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ふぇみんの書評

何を怖れる フェミニズムを生きた女たち

松井久子 編

  • 何を怖れる フェミニズムを生きた女たち
  • 松井久子 編
  • 岩波書店1400円
 編者は映画『ユキエ』『折り梅』『レオニー』の監督。4作目となる、同名のドキュメンタリー映画に収めきれなかったインタビューを活字化したのが本書。  1970年代のウーマンリブ誕生から40年余。60代から80代になった、田中美津、米津知子、上野千鶴子、加納実紀代、池田恵理子、高里鈴代、田中喜美子らフェミニストたち12人が、自らの人生とフェミニズムへの思いを語る。12人の人生に共通するのは、男社会からはじかれるという「怖れ」を持たず、女の痛みや苦しみの原因が社会の構造にあることに気づき、「男並み」ではなく、自由に自分を生き、他の女性たちと繋がってきたこと。しかし彼女たちの奮闘にもかかわらず、「日本のフェミニズムはこの40年ずっと不遇であり続けた」。  女性雇用者の6割が非正規雇用である現在、安倍首相の「女性が輝く社会を作る」のしらじらしさとは対極にある、本当の「輝く女性」が本書には、いる。(晶)

『ミセス』の時代 おしゃれと〈教養〉と今井田勲

江刺昭子 著

  • 江刺昭子 著
  • 現代書館2200円
 1961年に創刊した既婚女性向けの生活雑誌「ミセス」。同誌元編集者の著者が、関係者の話・資料を基に、雑誌誕生秘話やその編集長だった今井田勲の生涯を追う。 「ミセス」は当時の(今も?)女性誌の定番だった皇室と芸能とセックスネタを排し、おしゃれを中心に、高い教養と上品さを目指し、大雑誌に成長。サイズや製本、レイアウトも斬新で読者を惹きつけた。高度経済成長の真っ只中で、新しいものに挑戦した人々の熱気が伝わり、うらやましくもいつの時代も熱意が社会を動かすのだと納得した。  名編集者と言われた今井田は日本のファッション界を牽引し、デザイナーの地位も高めた。“女たらし”であったという彼をジェンダーの視点から分析するも、人好きな“人たらし”が人を動かす才能にも結びついていたことがわかり、おもしろい。  良妻賢母主義から変わらない「ミセス」から離れ、フェミニズム路線で仕事をしていく自分史を綴った終章には特に共感。(り)

「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか?

中野円佳 著

  • 「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか?
  • 中野円佳 著
  • 光文社880円
  育休取得が珍しくない「育休世代」(1978年生まれ以降)の女性たち。しかし出産後の離職率は正社員でも53%に上る。男性と同様に働き続ける意欲を持つ高学歴・高所得の女性たちが辞めるのはなぜ? 当事者の著者が、苛立ちをバネに、育休中に15人の女性たちを調査研究。女性の6割は非正規雇用だが、たとえ一部の女性の話であろうと、そこにはジェンダーの問題、女の痛みがあった。  仕事での「自己実現」と「産め・育てろ・働け」という圧力を受けてきた育休世代。退職の主因は、職場環境。男女平等を信じた女性ほど、育児に無配慮か、ママ向け仕事をさせる「過剰配慮」の職場を選び、意欲を減退させ辞める。継続組も、意欲の水準を下げていることも。夫の育児不参加を含め、その根本原因は、ケア責任なく会社に24時間奉仕できる人を前提にする日本の企業体質だ。  安倍首相必読! 最後に著者が示唆した女の連帯の可能性は、分断を乗り越える希望だ。(登)
【 新聞代 】(送料込み)
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 6カ月4,500円、1年9,000円
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 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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