WOMEN'S DEMOCRATIC JOURNAL femin

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ふぇみんの書評

ひとり親家庭

赤石千衣子 著

  • ひとり親家庭
  • 赤石千衣子 著
  • 岩波書店820円
丁寧な聞き取りによる事例紹介と裏付けのデータによって、ひとり親とその子どもたちの置かれている現実をひりひりと実感する。著者は、30年以上前にシングルマザーとなり、自由と同時に生き難さを味わったという。その感覚は今も変わらないどころか、生き難さの比重がどんどん増している。  生き難さの大部分は経済的困難にある。平均年収が200万円を切るシングルマザーが約6割。養育費を受け取っている人は2割にも満たない。しわ寄せは子どもに向かい、ひとり親家庭の子どもたちは2人に1人が貧困状況にある。こうした背景には「男性稼ぎ主型家族」を前提にした社会システムがあると、著者は指摘する。  一方で、当事者たちの粘り強い運動や活動が残してきたものも少なくない。5章ではその足跡をたどりつつ現在の制度の課題が、最終章では求められる支援の具体案が提示される。どこまでも当事者のもつ力を信じて寄り添う著者のまなざしが温かい。(葉)

25パーセントの女たち 未婚、高学歴、ノンキャリアという生き方

梶原公子 著

  • 25パーセントの女たち 未婚、高学歴、ノンキャリアという生き方
  • 梶原公子 著
  • あっぷる出版社1600円
 「結婚せず、高収入でもないですが、何か?」という女性、そういえばいる。統計で非常に大ざっぱにくくると、年収350万以上を稼ぐ女性は10%、結婚し男性の収入が主な生計手段という女性が65%、そして残りがこの「いわゆる高学歴・年収300万円以下・単身」の25%だという。著者はその存在は社会の希望だと捉える。  学歴や、頼れる親という資源があるからできる生き方ではある。でも聞き取りから、彼女たちも迷いや不安も抱えることがわかる。結婚や出産をしないと決めているわけでもない。むしろ家族は持ちたい。  ここに今を生きる女性のニーズが見える。それは近代規範ではない、自分らしい家族のありようだ。男女とも働き過ぎず、ほどほどに稼ぐことのできるライフスタイル、事実婚やシングルでも安心して暮らせる制度設計があれば、社会は風通しがよくなる。  25%の女たち、素敵! ちょっと言わせてもらうなら、「未婚」じゃなく「非婚」と言ってほしい。(梅)

『女のせりふ』『続 女のせりふ』

伊藤雅子 著

  • 『女のせりふ』『続 女のせりふ』
  • 伊藤雅子 著
  • 福音館書店1300円、1400円
 「女たちはいつも大事なことスゴイことをさらりと言う」。東京・国立市の公民館職員として、1965年から託児付きの主婦向け女性問題学習に取り組んできた著者。本書は、主婦をはじめ、著者が出会ってきた女たちがこぼした言葉や、女性作家の著作、詩歌の言葉を、著書がすくい上げ、見つめ、「心のうちを紡ぎ出した」エッセイ集。『正』は85年から95年、『続』は2000年から12年までの合計256の「女のせりふ」を採録。  女たちと著者の言葉は、時にハッとさせられ、辛辣で、あたたかい。驚くのは、せりふが今の私にもよく響くということだ。今、女にとって働くことは、少数の「男並み」か大半の非正規労働であり、だからこその主婦願望の高まりがあり、相変わらず母性神話が浸透しているからだろう。それは切ないが、男社会の中で無価値として吐き捨てられてきた女のせりふが、こんなにラディカルで面白いという発見と共感は、私に至福の時を与えてくれた。(登)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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