくても何とかなる。誰かが困ればすぐに一緒に住み、ついでに子守りも頼む。権力に縛られながらの決まり事なんてなくても、何となく助け合ってしまえばやっていかれるというのが野枝の生き方だ。  野枝は関東大震災後、アナーキストの大杉と共に「国家の害毒」といわれ、24歳の若さで憲兵に殺害される。でも野枝の心意気は消えることなく現代まで伝わった。 今の時代、彼女ならどう声を上げるだろう。(梅)

共生の社会学 ナショナリズム、ケア、世代、社会意識

岡本智周、丹治恭子 編著

  • 共生の社会学 ナショナリズム、ケア、世代、社会意識
  • 岡本智周、丹治恭子 編著
  • 太郎次郎社エディタス2500円
 本書は、「ナショナリズム」「ケア」「世代」「社会意識」にわけて「共生」を論じる。興味のあるところから読んでもいい。  ひとつのところに留まらず更新をくりかえす。さまざまに変化する価値観、多様性を飲みこみ吐きだし、変化する。これを「共生」という。「共生」という言葉は、なんとなく身近に感じてきたが、改めてなるほど、と考えた。  例えば、「父子家庭」について、仕事、子育ての両立に困り生活保護の相談に行っても社会的に稼ぎ手の「男性」は、「お父さんが元気なら働けばいい」と言われる。男性が家事・育児を担う時に支援から排除される問題が浮かぶ。ジェンダー意識がもたらす男性の困難はあまり語られないが、私は本書によって認識の更新を体験した。  本書で日本社会の更新について知ることで「共生」が意識化できる。「共生」を意識的にすることで社会を変られるのかもしれない、と思える、希望を感じる一冊だ。(純)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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