WOMEN'S DEMOCRATIC JOURNAL femin

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ふぇみんの書評

私たちの声を議会へ 代表制民主主義の再生

三浦まり 著

  • 私たちの声を議会へ 代表制民主主義の再生
  • 三浦まり 著
  • 岩波書店2000円
参院選が控える年の年頭に本書を読み、改めて代表制民主主義と選挙を考えた。著者は議会の「パリテ(男女同数制)」を説く、気鋭の政治学者。  現在の代表制に満足している人は多くはない。代表制民主主義を立て直すには「競争」「参加」「多様性」の確保が必要と著者は言う。政党間の活発な競争は民主主義の条件だ。だが政党も人々の代理人ではなく、今や企業や国家の利益を代表する「カルテル政党」に変貌していて、これは民主主義の障害だ。税や福祉に関わる「分配」に大きな影響を与える。  それでは私たちの意見をどうやって国政や地方政治に反映させていくのか。鍵は、世の半数を代表する女性の政治参画と、「結社」。そして「双方向コミュニケーション」で間をつなぐこと。野党と、政治に異を唱える人々の間も、コミュニケーションが豊かになることで政治が社会に根を張り、政党も育っていくという。  政治はさまざま要因がからみ、“有機的”でおもしろい。(四)

ハナ ワンコリア道草回顧録

鄭甲寿 著

  • ハナ ワンコリア道草回顧録
  • 鄭甲寿 著
  • ころから2700円
南北に分断されたコリアの統一を願って1985年から毎年行われている「ワンコリアフェスティバル」。発起人であり実行委員長の在日コリアン3世の著者が、30年間の歩みを振り返っている。  このフェスティバルは、排他的な日本社会の中で揉まれてきた在日コリアンの力強さや、多文化的な要素を含んだ在日コリアン文化の魅力があふれている。そして当初から、南北の平和的統一だけでなく、世界市民としての「(東)アジア共同体」を掲げ、ビジョンや理念を明確にし、在日コリアンの積極的役割を提唱する運動であったことに感動する。  不安定な東アジアの情勢の中、韓国、北朝鮮、日本という3つの国の懸け橋的存在である在日コリアンへの期待は、今後ますます高くなるかもしれない。  生い立ちやヘーゲルら哲学者に関する話を含め著者の思想遍歴も記され、世界を見据えながら地域に根を張って生きる大切さを説く、奥深い哲学書でもある。(く) 

近現代の女性史を考える 戦争・家族・売買春

折井美耶子 著

  • 近現代の女性史を考える 戦争・家族・売買春
  • 折井美耶子 著
  • ドメス出版2500円
 戦争はなぜ止められなかったのか、戦争責任は?と問う力が確実に弱まっている今、女性史研究者の著者が戦争・家族などについて40年にわたり発表した論文が収録、刊行された意義は大きい。  1章の「戦争と女性」では、女の日常が国防婦人会などに加え、「国策」広報誌『週報』や『婦女新聞』『主婦の友』『家の光』等の戦争ジャーナリズムに取り込まれていく過程が解明されている。特に平和主義者を自任する福島四郎主宰の『婦女新聞』は女性の地位向上を目指したが、いったん「正義の戦争」となるや「銃後の女性」と呼びかける変節ぶりは教訓的だ。女たちは戦争と「受難」を多く語ってきたが、「加担」の問題提起は1980年代からと、遅れている。  2章の「家族」では、「女性の地位と氏名の変遷」で夫婦別姓の歴史的論考があり興味深い。     3章の「売買春」では、90年代の買春者処罰の論考がある。この問題はいまだ進展ないまま、性搾取の多様化が進んでいる。(H)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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