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ふぇみんの書評

アフガン民衆とともに

マラライ・ジョヤ 著 横田三郎 訳

  • アフガン民衆とともに
  • マラライ・ジョヤ 著 横田三郎 訳
  • 耕文社1700円
 アフガニスタンの国会で軍閥の戦争犯罪を追及する発言を行ったために、議員活動停止処分を受けたマラライ・ジョヤ。彼女の半生を描いた本書には、同国の真の平和と民主化を希求する力強いメッセージが込められている。  パキスタンの難民キャンプで育ち、女性のための教育活動を行うために帰郷した彼女は、2003年に新憲法承認の場となるロヤ・ジルカの議員に当選し、後に国会議員となる。真実であるがゆえにタブーである上記の発言等により、彼女は常に暗殺の危機に直面しているが、女性に対する暴力を含む軍閥や外国軍の戦争犯罪の問題に果敢に取り組んできた。外国軍の侵攻や占領、軍閥による支配等によって辛酸をなめてきた民衆のためのアフガニスタン再建には、軍閥の武装解除と戦争犯罪者の訴追、および外国軍の撤退が必要だと、彼女は説く。  軍事支配下の女性に対する暴力を、アフガニスタンという文脈で理解するための必読書だ。(砂)

原発震災 警鐘の軌跡

石橋克彦 著

  • 原発震災 警鐘の軌跡
  • 石橋克彦 著
  • 七つ森書館2800円
 著者は1997年以来、地震による原発事故の放射能災害と通常の震災とが一緒に起きると、とてつもない被害になる「原発震災」を警告してきた。これまで書きためた文章が一冊にまとめられた。  2007年の中電・浜岡原発運転差止訴訟が敗訴した時に「判決の間違いは自然が証明するだろうが、そのときは私たちが大変な目に遭っている恐れが強い」と述べたが、東日本大震災が起きた。こんなに早く大自然の審判が下るとは思っていなかったという。300ページに及ぶ本書を読んでいると、学問を軽んじる原発推進派の中で孤軍奮闘し訴え続けてきたことがよく分かる。著者は、伝えきることができず多くの被害者が生まれたと悔恨する。  地震学者としての冷静な分析や知識だけでなく、誠実な人柄が内容に説得力を増す。54基の原発を抱え地震の活動期に入った現状は厳しいが、二度と原発震災を繰り返さぬよう、本書を片手に賢明な判断をしていきたい。(月)

黎明期を生きた女性たち 幕末明治の阪谷・渋谷・三島・四条家

阪谷芳直 著 阪谷綾子 編

  • 黎明期を生きた女性たち 幕末明治の阪谷・渋谷・三島・四条家
  • 阪谷芳直 著 阪谷綾子 編
  • 吉川弘文館2400円
 曽祖母4人を回想しながら、著者は大きく変動する時代を語る。阪谷恭子、渋沢千代子、三島和歌子、四条春子は、学者、実業家、警視総監、軍人の妻として、生活も社会も大転換した幕末から維新後の時代に、家族を見守りながら困難に立ち向かい、腰も肝も据えて生きた。女性はいつの時代も家の内外を取り仕切ってきたことを実感できる。経済的に恵まれた後もおごらない姿、家族に眉をひそめられながら孫に性の話題を語る姿は好感を覚える。“捨て身の覚悟で夫を護る”なんて、今や死語の「賢婦人」とはこんな感じなのか。歴女にもオススメ。  著者は親族の日記などから丹念に事実を追い、変わりゆく時代を書き遺した。これは、戦時中の中国・北京で出会った中国研究家、中江丑吉の言葉が契機になっている。“特殊な状況下にいる者がその様子を冷静、精密に観察すること”“歴史が進み、解体されていく封建的な姿を見届けるべき”とは、今また示唆に富んでいる。(三)
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 6カ月4,500円、1年9,000円
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 加入者名:婦人民主クラブ
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