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ふぇみんの書評

六ヶ所村 ふるさとを吹く風

菊川慶子 著

  • 六ヶ所村 ふるさとを吹く風
  • 菊川慶子 著
  • 出版社:影書房 価格:1,700円
 処理工場など核燃サイクル施設の集まる六ヶ所村。
その六ヶ所村に菊川さんが帰郷したのは20年前。チェルノブイリ事故がきっかけだった。  この本は彼女にとっては初めての「運動」だった核燃反対の経験や、その中での両親、夫、子どもたちのことなど私的な苦労も抱えながらの今までを率直に語ったもの。たたかいの中で得た多くの人たちとの出会いももちろんだが、彼女の強い意志がなくては今日はなかったこと、特に女性ならではの苦労とそれを乗り越える力に感動した。
現在菊川さんのつくった「花とハーブの里」には、若い人たちが集まり、チューリップ畑、無農薬のルバーブジャム作り、果樹園などと彼女の夢を実現させようとしている。  しかしあとがきにある「日本の原子力政策が変わらない限り、いいえ原子力政策が変わっても核のゴミは残り続ける…」の言葉が重く残る。(泰)

こんな「健康食品」はいらない!誰も知らないその実態と問題点

若村育子 著

  • こんな「健康食品」はいらない ! 誰も知らないその実態と問題点
  • 若村育子 著
  • 出版社:大和書房 価格:700円
 サプリメントなど「健康食品」とうたわれているものをよく利用している人が読んだらショックを受けるかもしれない。セサミン、イソフラボン、クロレラ、ローヤルゼリーなど、なじみのある「健康食品」50品目について、その必要性を検討している本書。消費生活アドバイザーの著者が「健康食品」の実態と問題点を述べている。
 メーカーの開発担当者などに取材し、様々なデータを集め検討した結果、多くの「健康食品」は、「気休め」「効果は疑問」「必要なし」などと判断される。中には「過剰摂取は危険」というものもあるから要注意だ。ただバッサリと切り捨てているわけでなく、代わりになる食べ物を紹介し、「健康食品に頼らない食生活」への具体的な方法をアドバイスしている点がいい。
 重要箇所は太字にするなど、工夫のある編集で、読みやすい。自分が利用している健康食品のことを知りたい人だけでなく、食生活を見直したい人にもおすすめだ。(り)

愛の労働あるいは依存とケアの正義論

エヴァ・フェダー・キテイ 著/岡野八代、牟田和恵 監訳

  • 愛の労働あるいは依存とケアの正義論
  • エヴァ・フェダー・キテイ 著/岡野八代、牟田和恵 監訳
  • 出版社:発行=白澤社 発売=現代書館 価格:4,400円
 すべての人は自立的存在であるとする社会観には限界がある。なぜなら、人間は生まれてから死ぬまで、障害をもつ可能性も含め様々な「依存」を経験するからだ。そしてその依存者をケアする依存労働者もまた社会には平等に参加できず不利な立場に置かれる。特に依存労働は女性が担ってきた歴史があり、このことを見据えない(男女)平等論は意味がないと著者は言う。
 哲学者であり、重度の障害のある娘をケアする著者は依存労働の重責ゆえの搾取を分析する。
 公的介護や保育所整備、障害のある人々の生活を社会的に支える方策などの基本的な考え方と重なる。また、シングルマザーが福祉政策要求の出発点だとされる。
 依存労働者の解放を保障する普遍的な支援とは高福祉高負担の北欧型の福祉ということになるのだろうか。長大な文章はやや負担だが、主張は納得ができる。(衣)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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