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ふぇみんの書評

共通番号制(マイナンバー)なんていらない!

小笠原みどり、白石孝 著

  • 共通番号制(マイナンバー)なんていらない!
  • 小笠原みどり、白石孝 著
  • 航思社1400円
 野田政権によって「マイナンバー(共通番号)」法案が国会に提出され、政財界の積年の願いである国民総背番号制の実現に向けた大きな一歩が踏み出されつつある。  住基ネットをはるかに超えた共通番号制の問題点は、小笠原みどりさんの連載で「ふぇみん」読者にも広く共有されているだろう。  マイナンバー導入の前提とされた「社会保障と税の一体改革」は、社会保障制度の「あり方」に関する議論を置き去りにしたまま、消費税増税のみが強行されている。  共通番号制が社会保障の充実や税の公平性を実現するための「あってもなくてもよい制度」ではなく、グローバル化の中で「弱いものいじめ」の積極的な手段となっていくことを、本書は歴史的経緯を含めてコンパクトに論証していく。  私たちの「拒否する」論理を明確にし、この問題を改めて議論の俎上に載せていくためにも、広く読まれてほしい本である。(ち)

女友だち

木村榮 著

  • 女友だち
  • 木村榮 著
  • フェミックス1500円
 本書には著者自身の女友だちとの交流とともに、さまざまな小説や映画に描かれている女たちの友情のありようが紹介されている。そのひとつひとつに胸が痛くなるような共感を感じる。なかでも児童文学作家である石井桃子が87歳で書き上げたという自伝的小説『幻の朱い実』が切ない。堅実派の明子と闊達でユーモアに富む蕗子が出会い、互いになくてはならない存在となりながら明子の結婚によって、つまりは夫によって交流が断たれる。そしてそのまま結核が進行した蕗子と永別する。著者は問う。「私たちが『幻の朱い実』に手渡された友情のバトンは、どんな時代の曲折を経てどんなゴールにたどり着くのだろうか」と。  ゴールはひとつではないだろう。しかし自分なりのゴールを見つけるためのヒントがこの本にはたくさんある。年齢を重ね、がんを病んだ著者が深めていく考察は研ぎすまされていながらも温かく、後をゆく世代を励ましてくれる。(葉)

ルポ 賃金差別

竹信三恵子 著

  • ルポ 賃金差別
  • 竹信三恵子 著
  • 筑摩書房760円
 働く現場を取材してきた著者が、賃金差別の構造と課題を明らかにする。  主婦パートは、「家計補助」という名目で、低賃金に抑えられてきた。個人が「仕方ない」とあきらめてしまう仕組みを利用し、今や差別はどんどん拡大している。同じ職務なのに、新卒・中途、全国採用・地域採用、正規と派遣などの差をつけられ、「低賃金でも構わない人」のレッテルが貼られる。  これを食い止めるには、同一価値労働同一賃金を実現するための公正な評価指標の確立と、その運用を監視できる労組や労働基準監督官といった適切な規制機関が必要だ。すぐに賃差を是正するのは難しいかもしれない。だが、まずは労使双方が仕事をクリアに見ること、賃差が妥当か、偏見や排除によるものかを分析することが重要だ。  震災後は「それどころでない」という風潮もある。だが均等待遇のための法整備は喫緊の課題だ。企業、政府、働き手が一緒になって考えなければ(梅)
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 6カ月4,500円、1年9,000円
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