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ふぇみんの書評

海の向こうの被爆者たち在外被爆者問題の理解のために

平野伸人 編著

  • 海の向こうの被爆者たち 在外被爆者問題の理解のために
  • 平野伸人 編著
  • 出版社:八月書館 価格:1,500円
 1945年、原爆が日本に投下された。朝鮮半島などから強制連行されたり連合軍の捕虜となって広島・長崎で被爆し、戦後それぞれの国に帰国した人々、戦後の移民政策で海外に渡った人々など「在外被爆者」は約5000人と推定されている。これらの人々は現在、韓国、北朝鮮、アメリカ、ブラジル、ヨーロッパなどに散住している。本書は彼らの歩んだ半世紀以上の歴史と、被爆者たちの今なお続くつらい思いをまとめたものである。
 日本で「被爆者援護法」が紆余曲折の末に成立したのが1994年。在外被爆者が同じ権利を得たのは2008年。これらの成立までには国内でも多くの闘いがあったが、在外被爆者が何度も日本に足を運んだこと、現地での治療が困難であったことなど、さらなる苦労があったことを知ることができる。
 世界で最初に原爆を投下したアメリカで、大統領が核廃絶を訴えるようになった今、本書は核廃絶のための貴重な資料として時宜を得た出版である。(泰)

自分らしい葬儀とお墓の全てが分かる本

自分らしい葬送を考える企画委員会 編

  • 自分らしい葬儀とお墓の全てが分かる本
  • 自分らしい葬送を考える企画委員会 編
  • 出版社:三省堂 価格:1,600円
 葬送の革命が静かに始まっている。散骨、自然葬、樹木葬、家族葬、手元供養、生前葬…。その変化を本紙で連載中の井上治代さんは「脱継承」「双方化」「自然志向」「個人化」と分析。
 「何々家先祖代々の墓」という形式が生まれたのはたかだか明治以来のことだという(夫婦同姓もしかり)。それを墓は長男が継ぐものと思い込み、日本人はそれに縛られてきた。苗字も同じでなくてはと思い込んでいる。
 しかし、自分らしい葬儀を決め、墓に納骨するかどうかも自由なのである。
 本書は、親族が亡くなったときに何を決めてあればいいのか、葬儀社の選び方、葬儀費用のあらまし、そして、海洋散骨の具体的方法と船等の費用、樹木葬、永代供養墓の解説までを実践的にまとめる。
 さて、あなたはどのような葬儀を望むのだろうか。それを誰に伝えておくのだろうか。本書を頼りに一度まとめておいてはいかがだろう。(衣)

眼の奥の森

目取真俊 著

  • 眼の奥の森
  • 目取真俊 著
  • 出版社:影書房 価格:1,800円
 沖縄県今帰仁村に生まれ現在も沖縄に在住し、一貫して戦後の沖縄の風景や人々の中にある沖縄戦や米国による占領の傷跡などを描いてきた著者による連作小説。
 64年前の沖縄県北部にある米軍に占領された小さな島で、米兵による少女(小夜子)の輪かん事件が起こる。小説は、時代を超え空間を超えて事件に連なる人々の苦悩やつぶやきを、生命力にあふれた沖縄の空気感と色彩とともに鮮やかに織り上げた。狂気にいたる小夜子、小夜子を慕い米兵に復讐をする盛治、輪かんに加わり戦後は酒に溺れた米兵とその息子と孫、1995年の米兵による少女輪かん事件で封じていた記憶が蘇った女性、小夜子を蔑み暴力をふるった父や村人を憎む妹、学校の授業で事件を聞きいじめに遭う自分の境遇と照らす女生徒…。
 誰もがブラックホールのようにぱっくり開いた闇を抱え、占領や暴力がいつまでも残す傷跡の生々しさを描く。同時に時代を経ても響き合う小夜子と盛治の魂が美しい。(登)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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