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ふぇみんの書評

べてるの家の恋愛大研究

浦河べてるの家 著

  • べてるの家の恋愛大研究
  • 浦河べてるの家 著
  • 出版社:大月書店 価格:1,600円
 べてるの家は、北海道浦河町で生まれた、精神障がい等を抱えた当事者の地域活動拠点。まち興しや、「幻覚&妄想大会」「当事者研究」などユニークな試みが国内外の注目を集めている。
 自分の「苦労」を仲間とともに解明する「当事者研究」はいずれも示唆深いが、「究極の苦労」ともいえるのが、恋愛。この本には当事者たちの恋愛研究がギッシリ詰まっている。
 共依存、妄想、自己嫌悪、片思い…。統合失調症、パーソナリティ障がいなど人間関係の苦労が人一倍多いメンバーだけに、自分の恋愛パターンを分析し、自分の助け方を考察する研究は奥深い。
 大笑いし、深くうなずきながら読むうちに、自分も研究の仲間入りをしていることに気づく。そう、恋愛は誰にとっても、厄介で楽しい「自己コントロール障害」!?
 巻末の「浦河におけるカップル支援&子育て支援」も、DVや虐待に悩む社会に大きな示唆を与えてくれる。(JO)

妊娠を考える 〈からだ〉をめぐるポリティクス

柘植あづみ 著

  • 妊娠を考える 〈からだ〉をめぐるポリティクス
  • 柘植あづみ 著
  • 出版社:NTT出版 価格:2,000円
 妊娠・出産は極めて個人的なことだ。が、世界を見渡せばどの国も過去様々な人口政策がとられてきたし、現在もまた然りだ。
 本書は妊娠・出産や、それにかかわるものが政治、文化、経済などとどう結びついているのかを論じている。医療人類学、社会学、女性学・ジェンダー論の分野にまたがって、生殖技術や出生前検査などの研究を続けている著者だけあり、出産場所、超音波検査、不妊治療、代理出産などについて、幅広い視点からのアプローチが興味深い。
 不妊治療をしている女性や産婦人科の医師、出産経験のある人などにアンケートやインタビューをしており、豊富な調査からの考察には説得力がある。
 妊娠や出産に関する選択は、自由にみえても、社会の価値観や政策、周囲との関係性や個人的体験など複雑な要因が絡み合って決定され、選択肢も狭い場合が多く、そこには様々な問題点があることが本書からみえてくる。(り)

有機農業で世界を変えるダイコン一本からの「社会的企業」宣言

藤田和芳 著

  • 有機農業で世界を変える ダイコン一本からの「社会的企業」宣言
  • 藤田和芳 著
  • 出版社:工作舎 価格:1,800円
 世の流れが大企業、大資本による経済繁栄の道を邁進していた1975年、著者はベトナム反戦世代の仲間たちと路上でダイコン売りを始めた。無農薬野菜の味は美味だった。2年後には有機農業の生産・流通・消費のネットワークを担う「(株)大地を守る会」を設立。消費者からは「レースのカーテンのように虫に食われた小松菜、ねずみのしっぽのようなニンジン」と言われながらの出発だった。
 「利益よりミッション優先」という理念を掲げての行動に2007年には「世界を変える社会起業家100人」(『ニューズウィーク』誌)に選出された。パレスチナの人たちが作るオリーブオイルを購入するだけでなく、その農作業のための農道づくりも援助する、韓国の詩人金芝河らと換金作物に頼らない自給・自立をめざす「互恵のためのアジア民衆基金」設立など実践は幅広い。NGO的企業には今、時代の熱い視線があるという。 (束)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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