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ふぇみんの書評

世界の食料ムダ捨て事情

トリストラム・スチュアート 著/中村友 訳

  • 世界の食料ムダ捨て事情
  • トリストラム・スチュアート 著/中村友 訳
  • 出版社:日本放送出版協会 価格:1,900円
 著者は小さいころ豚を飼い、給食の残飯や地元の商店からあまった野菜やパンをもらっていた。豚が食べているパンを一かけら食べた時、その美味しさに驚き、廃棄食品の問題に気づく。それ以後、彼はイギリスの路地やゴミ箱を回り、店舗から出される多種多様な廃棄食品を食べて暮らす。怒りとともに世界各地を回って書き上げたのが本書。スーパーの方針により大量にはねられ廃棄される野菜や果物、余剰作物や商品をリユースできない仕組み、期限表示の問題、各家庭のムダ…。あらゆる要因が相まって、膨大なムダが生まれている。そしてそれは、食物を栽培するための資源をもムダにしている。貧しい国々が金持ちの国のための食物を栽培する「新植民地主義」と呼ばれる事態が起きている。
 日本も例外ではないが、2001年に施行された食品リサイクル法とそれによるスーパーなどの取り組みが紹介されている。食物はただの商品ではない。地球保護のためにも差し迫った課題だ。(竹)

隠される原子力・核の真実原子力の専門家が原発に反対するわけ

小出裕章 著

  • 隠される原子力・核の真実 原子力の専門家が原発に反対するわけ
  • 小出裕章 著
  • 出版社:発行=創史社 発売=八月書館 価格:1,400円
 著者は京都大学原子炉実験所で、放射能の測定をする専門家。原発に反対を続ける研究者としても知られ、その講演は分かりやすく市民から信頼されている。
 この本は、1999年から2010年の各地での講演やシンポジウムの発言がまとめられたもの。
 豊富なデータに基づき、原発やその燃料のウランやプルトニウムについてなど、現状と危険性を語っている。そればかりでなく、日本はどうして原発をつくることをやめないのか。日本の電気料金が世界一高いわけ。地球温暖化対策と原発について。原発先進国のヨーロッパやアメリカの現状。アジアに原発を輸出しようとするのはなぜ? これらについても納得できる資料による考察がある。最後にこのような原発をなくし、持続的平和な地球環境をめざすなら、エネルギー浪費型社会を改めるしかないと提案している。
 原発推進の人たちにぜひ読んでもらいたい。脱原発派にとっては活動に役立つ大切な一冊。(山)

つながりの作法同じでもなく違うでもなく

綾屋紗月 熊谷晋一郎 著

  • つながりの作法 同じでもなく違うでもなく
  • 綾屋紗月 熊谷晋一郎 著
  • 出版社:NHK出版 価格:700円
 マイノリティーはどう生きていけるのか。どうつながっていけるのか。2人のマイノリティーがからだの内側と外とのつながりについて綴る。
 身体がバラバラで統一的なイメージがつかめない、感覚飽和の状態でつながりがつかめない綾屋紗月さん。大人になってから「アスペルガー症候群(自閉症スペクトラム)」と診断され、同じ当事者と出会い、自分自身の物語をつむぐことができるようになった。
 脳性まひで医師の熊谷晋一郎さんは緊張しやすく、つながりが強すぎる身体を持つ。
 当事者運動で同じ立場の人々との出会いの喜びとともに、同質性を強調されるときの窮屈さもある。
 (薬物中毒者のための)ダルク女性ハウスのミーティングや、べてるの家の当事者研究を体験することで、同質でありながら違うことを許容されることの大切さを伝える。
 「つながりの作法」を編み出すふたりの営みは貴重だ。(衣)

【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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