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ふぇみんの書評

他人と暮らす若者たち

久保田裕之 著

  • 他人と暮らす若者たち
  • 久保田裕之 著
  • 出版社:集英社 価格:700円
 若者を中心に注目されだしている友人や知人などとの同居。本書は、筆者自身も実践するこの「シェア」と呼ばれる住まい方を通して、家族との同居か一人暮らしが当たり前とされる現状をとらえ返すものである。内外の事例が豊富に紹介されており、シェア入門書の趣もある。
 共有スペースの使い方、家事の分担、友人や恋人を呼ぶ際のルール、病気になった時のケア…。「他人」との共同生活を成立させるには、利害や価値観をすり合わせる必要がある。筆者は、家族との同居や一人暮らしにはないこのシェアの側面を「民主主義の小学校」と呼ぶ。そのような行為は、具体的な生活の場面で異質な他者を信頼し、助け合う実践でもあるからだ。
 これまでの若者論にない新しい論点であり、家族中心社会としての日本社会批判とも読める。信頼し合い、助け合えるのは家族だけという家族神話は、異質な他者との共生を困難にし、家族の他者性を覆い隠すだろう。(ぐ)



ジェンダー視点から戦後史を読む

米田佐代子、大日方純夫、山科三郎 編著

  • ジェンダー視点から戦後史を読む
  • 米田佐代子、大日方純夫、山科三郎 編著
  • 出版社:大月書店 価格:2,600円
 本書は「歴史認識においてジェンダー視点を持ち、その視点から戦後史をとらえ直そう」とする、研究者たちによる論文集。
 内容は、憲法、学校教育、労働、性・生殖・セクシュアリティー、地域社会、戦争、平和、戦後民主主義と幅広い。個人的には、語られることが少ない地域社会のジェンダー関係の変容について論じた章が興味深かった。新潟県湯沢町の例を挙げ、戦後の公民館や青年団が人々の結婚観を変える役割を果たしたことや「女性が経済的自立性を強めつつ地域社会の担い手として登場してきている」ことなどに注目したい。
 「ジェンダー視点」の方向性が、「男女平等」や「女性の立場」を説くだけでなく、「人権」「平和」「性」「協同」といった、全人類的課題に向かうという、著者たちの意見に納得する。「ジェンダー指数」の国際比較でいえばかなり低位である日本で、体系的に語られた「ジェンダー視点」の可能性を探る本書はもっと読まれていいと思う。(り)



お産と生きる 大野明子対談集なぜ、自然なお産か 産科医からのメッセージ

大野明子 著

  • お産と生きる 大野明子対談集 なぜ、自然なお産か 産科医からのメッセージ
  • 大野明子 著
  • 出版社:メディカ出版 価格:2,200円
東京で、自然なお産を手がける産科医の著者による対談集。対談相手は、元愛育病院院長の堀口貞夫さん、愛知で妊婦に薪割りなどをさせて自然分娩を手がける吉村病院院長の吉村正さん、青森の総合周産期センター長で産科技術の最先端にありながら極力自然なお産を大切にする佐藤秀平さんら。本書は著者の経験と対談から「自然なお産が一番安心で安全、母子の幸せにつながること」と、それを支える産科医療のあり方を提言。
 近年帝王切開率は約20%。産科医の課題が、「自然お産を診ること」より「異常を発見して医療介入する」のが主な課題だからだ。その結果「安全なお産=帝王切開」のイメージが広がった。しかし安易な医療介入はその後の分娩が危険になる確率が高いなど、さらなる医療介入を呼ぶという。高次の医療センターが込み合う原因にもなる。「産科医療崩壊」解決の道標、同時に希望の一冊。(登)





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