NewsLetter 10 Cover

CPR News Letter Vol 10

1996年6月

監獄訴訟をめぐる状況に変化? 各地からの報告

o徳島刑務所受刑者接見訴訟で一部勝訴判決

96年3月15日徳島地裁は、受刑者と弁護士との接見に刑務官を立会わせ時間を30分に制限した徳島刑務所長の処分について(明石書店『監獄と人権』参照)、立会いを「裁量権の逸脱はない」としたものの、時間制限を国際人権B規約に照らし違法と判決しました。金子武嗣さんに報告していただき(4ページ)、判決の意義について『国際人権と刑事拘禁』(日本評論社)の著者、北村泰三さん(熊本大学)に解説していただきました(5ページ)。また関連する、95年11月10日の四国弁護士連合会の決議について、徳島弁護士会の松原健士郎さんから報告していただきました(6ページ)。

o東京拘置所国賠で東京高裁が画期的決定

 ニュースNo.8で紹介した東京拘置所のエジプト人被拘禁者に対する暴行・虐待事件国賠訴訟では、収容された「スペシャル・ルーム」の検証や診療記録に関する文書提出命令が東京地裁民事第28部に却下されました。ところが去る3月26日、東京高裁第14民事部は、これらの内、診療記録の文書提出命令に関して地裁の却下決定を取消し地裁に差し戻す決定を下しました。代理人の丸山敦朗さんに報告していただきました。(7ページ)

o千葉刑務所革手錠国賠判決

 2月26日東京地裁民事17部(雛形要松裁判長)は、千葉刑務所看守による暴行、保護房拘禁と不当懲罰、保護房収容中の革手錠の使用に対し、受刑者2名が国家賠償請求訴訟を起こしていた事件で、請求棄却の判決を出しました。弁護士の上本忠雄さんに報告していただきます。(8ページ)

o千葉拘置場暴行国家賠償請求訴訟を提起

 1993年8月に起きた千葉刑務所拘置場看守による、被拘禁者に対する暴行について、出獄した元被拘禁者が、96年3月7日、国家賠償請求訴訟を提起しました。この時、国選弁護人を務め暴行直後の傷害を現認し、現在も代理人である弁護士の四宮啓さんに報告していただきました。(9ページ)

o小倉検察審査会で看守不起訴不当の議決

元・小倉刑務所受刑者が服役中に看守から暴行を受け、福岡地検小倉支部に看守を刑事告訴していましたが、不起訴処分となりました。ところが、1996年1月25日小倉検察審査会は地検の不起訴処分を不当とする議決を行ないました。代理人の中尾晴一さんから報告していただきます。(10ページ)

o熊本刑務所刑務官大量不当処分

 前号でも報告した通り、熊本刑務所では96年3月、「暴力団から供応を受け不正行為を行った」として刑務官が大量に処分されましたが、これは受刑者の密告に始まる事実無根のものでした。一方的な取調べで得た供述により、刑務官に対する不当な処分、受刑者に対する無実の事由に基づく不当懲罰が繰り返されており、CPRにも複数の受刑者から救済申立が来ています。5月23日、不当な免職処分を受けた刑務官自身が人事院に不服申立を行いました。刑務官部会から報告します。(12〜13ページ)

o刑務所労働についてスペインで国際会議

 「強制労働」との批判もなされる日本の刑務作業。この“刑務所労働”をテーマに、1996年5月9・10日、スペインで国際会議「現代監獄法とその実践〜刑務所労働に焦点を当てて」が開催されました。CPRから井口克彦さんと海渡雄一さんが参加し、日本の現状をレポートしました。海渡雄一さんに報告していただきます。(2〜3ページ)

oオーストラリア刑務所博物館訪問記

 大英帝国の流刑地として開拓され、現在も建設的刑事政策が行われているオーストラリア。96年2月に現地を訪れた事務局の阿部圭太さんから、流刑地から現代まで刑罰の歴史を伝える刑務所博物館の様子を伝えてもらいました。(14ページ)

o海外からの情報・報告

 13年間厳正独居処遇が続いた旭川刑務所の磯江さんに関する95年2月の国連拷問特別報告官の報告に対して、日本政府が回答していました。またアメリカ国務省の国別年次人権報告のうち代用監獄問題以外の関連部分を、あわせて報告します。(15ページ)

o映画<デッドマン・ウォーキング>上映とトーク

oNEWS IN BRIEF