遺伝子組み換えナタネ汚染
遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン 編
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- 遺伝子組み換えナタネ汚染
- 遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン 編
- 出版社:緑風出版 価格:2,000円
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肉や魚を焼く、野菜を炒めるなどナタネ(カノーラ)油を原料とする食用油は毎日の料理の必需品だ。この食用油はマヨネーズやマーガリンにも含まれる。それが、遺伝子組み換え(GM)ナタネであるのかどうかは、加工品にはGMの表示義務がない日本では分からない。だが、国産ナタネの自給率は0.04%、食卓に輸入GMナタネがのる割合は8割弱というから、その可能性はとても高い。
GMナタネは種子のまま輸入され、食用油工場へ輸送の途中でこぼれ落ち、自生し、繁殖してしまうことが、市民グループの全国調査で判明した。本書は、対策を取ろうとしない行政に対し、地道に調査をしてまわり、ブロッコリーなどとの交雑などを調べ、抜き取りなどにも取り組んだ6年間の活動記録である。また、GM作物の危険性や、世界的な作付けの広がり、世界一のGM輸入国である日本の現状、生物多様性への悪影響などについても平易に解説し、警鐘を鳴らしている。(束)
その後の不自由「嵐」のあとを生きる人たち
上岡陽江+大嶋栄子 著
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- その後の不自由 「嵐」のあとを生きる人たち
- 上岡陽江+大嶋栄子 著
- 出版社:医学書院 価格:2,000円
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薬物やアルコール依存、摂食障害などから「回復」するとはどういうことなのか? それらに依存することで何とか生き延びてきた人たちを「援助」するとはどういうことなのか?
薬物依存の当事者であり、ダルク女性ハウス代表の上岡さんと、ソーシャルワーカーでNPO法人リカバリー代表の大嶋さんが、それぞれの豊富な体験をもとに、この難題に真っ向から取り組んだ。
親をはじめとする「応援団」を持たずに育つ寂しさ。それは「悲しい」「痛い」という感覚のスイッチを切ることであり、他者との関係をつなぐ言葉を奪われることでもある。
依存を断つことで現れる「嵐」のような日々。本人も援助者も幾度も「罪悪感」に襲われるが、「ゆっくりと生き延びていく、そのプロセスこそが回復」と2人は語る。
当事者や援助者に具体的な示唆を与えると同時に、自己肯定、他者との関係構築という普遍的なテーマが、読み手に迫る。(JO)
- 労働再審① 転換期の労働と〈能力〉
- 本田由紀 編
- 出版社:大月書店 価格:2,600円
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「人間力」「生きる力」「コミュニケーション能力」「問題発見・解決力」などなどの「○○力」が日々増殖するカオスに生きる我々にとって、〈能力〉は厄介な概念だ。
しかも、その〈能力〉をどう身につけるかについての確かさもないまま、無限定に〈能力〉を持つことだけが個人の努力や条件として求められてしまう社会にいる。
本書は、この〈能力〉がどのように変容し現出しているかを、大企業の内部、公務労働における人事制度の変容、ジェンダーと能力をめぐる現状、フリーターの聞き書きなどにおける諸論考からより詳細に記述する。
男性的能力と女性的能力という形で分けられてきた能力が産業社会から情報サービス中心社会へと移行する中で、感情労働などの女性的能力が男性によって取り込まれ、新たなジェンダー秩序を産出している構図を抉り出す論点も切実だ。
〈能力〉の桎梏からの解放への多様な絵を共有したい。(衣)