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ふぇみんの書評

青木理の抵抗の視線

青木理 著

  • 青木理の抵抗の視線
  • 青木理 著
  • トランスビュー1600円
 テレビやラジオのコメンテーターでも知られる、ジャーナリストの著者。本書は、2010年から始まった連載や雑誌での対談などを収めたもの。政権の変遷、福島原発事故、安倍政権成立とその後の憲法を破壊する政策…ここ数年間の社会のありようを見据え、容赦なく暴く著者の「抵抗の視線」が全編に貫かれている。厳しい批判なのだが、著者の言葉は比喩も絶妙で(安部首相は「エアナショナリスト」)わかりやすいことが、巻頭の対談からも伝わり、ぐいぐいと読み進められる。  著者の豊富な取材に裏付けられた分析が、社会を見通せているからだろう、かつての原稿が古くならない。警告を鳴らし続けた、強大化した警察・公安権力は、自民党への政権交代の裏で暗躍し、特定秘密保護法の強行成立へ…。  著者にとって本書は「敗北の記録」でもあるが、巻末インタビューの「知ることが人を自由にする」という言葉通り、私たちは抵抗をやめてはならない。(登)

沖縄闘争の時代1960/70 分断を乗り越える思想と実践

大野光明 著

  • 沖縄闘争の時代1960/70 分断を乗り越える思想と実践
  • 大野光明 著
  • 人文書院3800円
 知事選に続き衆院選でも、基地問題に対する沖縄の本土への不信が明確に示されることになった。  本書は、社会運動に自らも参加する1979年生まれの研究者が、沖縄問題を沖縄の人びとが抱える、沖縄で起きていることではなく、「自分の問題」として受け止めるために「社会運動の経験や実践、問いを整理した」労作である。  沖縄という「問題」に向き合うことから、自分自身をも包み込む社会構造そのものを問い直し、自ら当事者として共通の課題に対しての「共闘」、そして社会構造そのものを共に変えていこうとする本来の意味での「連帯」への途を模索した人びとの姿が、資料や聞き取りを通じて掘り起こされていく。  マジョリティーが「考えなくても済む」ことで、日本社会には様々な分断が維持/再生産されていく。今回の選挙結果を受けて、社会運動のあり方が改めて真剣に議論されていくことになるだろうが、そうした議論に多くの視座とヒントを与えてくれるに違いない。(ち)

これが沖縄の生きる道

仲村清司、宮台真司 著

  • これが沖縄の生きる道
  • 仲村清司、宮台真司 著
  • 亜紀書房1500円
  沖縄県知事選の1カ月半前の那覇の書店で、平積みされていた本書。「昨今の沖縄問題の半分は沖縄が悪い」という、社会学者と作家の2人の議論をまとめたもの。  冒頭から、宮台は、沖縄の人々は戦略的に基地を受け入れ「自立的依存」をしていたが、深みにはまり、現在は依存体質が構造的に再生産されていっていると論じて、読者を挑発する。また、「アイデンティティ」論は外部の人間の排除、琉球王朝は宮古島・八重山や奄美を差別し収奪していた事実、一筋縄でない「独立論」など、沖縄の負の姿を、「知」を駆使して示す。  何が「生きる道」なのか。どこかで成功したショッピングモールの建設ばかりでは、当然じり貧だ。沖縄こそが日米に対してイニシアティブを取るべきで、大田昌秀元知事が提案した「基地返還アクションプログラム」などに、リアリティーがあったと語る。  語られる言葉に納得せずとも、それゆえに読み手が思考をめぐらすきっかけになる。(三)
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 6カ月4,500円、1年9,000円
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