WOMEN'S DEMOCRATIC JOURNAL femin

  • HOME
  • >
  • ふぇみんの書評

ふぇみんの書評

マーガレット・ミードオックスフォード 科学の肖像

ジョーン・マーク 著/西田美緒子 訳

  • オックスフォード 科学の肖像 マーガレット・ミード
  • ジョーン・マーク 著/西田美緒子 訳
  • 出版社:大月書店 価格:1,800円
 本書は、アメリカの有名な文化人類学者のマーガレット・ミードの評伝。家族との葛藤や、フランツ・ボアズやルース・ベネディクトら文化人類学者との出会い、様々な場所でのフィールドワークの様子、恋愛・結婚経験など、興味深い内容が記されている。
 初めてミードを知った時、1920年代に、24歳の彼女が単身でサモアに調査に行ったという事実に驚いたことを覚えている。ミードは人をひきつける話術を持ち、講演会やラジオに頻繁に登場していたようだ。研究者としての地位も確立し、晩年まで精力的に仕事をしていた。
 サモアのおおらかな性を報告した『サモアの思春期』や、文化によって男性と女性の役割が決定されるとした『男性と女性』など、彼女の著書は批判も反論もされたが、アメリカ社会に大きな影響を与え、ジェンダー理論の先駆的な研究書になった点などに注目したい。
 10代から読める伝記シリーズの一冊で読みやすい。(り)

市民ファンドが社会を変える

西尾漠、末田一秀 編著

  • 市民ファンドが社会を変える
  • 西尾漠、末田一秀 編著
  • 出版社:コモンズ 価格:1,600円
 市民ファンドは、市民の寄付で成り立ち、福祉・人権・まちづくり・国際協力などにかかわるNPOや非営利の事業を応援する助成制度のこと。本書は1994年に東京で発足した「草の根市民基金・ぐらん」の活動が紹介されている。
 英語で助成を意味する「ぐらん」は、生活クラブ生活協同組合・東京が、89年、人権や環境の分野で活躍した人に贈られる「ライト・ライブリフッド賞」を受賞したことがきっかけだった。市民による市民のための事業支援が決められ、「ぐらん」がスタートした。
 赤い羽根募金やユニセフ募金、行政や法人、企業による寄付金や助成など多くの制度があることを本書から勉強させてもらった。ただ、募金先や選考が不透明、応募方法が複雑、助成金の使途が狭いなど、敷居が高いものが多いようだ。ぐらんは、そうした点をクリアするべくよく練られている。資金面で常時厳しい市民団体にとってうれしい存在であり、同種の試みが広がることを願う。(束)

ポスト新自由主義民主主義の地平を広げる

山口二郎 編著

  • ポスト新自由主義 民主主義の地平を広げる
  • 山口二郎 編著
  • 出版社:七つ森書館 価格:1,800円
 北海道大学で政治学を研究する編著者が、様々な分野の研究者らを招く連続講演会の模様を伝えるシリーズの第2回。本書の講演会は2008年3月から5月にかけて、経済学者の金子勝さんや、元鳥取県知事の片山善博さん、社会学者の上野千鶴子さん、哲学者の柄谷行人さんらを招いて行われた。金融危機後の金子さんとの対談も。
 貧困を拡大させ、地方財政や福祉、社会保障を崩壊させた新自由主義の時代は終わった。今こそ真の民主主義の出番と、様々な分野から議論しているのが本書だ。金子さんが「新自由主義政策を進めた政治家や学者が責任をとらず新ビジョンもない」と批判すれば、片山さんは、税率決定と住民投票で民意を頻繁に汲むことを提案。上野さんは「誰もが中途障がい者になる超高齢化社会の今日、最も弱い立場の人への共感をベースに社会の価値観と仕組みを変えねば」と訴える。(登)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
このページのTOPへ