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ふぇみんの書評

フェミニストカウンセリングの実践

井上摩耶子 編

  • フェミニストカウンセリングの実践
  • 井上摩耶子 編
  • 出版社:世界思想社 価格:2,300円
 フェミニズムやジェンダーの視点を抜きに、性暴力やDVなど女性被害者への問題解決に向かって進むことはできない―全編を通じて揺らぐことのないこの視点は、15年にわたる「ウィメンズカウンセリング京都」の実践が目指し、獲得してきたもの。従来の男性中心に構築された学問体系におけるこの視点の「欠落」を指摘する。
 性暴力、依存症、子育て、母娘関係など、様々な女性の「問題」は、社会の構造によって生み出される。その差別構造と闘うフェミニストカウンセラーが、しなやかに力強くクライアントに寄り添う小さな実践の積み重ねが、社会を変える大きなパワーになる可能性が実感できる。
 本書は、広く対人援助にかかわる人にとっての有益な指南書であるのはもちろん、フェミニズムを学ぶための実践的なテキストにもなる。ここで述べられる理論と技法は、社会の差別構造と闘い、人を理解し、自分を見つめるための力となるだろう。(の)

グローバル化に対抗する運動ともうひとつの世界の可能性いかに繋がり、いかに変えるか

C・アギトン、C・ウィッタケル、秋本陽子ほか 著

  • グローバル化に対抗する運動ともうひとつの世界の可能性
  • C・アギトン、C・ウィッタケル、秋本陽子ほか 著
  • 出版社:現代企画室 価格:1,600円
 新自由主義に対抗し「もうひとつの世界」を可能にするための議論を深めようと上智大学グローバル・コンサーン研究所などにより企画されたシンポジウムの記録。
 ATTAC(市民のために金融取引に課税を求めるアソシエーション)創設にかかわったクリストフ・アギトン、「世界社会フォーラム」設立発起人のシコ・ウィッタケルによって、世界社会フォーラム(WSF)の事例をもとに、これからの社会運動に必要だという理念が示される。日本からは、秋本陽子がATTACジャパンの取り組み、河添誠が反貧困運動、松本哉が地域に根付いたある種の消費者運動ともいえる「素人の乱」の取り組みなどについて、対抗運動の事例を紹介し、海外ゲストと討論する。
 実践と異議申し立てと政治的行為が相互に関連し、ピラミッドではなくネットワーク型、グローバルに連携する社会運動が、今後さらに必要となるだろう。(竹)

ウシがゆく植民地主義を探検し、私をさがす旅

知念ウシ 著

  • ウシがゆく 植民地主義を探検し、私をさがす旅
  • 知念ウシ 著
  • 出版社:沖縄タイムス社 価格:1,800円
 沖縄タイムスに連載された文章を中心に、2002~10年の著者の思いが詰まった一冊。
 沖縄がおかれている状況・立場は「植民地」ではないかと感じた著者は、国内外の人々と語り、現実を見つめながら、“精神の脱植民地化”の道を探っていく。
 言葉、文化、教育、恐れ…“植民地”という支配-被支配の関係は、日常生活の中に多重的に現れ、中でも無自覚のうちに内面化した植民地主義は気づきにくい。
 「沖縄大好き」と語る観光客や「沖縄の基地反対」と運動する人々に、「では、どうぞ基地を持って帰って」と言うと、必ず返ってくる沈黙や怒り。その過剰なまでの反発の奥にあるのは何なのか。その問いは、かつて「本土なみに」のかけ声の中で育った著者自身の内面にも向けられる。
 私たちはいまどんな社会にいるのか。戦争のない世界に向かうには―読みやすい文章で深く問いかける本書を、多くの人と読み合い討議したいと思った。(JO)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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