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ふぇみんの書評

米軍基地の現場から

沖縄タイムス社、神奈川新聞社、長崎新聞社合同取材班 著

  • 米軍基地の現場から
  • 沖縄タイムス社、神奈川新聞社、長崎新聞社合同取材班 著
  • 出版社:高文研 価格:1700円
 在日米軍基地の75%が置かれる沖縄県、原子力空母が配備された横須賀・神奈川県、第7艦隊基地がある佐世保・長崎県の、各地元新聞の記者たちが、「安保改定50年」を機に共同して米軍基地の実像に迫っている。  大手マスコミが基地被害や米兵犯罪、事故などをローカルなものとして報道を控えるために、基地の実態は見えにくくなっている。ここでは豊富な写真と共に、現地の取材力の強さで私たちの知識をぬり替えてくれることは確かだ。それだけに、世界でも稀な長期の日米軍事同盟の「深化」の過程で民間(物資輸送、港湾、空港…)が深く組み込まれてきたことに愕然とする。  記者たちが最後に特筆しておきたいことは、「変貌する自衛隊」のことである。弾道ミサイル防衛や離島防衛における日米軍事訓練はますます強化され、自衛隊の「海兵隊化」にも及ぶ。中国、北朝鮮を「仮想敵国」視するなかで、米軍と自衛隊の連携メカニズムにひやりとさせられる。(H)

障害と文学 「しののめ」から「青い芝の会」へ

荒井裕樹 著

  • 障害と文学 「しののめ」から「青い芝の会」へ
  • 荒井裕樹 著
  • 出版社:現代書館 価格:2200円
 社会的障壁としての障害と、障害者による文学との関係に焦点をあてて、障害者の「内面史」について語ろうとした本。著者はハンセン病者による文学と社会運動も研究してきた。本書は、およそ人間扱いされず在宅で親の介助で生存するほか道がなかった脳性まひ者たちが、同人誌「しののめ」を媒介に出会い、「青い芝の会」にもつながる人脈をつくり、各自が取組んできた経過が縦糸になっている。  「しののめ」主宰の花田春兆さんは日本障害者協議会の役員、俳人としても活動。横田弘さんは、「愛と正義を否定する」などの今も鮮烈に響く「青い芝の会」行動綱領の起草者で、詩人でもある。当時の主に脳性まひ男性による文学表現から、親・特に母親との関係、個人の自立と「性」、「安楽死」、「優生思想」などが、どのように感じられ捉えられていたかが浮かび上がる。同時代に女性の立場で活動してきた人々との議論にも触れられている。(ね)

それは、密告からはじまった 校長VS東京都教育委員会

土肥信雄 著

  • それは、密告からはじまった 校長VS東京都教育委員会
  • 土肥信雄 著
  • 出版社:七つ森書館 価格:1800円
 都立三鷹高校の元校長である著者は、「都立学校の職員会議において職員の意向を確認する挙手・採決の禁止」という都教委の通知に対して、校長会でただ1人通知撤回を求めた。本書は著者が都教委を提訴するに至った経緯を記したもの。2006年の「日の丸・君が代」強制反対予防訴訟での原告全面勝訴を聞いて、「この判決で都教委も頭を冷やして、少し冷静になったほうが良いよ」と言ったことが都教委に伝わり、何度も「指導」という言論弾圧を受ける。  これまで著者は都教委の通達に従い、起立による国家斉唱の口頭による職務命令も出していた。しかし、教委に意見表明もできない、職員会議が議論の場でなくなるとなれば、最終的に生徒の言論統制につながるという危機感からの提訴だった。法令を遵守するフツーの校長である著者は、「教育の主体は生徒」というフツーの教育を行っていただけ。都教委が何を目的にどんな手段を取るのか、その実態を知るのに好適の書。(ま)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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