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ふぇみんの書評

不妊を語る 19人のライフストーリー

白井千晶 著

  • 不妊を語る 19人のライフストーリー
  • 白井千晶 著
  • 海鳴社2800円
 リプロダクション社会学の研究者である著者が、不妊を経験した女性へインタビューした記録。丁寧な聞き取り調査から、人生や生活の中での「不妊」が浮かび上がる。不妊の悩みが、単に「子どもがほしい」ということだけではなく、体験や家族、周囲との関わりなどの中で生まれた思いが複雑に絡み合って、悩みとなっていく過程がよく分かる。  特に、妊娠・出産後も、自己否定感が消えず、不妊の悩みから解放されない場合もあることは、あまり知られていないだけに、本書の語りは貴重な声となっている。  「子どもがいない人は半人前と言われた」など、登場するほとんどの人が、不妊への偏見や社会的プレッシャーを受けたと思われる発言をしているが、それに対しての著者の言及が少ないのが気になる。社会的な分析は避けたのかもしれないが、不妊の問題が社会的圧力とは切り離せないことを考えると、その点にもう少し踏み込んでほしかった。(Y)

つなみ 風花 胡桃の花穂 【三・一一詩集】陸前高田の冬と春

佐藤フミ子 著 森住卓、郡山総一郎 写真

  • つなみ 風花 胡桃の花穂 【三・一一詩集】陸前高田の冬と春
  • 佐藤フミ子 著 森住卓、郡山総一郎 写真
  • 凱風社1000円
 陸前高田で被災した佐藤フミ子さん(84歳)は、ほとばしる思いを「うた」にして、ノートに書きつづった。「ひっきりなしに 余震のつづく 其の中を 公民舘に いっきに逃げる」「公民舘もだめだ もっと上にとふ 男の叫びに 足のがたつく」(表記は原文のまま)…夫と避難したものの、両親を捜しに出た息子さんは、波にのまれた。まもなく、夫も避難生活で体調を崩し、悲しみを背負ったまま、逝ってしまう。  寒さに震えた避難所にも支援の手がようやく届くようになり、やがて春が訪れて、硬直した人々の心とからだも少しずつほぐされていく。  被災地のようすをありのままに記録したいと避難所を回り続けた写真家と、佐藤さんの出会いから生まれた詩集。時間がたつにつれ、その場で体験した人とそうでない人の気持ちは遠くなってきた。記憶を引き継ぐことが一層大事になるなかで、フミ子さんの「うた」は語り部の役割を果たすに違いない。(矢)

移住者が暮らしやすい社会に変えていく30の方法

移住労働者と連帯する全国ネットワーク 編

  • 移住者が暮らしやすい社会に変えていく30の方法
  • 移住労働者と連帯する全国ネットワーク 編
  • 合同出版1400円
 私たちの暮らしは多様な人々との関わりで成り立ち、移住者(在日外国人)からも支えられている。たとえばコンビニの弁当。作るのも、食材を生産するのも、販売するのも、大勢の移住者が関わっている。その移住者の教育権、地域の自治に関わることや選挙権、研修制度の問題、DV被害者の多さ、ビザ発給の曖昧さ、人身売買の問題などのネガティブなことだけでなく、彼らが発信するメディアのこと、学校に移住者がいたらクラスの中で何ができるのか、などを、移住者に関わる人々が横断的な視点で示す。  移住者はわたしたちの隣に住んでいる。日本は移住者の人権に不親切で、難民の受け入れは先進諸国と比較してとても少ない。犯罪者扱いをすることも多い。移住者を真の隣人として迎えるには? いま、移住者に普遍的な権利の確立が求められている。マイノリティーにとって生きやすい社会は、誰にとっても生きやすい社会だ。本書を多くの人が手にとってほしい。(三)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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