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ふぇみんの書評

自由の扉今日から思いっきり生きていこう

ジェーン 著

  • 自由の扉 今日から思いっきり生きていこう
  • ジェーン 著
  • 出版社:御茶の水書房 価格:1,600円
 2002年に神奈川でアメリカ海軍兵士にレイプされたジェーンさん(仮名)。駆け込んだ神奈川県警では尊厳を無視され、乱暴かつ強引な捜査主導の対応の中で二次被害を受けた。「すべてが苦痛」で「地獄」と感じた被害後から、回復の道のりを歩みはじめ、サバイバーになっていったジェーンさんの心の軌跡が、自ら描いた絵とともに鮮やかに記されている。
 PTSDを患いながら、加害兵士と県警を訴え、24時間体制のレイプ緊急支援センターの設立のアドボケーター活動にも取り組むジェーンさん。回復の過程では家族や知人の支え、国内外のサバイバーや沖縄で50年前に米兵にレイプされた女性らとの出会いがあった。あふれる色彩は、性被害者へのスティグマをはねのけ、人生を思いっきり楽しむ権利と尊厳を取り戻し、あるべき世界を宣言するジェーンさんの生命力そのもの。同じ境遇の人へのエールとともに、この日本で性犯罪被害者支援に何が必要なのかを痛烈に教えてくれる。(登)

自殺する種子アグロバイオ企業が食を支配する

安田節子 著

  • 自殺する種子 アグロバイオ企業が食を支配する
  • 安田節子 著
  • 出版社:平凡社 価格:720円
 私たちの日々の食卓には、種をまくことで実った作物、魚、鶏や豚・牛の肉があり、それらの加工品が並ぶ。メニューは豊富になった。しかし、その裏でどのような事態が進行しているのかを包括的に事例を示して暴き、警鐘を鳴らし、未来の食の展望を示しているのが本書だ。
 タイトルにある「自殺する種子」とは、2世代目の種子が死滅するように遺伝子操作を施す技術のこと。農家の自家採種を無意味にし、アグロバイオ企業には莫大な利益となる。同種の技術が次々と開発されている現状には驚かされた。  近代農法(農薬・化学肥料の多投)も問題は多いが、近代畜産(密飼い・抗生物質や成長ホルモンの多使用)の下でモノ扱いされ一生を終える家畜たちの姿も無残だ。
 日本でも世界でも、利潤最優先で、土地の風土にあった栽培の「技」を持つ小規模農家は消えていく。このままでいいのか? 長く消費者運動にかかわった著者の積年の怒りが伝わってくる。(束)

学校から見える子どもの貧困

藤本典裕・制度研 編

  • 学校から見える子どもの貧困
  • 藤本典裕・制度研 編
  • 出版社:大月書店 価格:1,800円
 日本の子どもの貧困率は14%と、OECDの中で4番目に高い。本書は、注目される子どもの貧困の中で、特に学校の現場から見える子どもの貧困に学校事務職員と研究者が議論し迫る。
 公立の小中学校で授業料や教科書代は徴収されないが、授業や特別活動などのための「学校教育費」のうち保護者の私的負担は公立小学校で年に5万円、中学校では13万円以上にのぼる。教育費支出における家計負担の割合は22%、特に高等教育では53.4%。
 保護者負担金が増大し教育予算が削減され、不払いの親に対する自己責任論が聞かれる。就学援助の国庫補助が一般財源化し就学援助が縮小されつつある。全国で所得基準もバラバラ、申請に民生委員の所見が必要な自治体もある。公立高校の授業料の減免者も増加。
 学校納入金の滞納などを黄信号として受け取り、学校と教職員でチームを組んで対応する必要があるという主張にうなずく。(衣)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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