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ふぇみんの書評

ニキとヨーコ 下町の女将からニキ・ド・サンファルのコレクターへ

黒岩有希 著

  • ニキとヨーコ 下町の女将からニキ・ド・サンファルのコレクターへ
  • 黒岩有希 著
  • NHK出版1500円
 開放的な女性像「ナナ」などで知られる仏の造形作家、ニキ・ド・サンファル。彼女の作品に魂を奪われ、東京下町の実業家でありながら、世界で唯一、ニキの作品だけを集めた「ニキ美術館」(2011年閉館)を作ってしまった、「ヨーコ」こと増田静江(1931~2009)の伝記。「ヨーコ」は、ニキが呼びやすいようにと自ら付けた雅号。  ヨーコの息子の妻で、元ニキ美術館館長である著者が、ヨーコが語った内容や関係者の取材で描くヨーコの魅力的なこと! 子ども時代の豪傑ぶり、戦後民主主義の中であふれる生命力…。一方で母への葛藤、結婚・出産・子育ての現実、女性差別や性別役割分担の理不尽さ、ウーマン・リブの息吹が、ヨーコをニキの作品に出会わせた。ニキもまた家父長制と闘った。友情という言葉で表しきれない、2人の魂と魂が結びついていく様に、読んでいて胸が震える。  ヨーコは多くの女たちをニキに出会わせた。本書で私たちは、ヨーコに出会える。(登)

女だからできたこと オーガニックコットンのロールスロイスを目指して

渡邊智惠子 著

  • 女だからできたこと オーガニックコットンのロールスロイスを目指して
  • 渡邊智惠子 著
  • budori1500円
繊維原料の国内自給率はほぼゼロという。確かに、綿畑や、蚕のための桑畑はいつの間にか消えてしまった。綿はとても身近な存在なのに。  「天から与えられた」仕事をがむしゃらにこなしていたら、オーガニックコットンを世界に広める実業家になっていたというサクセスストーリー。それがまた楽しそうなのだ。  著者が綿の仕入れで訪れたアメリカでの先住民の言葉「7世代後のことを考えた生活を」に、私もとても共感できる。最後は「人としてどう生きるか」というところに行きつき、売り手と買い手と世間(周囲)に、作り手を入れた「四方良し」は、熾烈なアパレル産業の中で生き抜くなかで、果たしてどこまで実現可能かわからないが、この経営理念は堅持してほしい。  人の肌を第2の脳ととらえ、肌には天然繊維をまとって、皮膚疾患やストレスを減らしたいという彼女の言葉を、実践してみる価値はありそう。(き)

重症児ガール ママとピョンちゃんの きのう きょう あした

福満美穂子 著

  • 重症児ガール ママとピョンちゃんの きのう きょう あした
  • 福満美穂子 著
  • ぶどう社1500円
 予定日より1カ月早く生まれた“ピョンちゃん”。生まれて間もなく容体が急変し、大脳がダメージを受けて脳性まひになり、後遺症として難治性のてんかんを発症した。常に吸引機械を持たねばならず、てんかん発作も時々起きる。重度の知的障がいもある。重症心身障がい児の娘を持つ母親が我が子との日常を淡々と綴る。  我が子の予想外の障がいにショックを受けた当時の気持ちも隠さず記し、どのように子どもを受け入れていったかの正直な語りは、障がい児を育てる親のみならず、悩みを抱える子育て中の親たちに大きな励ましになろう。苦労も多いが、子どもの成長に幸せを感じ、自分自身の価値観を変え、人と助け合いながら生き方の幅を広げていく過程に感動する。著者は障がい児の親子のための支援団体を設立し、人々の理解と制度の整備を広く呼びかけている。障がい児の自立支援や母親の再就職の問題など、子育てする人に冷たいこの国の課題は山積みだと思う。(よ)
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 加入者名:婦人民主クラブ
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