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ふぇみんの書評

もうひとつの国鉄闘争 非正規差別、女性差別と闘って

和田弘子 著

  • もうひとつの国鉄闘争 非正規差別、女性差別と闘って
  • 和田弘子 著
  • 三一書房2500円
 近年、「官製ワーキングプア」が社会問題化されているが、公務現場での非正規労働問題は1950年代からある。旧国鉄は、正職員と同等の仕事に10~30年と長期間従事した労働者を、「臨時雇用員」として差別的処遇を続けた。87年の分割民営化に先駆けて、83年、全国で6000人(著者を含む)の臨時雇用員が「人件費削減は国家的使命」との理由で整理解雇された。分割民営化は中曽根元首相が国労と総評を潰すために確信犯として強行した国策だった。著者は、「不当解雇撤回」を求めて84年一人で提訴。入社から解雇までの職場闘争、団体交渉、裁判、労働委員会等あらゆる場所を駆使して40年間も非正規差別の是正を訴え続けた。  本書は、著者がおんな労働組合(関西)や全国の仲間と連帯し、挑戦し続けた闘いの軌跡である。国鉄の構造的差別と労働運動の「本工主義」に切り込む闘いでもあった。  どんな差別も許さず、女性の労働権を確立するために体現した著者の生き方は見事である。(屋) 

日本軍に棄てられた少女たち

プラムディヤ・アナンタ・トゥール 著 山田道隆 訳

  • 日本軍に棄てられた少女たち
  • プラムディヤ・アナンタ・トゥール 著 山田道隆 訳
  • コモンズ2800円
 インドネシアのブル島に、政治犯として送られていた著者は、仲間と見聞きした、日本軍の「性奴隷」となり、棄てられた少女たちを記録。1998年、本書の原著の出版に、当時の日本の駐インドネシア公使が「慰安婦」問題を懸念し、インドネシア政府に発行しないよう圧力をかけていたことが、昨秋、朝日新聞で報道された。(原著はスハルト政権崩壊後の2001年に発行)。日本語訳は04年に出ていたが、戦犯裁判の性暴力事件一覧なども付き、増補改訂版として最近発行された貴重な証言録だ。  日本軍に拉致され、「留学」などの甘言でだまされ、あるいは親に差し出され、日本兵に強姦され、慰安所では無報酬、戦後は置き去りにされ、“一族の恥”になるからと故郷にも帰れなかった少女たちの話はあまりにもつらい。著者は努めて冷静にしたためているが、被害者には温かく、日本とインドネシア政府には国の責任を厳しく問う姿勢が滲む。彼女たちを見捨てることはもう許されない。(り)

「就活」という広告ビジネス

谷村智康 著

  • 「就活」という広告ビジネス
  • 谷村智康 著
  • リベルタ出版1200円
 正規職に就くのが困難な今の時代。職を求める学生たちは、「リクナビ」などの「就活」サイトに登録し、自分を売り込む。だが、マーケティング・プランナーで広告代理店の勤務経験を持つ著者は、「就活」サイト運営会社の真の顧客は求人企業であって、学生は単なる「商材」と断言する。  企業は就活サイト運営会社に多額の広告費を出し、それが著者の見積もりでは600億円にも上る。こんな金のかかる方法は、短期間で辞め、転職を繰り返すことが多い時代にはそぐわないと言う。  多くの提言がある。これからの就職活動は、欧米のようにボランティアで経験を積み、インターンでマッチングする(ただし受け入れる企業の力量も必要)。企業は各自がウェブサイトで新卒も既卒も募ればよい。「3年間公務員ワークシェアリング」の導入論には目を見張る。  「就活」を変えることは、社会を変えることにつながると説く。缶コーヒー不要論も面白い。(三)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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