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ふぇみんの書評

ピケティ入門 「21世紀の資本」の読み方

竹信三恵子 著

  • ピケティ入門 「21世紀の資本」の読み方
  • 竹信三恵子 著
  • 金曜日1200円
 フランスの経済学者トマ・ピケティの『21世紀の資本』が世界的に話題になっている。日本語版で600ページ超の本ながら、多くのメディアが取り上げ、さまざまな立場からの議論が続いている。  ジャーナリスト、大学教員として労働問題などに取り組む著者による本書は、日本におけるピケティ議論の先駆けとなった一冊である。前半で原書を要約して紹介し、後半ではピケティの見解を足がかりに日本の格差の現状とアベノミクスを批判的に分析している。  ピケティは、サイモン・クズネッツの実証的研究により広く信じられてきた「経済成長により格差が縮小していく」という理論に、膨大なデータを駆使して反証し、格差のひずみを正していくためには政治の力が不可欠と結論づける。  アベノミクスによる格差の拡大に直面する日本の中で、この問題にどのように向き合うべきかという実践的な視点からまとめられた、ピケティの世界へのよき入門書である。(ち)

#鶴橋安寧 アンチ・ヘイト・クロニクル

李信恵 著

  • #鶴橋安寧 アンチ・ヘイト・クロニクル
  • 李信恵 著
  • 影書房1700円
 全編を貫いているのは、フリーライターである著者、李信恵(リ・シネ)さん(1月15日号1面登場)の真っすぐな心だ。「くたばれ、殺せ」と名指しで罵倒の限りを尽くされ、恐怖にさらされながらも「なぜそんな人になってしまったのか」と相手の背景に思いを馳せる。いつかその人が心の底から改心して罪を償えたら、一緒にホルモンを食べるのが夢だという。そして涙を流しながらヘイトデモのカウンター最前列に立つ。  信恵さんは、デモやツイッターで攻撃してくる在特会や桜井誠・同会前会長に対し、損害賠償を求める裁判を起こし、係争中でもある。「日本が大好きだ。日本に生まれ育ってよかったと胸を張って言える社会にしたい」「在特会がここまで力を伸ばしてきたのは、放置してきた自分にも責任がある」という思いからだ。  人の痛みまでも引き受けて矢面に立ち、「こんな社会でいいのか」と問う信恵さんに応えられる自分にならねばと思う。(葉)

老い方上手

樋口恵子、大熊由紀子、上野千鶴子ほか 著

  • 老い方上手
  • 樋口恵子、大熊由紀子、上野千鶴子ほか 著
  • WAVE出版1400円
 世界一の高齢社会を迎えている日本での老後の不安に、老いや死の問題に取り組んできた5人が答える。要介護になっても、終末期や葬送までも、自分らしく、満足できる老後を送るために今から何を考え、どう準備していくのかという知恵が満載。  「高齢社会をよくする会」の樋口恵子さんによる、老後の金の話「ビンボーばあさんにならない道」は説得力がある。元・朝日新聞記者の大熊由紀子さんは、認知症400万人時代の今も、まだ存在する5つの誤解と、「認知症になったら終わり」ではない施策を模索。社会学者の上野千鶴子さんが「在宅ひとり死」を可能にする介護と医療を提案。死生学の専門家・会田薫子さんも、胃ろうの選択など終末期における延命医療問題を提起する。そしてエンディングセンター理事長の井上治代さんが、「自分らしい葬送」を選ぶための準備を紹介、といった具合だ。  ぼんやり年を重ねるだけでは、自分が主役の老後は来ない。(晶)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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