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ふぇみんの書評

ゲイでええやん。カミングアウトは息子からの生きるメッセージ

伊藤真美子 著

  • ゲイでええやん。 カミングアウトは息子からの生きるメッセージ
  • 伊藤真美子 著
  • 出版社:東京シューレ出版 価格:1,500円
 「ドド」の愛称で親しまれる著者は、学童保育の仕事に携わって約30年。様々な子どもや親と共に、子育て・自分育てをしてきた。
 ある日、17歳の息子からゲイであることをカミングアウトされる。薄々感じていたことであり、ゲイへの偏見はかけらもないにもかかわらず、心の中に生じた混乱…。この本は、喜怒哀楽そのままに前を向いて進んできたドドの子育て体験記であり、自己成長記とも言える。
 夜間大学の学生時代に知人から誘われて入った学童保育。子どもを変える子どもの力、息子の不登校などにどっぷりかかわりながら、泣いて、笑って、落ち込んで、感動する清々しさに「人間っていいな」と気持ちがホッコリしてくる。
 「私が子どもたちに願うことはひとつだけ。一人で大きくなったわけじゃないこと、自分は世の中にたった一人しかいない、かけがえのない存在であるということを自覚すること」。ドドの言葉に改めて深くうなずく。(JO)



あるB・C級戦犯の戦後史 ほんとうの戦争責任とは何か

富永正三 著

  • あるB・C級戦犯の戦後史 ほんとうの戦争責任とは何か
  • 富永正三 著
  • 出版社:影書房 価格:2,000円
著者、富永正三さんは大学卒業後、満州糧穀会社に入社。1940年に熊本の連隊に入隊したのち、中支派遣軍として旧満州に派遣された。敗戦後、シベリア抑留生活ののち、戦犯として他の1000人以上の兵士たちとともに中国の「撫順戦犯管理所」に送られる。戦争中、中国人捕虜の斬殺など、残虐行為を重ね、死刑も免れぬ覚悟をしていた。ところが中国政府の扱いは意外なものだった…。
 戦犯管理所で6年間、罪と向き合い、鬼から人間へ生まれ変わった富永さんは帰国後、仲間たちと中国帰還者連絡会(中帰連)を立ち上げ、「日中友好」「反戦平和」を掲げて命の限り証言を続ける。自らの罪をどうつぐなうか。何が彼らを変えたのか。戦争責任とは何か。再び過ちを繰り返さないために、何をすべきか。これらは2002年に他界した富永さんから与えられた課題でもある。本書は1977年に出版された初版(水曜社刊)の復刊版。著者の深い思索を追いながら、考えてみたい。(室)



それでも彼を死刑にしますか網走からペルーへ 永山則夫の遙かなる旅 改訂新版『死刑弁護人』

大谷恭子 著

  • それでも彼を死刑にしますか  網走からペルーへ 永山則夫の遙かなる旅 改訂新版『死刑弁護人』
  • 大谷恭子 著
  • 出版社:現代企画室 価格:1,600円
19歳で4人を殺し、最初の殺人の後からは自殺志願者となり心を閉ざしていた永山則夫は、獄中で書物と出合う。なぜ自分は殺人を犯したのかを問い、遺族への償いを自らに課し、貧困と無知による犯罪の根絶を叫び『無知の涙』などの作品を世に問うが、1997年、死刑となった。永山則夫の弁護人を務めた著者は「(高裁での)無期は軽きに過ぎて“正義”に反する」とした最高裁判断に対し、多くの事実を示し、反論を試みている。死刑廃止論者ではなかった著者だが、この事件を引き受けるなかで確信的な死刑廃止論者に変わったという。 裁判員時代を迎え、命を奪った者は自らの命で償うべきと考える人にも、本書はひとつのテキストになるだろう。
 永山則夫の良き理解者でもあった著者らが処刑後も彼の遺志を継ぎ、ペルーの貧しい子どもたちに永山の印税とコンサート収益を届けている姿にも感動した。(束)



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