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ふぇみんの書評

「生きる」ために反撃するぞ!労働&生存で困った時のバイブル

雨宮処凛 著

  • 「生きる」ために反撃するぞ! 労働&生存で困った時のバイブル
  • 雨宮処凛 著
  • 出版社:筑摩書房 価格:1,200円
 日本では労働者はモノとなってしまった。新たな階級制度ができ、いったん階段を踏み外すと「再チャレンジ」はムリ。過度のプレッシャーで心を病む人も急増。本書に登場する、自己責任を内面化する若年世代、職場で性暴力にさらされる女性、言葉が通じないためけがや事故にあう外国籍労働者、奴隷さながら働かされる外国人研修生の実態は、日本社会のむごたらしさそのものだ。
 著者は「反撃しよう」と呼びかける。都市部を中心に1人で加入できる労働組合や互助組織のようなネットワークなどの動きが活発になり、それぞれが反撃し始めている。本書には13の「反撃さん」が登場。困窮した時、職場で困っている時に使える知識、どこにつながれば死なないかという、学校でも職場でも役所でも教えてくれない情報も。「もやい」の湯浅誠さんと『完全自殺マニュアル』の著者・鶴見済さんとの対談も収録。(竹)

デンマークの高齢者が世界一幸せなわけ

澤渡夏代ブラント 著

  • デンマークの高齢者が世界一幸せなわけ
  • 澤渡夏代ブラント 著
  • 出版社:大月書店 価格:1,700円
 介護難民、老人施設での虐待、家族介護の疲れと無理心中…この国で高齢になることは嫌なことだとつくづく思う。一方デンマーク在住40年近くの著者が、幸福な高齢者を支えるデンマークの制度と思想を、身近にいる人の例を織り交ぜながら明らかにする。
 デンマークでは「必要な人に、必要なとき、必要なだけ」、様々なサービスが得られる。それを支えるのは給与の半分とも言われる税金。年金からも30%ほど税金を支払う。しかしバリアフリーの住宅改修や補助器具支給、医療費が無料のほか、暖房費援助などあるため、どの所得の人も「文化的で健全な生活」が営める。住宅政策や精神的ケアも手厚い。この違いは? 著者は自治体の高齢者政策に高齢者が参加するなどの民主主義の本意の徹底と、「ない人には分かち、ある人は分ける」というコンセンサスの存在だと指摘する。福祉国家の基盤は民主主義だ。(登)

丸腰国家軍隊を放棄したコスタリカ 60年の平和戦略

足立力也 著

  • 丸腰国家 軍隊を放棄したコスタリカ 60年の平和戦略
  • 足立力也 著
  • 出版社:扶桑社新書 価格:760円
 1948年、コスタリカは丸腰国家になることを選択した。著者は中学生だった87年に「コスタリカ人たちは、軍隊がないことを最大の防衛力だと考えている」という新聞記事を見て、不思議な思いがしたという。なぜなら、80年代の中米からは軍事政権、武力紛争、泥沼の内戦という血なまぐさい報道ばかりが伝えられていたからだ。加えて、世界は米ソの冷戦構造下にあり、核戦争の恐怖もあった。この国はどうやって生き延びているのだろうか?
 この疑問を抱き続けた著者による22年後の解答が本書だ。どのような経緯から非武装中立路線を選択し、それをどう維持する努力をしてきたかは本書に詳しい。憲法9条を持ちつつ軍事大国の日本にとって耳の痛い描写や、死刑がないだけでなく、刑務所には堀がないなどびっくりする報告もある。一方、政治腐敗や男性優位主義なども指摘し「軍事費を医療と教育に充てた理想国」との紹介に終わらないところに著者の気概が伝わる。(束)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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