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ふぇみんの書評

復興を取り戻す 発信する東北の女たち

萩原久美子、皆川満寿美、大沢真理 編

  • 復興を取り戻す 発信する東北の女たち
  • 萩原久美子、皆川満寿美、大沢真理 編
  • 岩波書店1800円
 3.11を経験した東北の女性たちはどのような復興を創りだそうとしているのか。本書ではひとり親家族、結婚移住女性(「外国人花嫁」)らの支援者、農村や漁村でリーダーとして活躍している女性たちが、それぞれの歩みを踏まえて提言する。震災を機に日本社会の脆弱性が露呈したと報告者は言う。結婚移住女性は仕事を失い、家屋を失っても、言葉が不自由であるために、仮設住宅への申し込みや支援物資も受け取れない。しかし震災によってその存在が可視化され、横につながり、フィリピン女性のグループは仮設での炊き出しを始める。漁村・農村に根強く残る男尊女卑、過疎化の中で、「結」の精神を実践してきた女性たちが、生産から加工、流通、販売までを手掛ける六次産業化を目指して、組合や行政と交渉していく。  男たちによる大企業につながる復興でなく、東北の地に住まう人自身が暮らしやすくなるコミュニティーを創造しようとする女性たちの力強い姿が立ち現れる。(ま)

子どもアドボカシー実践講座 福祉・教育・司法の場で子どもの声を支援するために

堀正嗣、子ども情報研究センター 編著

  • 子どもアドボカシー実践講座 福祉・教育・司法の場で子どもの声を支援するために
  • 堀正嗣、子ども情報研究センター 編著
  • 解放出版社2000円
  「子どもアドボカシー」とは、自分に関わる決定に意見を表明し、その意見を聴かれ、考慮される権利(子どもの権利条約より)のある子どもの声を、大人に聴いてもらい、生活に関わる決定に影響を与えるよう支援すること、または人。子どもの「最善の利益」の考慮でも、「権利擁護」でもない、子どもの声を大きくする「マイク」の役割であり、イギリスでは親や専門職でない第三者の支援者として、教育、福祉、司法などの場面で活躍しているという。本書は本場イギリスの講師による講義、ワークショップ形式でその理論と実践を学べる。  子どもは養育の対象とだけされがちな日本だが、アドボカシーによって、無力感に陥っていた子どもはエンパワーメントされるという。アドボケイトの視点が日常生活に生かされること、「日本に『独立子どもアドボカシーサービス』を」という本書の願いを共に願わずにいられない。(登)

ハンセン病講義 学生に語りかけるハンセン病

大野哲夫、花田昌宣、山本尚友 編

  • ハンセン病講義 学生に語りかけるハンセン病
  • 大野哲夫、花田昌宣、山本尚友 編
  • 現代書館2500円
 本書は、隔離政策に基づく療養所・菊池恵楓園がある熊本からハンセン病を問うことを目的に、社会復帰した元患者、歴史学者、社会学者、療養所医師や水俣病研究者の原田正純医師などによる熊本学園大学での講義のまとめ。熊本の「未感染児童」の登校差別や宿泊拒否事件も記憶に新しい。  発症すると終生隔離され、姓名を変え家族とも断絶、社会から排除された。強制堕胎や断種も行われた。「憐れむべき」患者の慰安に宗教が利用されて隔離による苦悩を「受容」させたこと、戦前は「慈善を施す皇室像創出」にも利用され、長期にわたった国策は罪深い。  元患者は、差別する人間のもつ凶器のまなざしについて語った。“放射能はうつる”と、福島からの避難者を排除した現代社会にもつながる。ハンセン病を知ることは今につながる。(三)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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