有事立法ニューススクラップ帳
国会での混乱の一方で有事立法の制定の動きか進んでいます。
有事立法関連ニュースを集めました。有事立法反対の行動や学習に役立てて下さい。

5/29

地方公聴会を来月5、7日と決定。与党は今国会成立を決してあきらめていない

・衆院有事法制特別委は29日、地方公聴会を6月5、7日に行うことを全会一致で決めたという。そのあとの理事会で5日は仙台市と鳥取市、7日は新潟市と佐世保市で開くことで合意。与党は地方と中央の公聴会日程の強行議決を一旦は撤回したが、国会会期の大幅延長によって虎視眈々と今国会中の成立を狙っている。

・政府・与党は29日、今国会(6月19日まで)の延長問題について本格的な検討に入った。自民党の麻生太郎政調会長は29日、記者会見で「必要な会期延長はやむを得ない」と語り、公明党の神崎武法代表や保守党の野田毅党首もそれぞれ会見で延長容認を表明した。いまのところ1カ月から40日程度の延長が言われているが、小泉首相や自民党の山崎拓幹事長は、郵政法案や健康保険法改正案などに加え、有事法制関連法案も成立させることを念頭に、さらに大幅な延長も視野に入れているとみられる。

・郵政関連法案を優先することによって、有事関連法案の今国会成立は無理とする一部の報道もあるが、油断は禁物である。政府・与党は、民主党や自由党を取りこみながら今国会中の成立を決してあきらめていない。反対の声を国会にぶつけ、継続審議ではなくて廃案に追い込むために、さらなる力を結集することが要請されている。

5/29

防衛庁、情報公開請求者のブラックリスト作成・回覧。有事法制のもとでは国家レベルでおこなわれる!

・防衛庁が、情報公開法に基づいて同庁に公開請求した142人の個人情報を独自に身元調査し、それらを記載したリストを作成していたことが28日分かった。請求時に記入の必要のない職業や生年月日、思想信条に関することも記載されており、複数の関係部署で回覧された。中谷防衛庁長官は29日の衆院有事法制特別委で、リストの存在を認めた上で、「個人的な判断で行っていたかどうかについては、本当に個人かな、という気がしている。そうではないかもしれないという気がするので、そういう角度で調査をさせている」と述べ、組織的な関与を否定できないとの見解を示した。

・これは前代未聞の人権侵害事件である。情報公開法を使って自衛隊の実情を明らかにしようとしている沖縄や横須賀など全国の反基地運動、反戦平和運動に対する露骨な敵対である。今回の事件ではっきりしたことは、有事法制が通ると大変な事態になるということである。国民全体、市民一人一人を戦争に協力させるということは、これに反対する者、非協力者を思想チェックと身元調査で普段から監視することと表裏一体だからである。

・何よりもまず、事実関係を徹底的に究明させなければならない。誰の指示か。何のためにやったのか。その情報をどこから、どんな方法を使って得たのか。警察、自治体などが協力したのかどうか。有事関連法案、個人情報保護法案の審議と一体のものとして、徹底的に追及していかなければならない。

5/27

野党、会期延長に一致して反対表明。 民主党は修正協議に応じるな!

・野党4党首は27日、東京・銀座でそろって街頭演説し、小泉純一郎首相の即時退陣を求めるとともに、今国会の会期延長に反対する考えを表明し、小泉政権との対決姿勢をアピールしたという。

・政府・与党は、有事関連法の強行突破に失敗し窮地に陥っている。つぎからつぎへとスキャンダルが露呈し、内閣支持率はドンドン下がり、「重要法案」が軒並み暗礁に乗り上げている。そして、会期延長によって「重要法案」のいくつかでも成立させるしか活路を見出せなくなっている。野党は、このような与党の窮地に手を差し伸べてはならない。

・与党内では法案の修正論議が浮上しているという。民主党は「武力攻撃事態」の定義の明確化など24項目の質問主意書を既に提出しており、これらを論点とする修正論議に応じることによって野党の結束を崩そうとしている。民主党は、この与党の甘言に誘われてはならない。民主党の主張する人権擁護の考えと有事関連法は、真っ向から対立するものであり、修正などでその対立が解消するものではない。

5/27

大半の知事は『慎重審議を』、国との役割分担戸惑い。自治体への働きかけを強めよう!

・有事関連3法案について、共同通信社が27日までに全国四十七都道府県の知事にアンケートを実施した結果、8人が法案に賛成、2人が反対を表明したのに対して、34人が「どちらとも言えない」と回答した。有事の定義や国と自治体の役割分担が不明確なことへの戸惑いが目立ち、国民の合意形成など時間をかけた慎重な審議を求める声が圧倒的だったという。

・「賛成」と回答した北川三重県知事は「超法規的措置を避けるため、平時にこそ法整備が必要」と主張。東京都の石原知事は「自治権も私権も国家の主権に包含される」と全面的な国への協力を明言しつつ「国民の生命保護などの法整備が二年以内では遅すぎる」と指摘。

・「反対」の田中康夫長野県知事は「法案が想定する上陸攻撃型以外に多くある有事への手だてがない」。高知県の橋本知事は「白紙委任状を出すようなもので、将来もし過激な発想の人が政権をとれば悪用される危険性がある」を理由に挙げたという。

・有事法制が発動されれば、地方自治の理念は吹っ飛ぶ。国に従って全面協力するか、そうでなければ国が土足で乗り込んできて命令する。知事たちに「戸惑いが目立つ」のは当然である。有事関連法案に反対している人々は、自治体やその首長に対してもさらに働きかけを強め、自治体として反対の姿勢を明確させ、国に突きつけて行く活動が必要であろう。

5/25

憲法改悪の手続きを定める国民投票法案、今国会提出を断念

・「憲法調査推進議員連盟」(中山太郎会長)は25日、憲法改正の具体的な手続きを定める国民投票法案と国会法改正案について、今国会中の提出を断念する方針を固めたという。これらの法案は、「実際に憲法改悪するための手続きを定める法律」として、社民党・共産党や護憲の市民団体などから厳しく批判されていたもの。

・同議連は、「憲法に改正条項があるのに、その手続きを定める法律がないのは国会の不作為だ」として、昨年11月の総会で両法案を公表し、議員立法で今国会に提出することを目指していた。しかし、両法案提出の党内手続きを完了したのは自由、保守両党だけ。自民党は20日の役員会で、小泉首相が「拙速を避け、慎重に進めてほしい」と法案提出の事実上の先送りを指示。民主、公明両党も「冷静に検討できる環境ではない」と慎重な姿勢で、会期内に提出する方向で意見集約するのが困難となったため。

・今国会で審議されている有事関連法案は、平和憲法を真っ向から否定している。憲法に違反する法律が無効になるのではなく、法律が憲法を否定するという、近代法としてあってはならないことが、今強行されようとしている。この実質的憲法否定のつぎに準備されているのは、公然とした憲法否定=改憲である。今回の国民投票法案の提出断念は、実質的憲法否定をまず優先させ、公然とした憲法そのものの改悪はその後に回そうという政府・与党の意思表示でもある。

5/24

有事関連法の廃案を要求して 23日、24日東京で連日大規模集会

・与党3党の今月末衆院強行採決という暴走を拒否し、有事関連法の廃案を要求する労働者・市民・宗教者などの大規模な集会とデモが23日、24日相次いで都内で開催された。

・23日夜、日比谷野外音楽堂にて「第3弾 異議あり!! 有事法制──戦争の準備にはNOを──5・23集会」が、フォーラム平和・人権・環境などのよびかけで開催され、労働組合、市民団体、宗教団体、政党など4000人を越える人々が参加した。民主党からは菅幹事長が与党の横暴批判を訴え、社民党からは福島幹事長が廃案を訴えた。労働組合からは廃案へ向けた闘いの報告がなされた。

・24日夜、明治公園にて「STOP!有事法制5・24大集会」が、陸・海・空・港湾労組20団体、平和をつくり出す宗教者ネット、平和を実現するキリスト者ネットのよびかけで開催され、4万人を越える労働者・市民・宗教者・学生などが参加した。有事法制反対の集会としては最大規模のものとなり、あの広い明治公園がぎっしり参加者で埋まった。政党では、志位共産党委員長、土井社民党党首らから、なんとしても廃案させる決意が表明され、労働組合や市民団体からはそれぞれの職場や地域での闘いが報告された。集会後は3コースに分かれてデモがおこなわれ、有事法制廃案が都民に訴えられた。

野党 小泉首相の会期延長指示に反発。野党は結束して延長拒否を!

・与党は、前日の地方公聴会延期決定に続けて、24日中央公聴会の延期も正式に決定した。野党の結束と地方および国民からの批判によって、与党の暴走がなんとか食い止められた。そして、つぎの焦点である国会会期延長について対決が深まっている。

・野党は小泉首相が重要法案をすべて成立させるため、今国会の会期の大幅延長を検討するよう自民党執行部に指示していたことに反発を強めている。民主党の菅幹事長は24日の記者会見で「会期が終了すれば閉じるのが当然だ」と述べ、6月19日で閉会すべきだとの認識を表明。社民党の福島幹事長も「有事法制関連法案などは欠陥法案であり、延長で克服できる内容ではない。予定通り閉じて一から出直すべきだ」と強調したという。

・小泉内閣はいま満身創痍の状態にある。八方塞がりの活路を有事法制で切り開こうとしている。野党は結束を維持し固めて、有事関連法案強行成立のための会期延長を拒否し、頑張り通さなければならない。そのことが与党内、自民党内の亀裂を大きくし、勝利への展望を切り開いていくことになる。

5/24

与党、会期延長しても有事関連法案を成立させる構え。国民の批判のまえに、今月末強行採決は断念。

・与党3党は、23日の地方公聴会延期決定に続けて、24日には中央公聴会をも延期する方向で検討している。衆院有事法制特別委での強行議決に対する4野党一致した抗議、審議拒否と国民世論の反発、さらに自民党内部の橋本派などからの批判を受けたため。これにより、与党3党が目論んでいた今月末衆院強行採決は不可能となり、つぎの焦点は、会期延長による成立をどう阻止するかに移る。

・福田官房長官は24日午前の記者会見で、有事法制関連3法案の審議日程が固まらないことについて「この国会は、そういう法案を通すためにやっている。法律が通らないのは困る。十分な審議ができるような十分な時間が必要だ」と述べ、重要法案を今国会で成立させるためには会期延長が避けられないとの認識を示した。

・毎日新聞報道によると、有事法制関連3法案に対し、那覇市議会は24日、慎重審議を求める意見書を全会一致で採択した。意見書は「県民の願いは一刻も早い米軍基地の整理縮小と日米地位協定の見直し」と指摘し、「有事法制はこの願いに反し、新たな犠牲を沖縄県民に強いるのではとの強い危惧(ぐ)の念を禁じ得ない」と慎重審議を強く求めている。また、指定公共機関に協力が義務付けられる内容について「憲法上保障された国民の権利は最大限に尊重を」と指摘している。また、 神奈川県の岡崎洋知事は23日の会見で、有事関連3法案について「十分な審議、密度の濃い審議を行うことが大切だ」と拙速さを批判したという。

 

5/23

有事特別委の公聴会日程の強行議決に抗議の声が続々

・21日の有事法制特別委の公聴会日程与党強行議決に抗議し、月末に予測される衆院強行採決に反対する声が東京をはじめ全国各地で広がっている。

・国会前では連日、市民グループや宗教者が座り込みを続け、昼には集会が開かれているが、22日には特別委の強行議決に対して、1000人を越える労働者・市民が抗議の声をあげた。さらに、23日昼にも衆院議員会館前で有事関連法案の反対と慎重審議を要求する集会が開かれた。夜には日比谷野外音楽堂で「第3弾 異議あり!! 有事法制──戦争の準備にはNOを──5.23集会」が、24日には明治公園で5万人集会が予定されている。

・さらに、有事関連法案に反対ないし慎重審議を要求する声が全国で広がっている。その一部を紹介する。

超党派の地方議員ら約60人は22日、東京・永田町の衆院議員会館で集会を開き、「市民の暮らしに最も身近なところで活動する地方議員として、地域から平和をつくりあげていくため有事法制に反対する」とのアピールを採択し、小泉純一郎首相あてに提出した。
 京都府の八幡市議会は22日、臨時議会を開き、有事法制3法案に反対する意見書を賛成多数で可決した。府内では大山崎町議会が八日に同様の意見書を可決したのに続き二番目で市議会では初めてという。
 長野県の喬木村議会は22日までに、小泉純一郎首相と中谷元・防衛庁長官あての有事法制に反対する意見書案を、全会一致で可決した。有事法制反対の意見書可決は、同県内の自治体の議会では初。東筑摩郡坂北村議会も、拙速を避けて国会、地方議会、国民の間での十分な議論を求める意見書を可決した、等など。

5/21

有事法制委 公聴会日程を与党単独で議決。野党は徹底して審議拒否を! 国民は一人一人行動を!

・衆院有事法制特別委員会は21日夕、与党3党だけで委員会を開き、有事法制関連3法案についての中央公聴会を27、28両日に行うなどの日程を強行議決した。野党側は「公聴会設定は時期尚早」などと反発し委員会を欠席した中での暴挙。野党4党は今後、衆参両院で新たな審議日程の協議には応じない方針。

・法案などの採決の前提となる公聴会開催の日程は全会一致で決めるのが慣例。衆院事務局によると、委員会で全野党が欠席したままの議決は、売上税をめぐって自民党が単独で採決した87年2月の予算委員会以来という。

・民主党の鳩山代表は21日夕、記者団に対し「30時間そこそこの審議で公聴会をセットするというのはとんでもない話だ」と与党の対応を厳しく批判。社民党の福島幹事長は「法案の欠陥と答弁のあいまいさ、いい加減さは目に余る。瓦委員長の姿勢も公正・中立な委員会運営から逸脱したものだ」とする談話を発表した。

・国民の多数は慎重審議を求めている。与党の今月末衆院通過を目指した強行姿勢は国民から支持されていない。野党は結束して徹底的した抗議行動と審議拒否をおこなうべきである。とくに民主党が最後までたたかうかが決定的に重要となる。

・有事法制に反対している人々と審議を尽くすべきだと思っている人々は、いまこそ与党の強行採決に反対し、慎重審議を要求して行動を起こすべきである。集会・デモへの参加、政府や与党への抗議の電話・FAX・メール、野党とくに民主党への激励の電話・FAX・メールなどなど。

5/20

有事法案30日採決も 与党強硬姿勢、野党反発。 沖縄公聴会も含め徹底審議を尽くせ!

・有事関連3法案について、与党3党は20日、同委理事会で、採決の前提となる公聴会の27日開会を野党側に打診した。与党内には28日に同委採決、30日に衆院本会議通過という日程案が浮上、強行採決も辞さぬ構え。

・同委の久間自民党筆頭理事は「何があろうと21日には公聴会日程を採決する」と強硬姿勢。与党側は31日に韓国・ソウルでのW杯開会式に小泉首相が出席を予定していることから、30日の衆院本会議で採決し、月内に法案を参院に送りたい考え。

・野党側は「国の針路を左右する重要法案を、問答無用で通すような姿勢は許されない」「審議は始まったばかり。法案の問題点は山積している」と反発し、熊谷国対委員長は、沖縄県など米軍基地所在地などでの公聴会開催を求めていく考えを示し、与党側が日程協議を強行すれば、他の重要法案審議を含め国会審議を全面ストップさせる考えを強調している。

・社民党東門氏は20日、特別委で沖縄県選出議員として初めて質問に立ち、米軍基地が集中する沖縄で県民が有事法制を理解・納得できるよう、公聴会の開催を政府に求めた。福田長官は、その要求に応えないばかりか、さらに、同氏の質問に対して、有事の際の沖縄県民の負担について「米軍基地がたくさんあることを考えれば、その分の負担は追加的にある」と述べた。

5/20

衆院特別委は、政府の反憲法発言の陳列台! 国民は反撃を!

・政府は、有事関連3法審議の答弁において、先制攻撃や米軍支援などで次々に発言をエスカレーションさせている。

・中谷防衛庁長官は20日の衆院有事法制特別委で、ある国が日本を攻撃する意図を明示したうえでミサイル発射の準備を始めた場合について「座して自滅を待つというのが憲法の趣旨とは考えられない。防御のためほかに手段がないと認められる限り、ミサイル基地をたたくことは法律的には自衛の範囲に含まれ、可能だと考える」と述べ、自衛隊がミサイル基地を先制攻撃することが憲法上認められるとの見解を初めて示した。

・政府はこれまでの審議で、ミサイル攻撃については「被害発生を待つ必要はなく、相手国が攻撃に着手した段階で自衛隊の武力行使は可能」(安倍官房副長官)「相手が日本を攻撃する意図の明示があれば、ミサイルに燃料を注入するとか、その他の準備を始めれば着手と考えていいと思う」(福田官房長官)と答弁していた。

・さらに中谷長官は、米軍への武器・弾薬の提供について「周辺事態法やテロ支援対策法で武器・弾薬(の提供)を除いたのは、米側のニーズ(要請)がなかったから。憲法上出来ないからではない」と述べ、「大いに憲法上の適否について慎重に検討を要する問題」という従来見解を翻し、準備されている米軍支援法制では、武器・弾薬の提供が含まれる可能性を示した。

5/20

「国民保護法制」に政府終始あいまい答弁。米軍支援が出来ればまずは良し?

・20日の有事法制関連3法案をめぐる国会審議で、「国民の保護のための法制」の中身を問う質問が民主党などから相次いだ。審議中の武力攻撃事態法案では、2年以内を目標に法整備する項目が並ぶだけで、政府はこの日も、外出制限、交通規制、生活物資配給、価格統制などに一般的に触れるのみで、「今後検討する」を繰り返した。

・政府はここ数年の間に日本が武力攻撃される事態を本当に想定してはいない。したがって、「国民の保護のための法制」について急ぐ必要ありとは思っていない。急がなければならないのは米軍がイラクや北朝鮮に攻撃をかけたときの支援。そのときの自衛隊の行動の自由、戦略物資補給や医療など銃後の支援体制こそが、いま必要なこと。

5/19

「ミサイル燃料注入は『おそれ』事態該当」と官房副長官発言。有事発動のしきいはこんなに低い!

・安倍官房副長官は19日、テレビ報道番組で、「武力攻撃のおそれのある事態」について、「(相手国が)日本攻撃の意図を表明していれば、(ミサイルに)燃料を注入した段階だ。これは極めて(武力攻撃の)着手に近い」と述べた。さらに、「相手国が(日本攻撃のために)ミサイルを運び出し、特別な設備を作ったり、人を集めたりすれば、武力攻撃が予測される事態だ」との見解を示し、武力攻撃事態とみなす「しきい」が極めて低く考えていることを明らかにした。

・小泉首相の「第一撃をうけたうえでなければ対応できない」という答弁と一体どう整合性をとろうというのだろうか。

5/19

内閣支持は38%に下落 不支持は47% 朝日新聞世論調査

・朝日新聞社が18、19の両日実施した全国世論調査(電話)によると、小泉内閣の支持率が前回の42%から38%に下がり、同内閣発足以来初めて3割台に落ちたという。不支持率は47%で前回の40%から上昇し、同内閣では過去最高になった。

・今回、不支持の理由では、「政策の面」が最も高く、前回の20%から27%に増えた。内閣の「悪いところ」でも「外交・防衛政策」が23%で、前回の9%から急増した。また、中国・瀋陽の日本総領事館事件をめぐる外務省の発表内容を「信用していない」が7割を超えているという。

・このような内閣支持率で、日本の「外交・防衛政策」を根底から変える有事関連法案を、ほとんどまともな審議もなしで「今週中に」(19日山崎幹事長発言)強行採決しようとしているのである。こんなデタラメを国民は許してはならない。

5/18

有事法制阻止誓う 沖縄県民大会に8000人

・「5・15平和行進」の最終日となった18日、「5・15復帰30年 平和と暮らしを守る県民大会」(主催・沖縄平和運動センター)が宜野湾市海浜公園野外劇場で開催された。大会には復帰30年を迎えても変わらない基地の姿を見つめながら歩いた平和行進の参加者らがぞくぞくと集まり、県内外から8000人が参加した。大会で参加者らは、基地の撤去や有事法制の成立阻止のために連携していくことなどを誓い合った、と琉球新報は伝えている。
・主催者を代表して沖縄平和運動センターの崎山嗣幸議長は「有事関連法案が成立すれば再び沖縄が戦場になりかねない。沖縄から平和を発信し、有事3法を阻止していく」と決意を述べ、有事法制の成立阻止のため連携していくことを県外からの参加者にも呼び掛けた。
・大会では「私たちは戦争のための法律を拒否する」との日米両首脳にあてた決議を採択した。また「戦争のためのすべての軍事基地を撤去させよう」など3つのスローガンも採択された。

・一方、19日には国と県による記念式典が開かれ、小泉首相は式辞の大部分を沖縄の経済振興策に割き、県民の最大の願いである米軍基地問題については従来の方針を棒読みしただけで、基地縮小に全く熱意のないことを示した。また、日米地位協定の見直し問題についても運用改善で対応し、改定交渉の意志がないことを明らかにした。

5/18

W杯 さながら自衛隊の軍事訓練、有事法制の先取り

・政府は、サッカー・ワールドカップ(W杯)の期間中、「生物・化学兵器テロやフーリガンによる大規模暴動」などに備えると称して、自衛隊の出動態勢を整える活用方針をまとめたという。

・朝日新聞報道によると、警備の主体はあくまで警察としているが、米国で起きた航空機テロも想定しており、試合中は競技場上空を原則飛行禁止とし、航空自衛隊の空中警戒管制機(AWACS)が警戒監視に当たるという。不審な航空機を発見すれば、警察のヘリコプターと連携して排除する。航空機テロが事前に予想されたり、連続して起きたりする可能性が高い場合には、治安出動としてF15戦闘機の出動もありえるとしている。

・生物・化学兵器テロには、知事の災害派遣要請を受け、化学防護隊(計約800人)が、除染や被害者の救助にあたる方針。すでに16日、大会開催地の自治体担当者に要請手続きを説明している。

・また、フーリガンによる騒ぎが暴動にまで深刻化する事態も想定。陸上自衛隊の師団や混成団はすでに、各道府県警と治安出動時の役割分担を規定した現地協定を結んでいる。

・これでは、まるでW杯に名を借りた軍事訓練であり、有事法制の先取りであり、そして有事関連法案国会通過へ向けた一大デモンストレーションである。

5/17

三重県議会が撤回求める決議 有事関連・個人情報法案 

・朝日新聞報道によると、三重県議会は17日、国会で審議中の個人情報保護法案と有事法制関連法案の撤回を求める決議案を、賛成多数で可決した。全国都道府県議会議長会によると、都道府県議会ではどちらも全国で初めてだという。

・個人情報保護法案については「報道に関する適用除外範囲があいまいで、表現の自由を侵害するおそれがある」などとし、新たな法案を再提出すべきだとしている。また有事法制関連法案については「国民の基本的人権や財産権を侵すおそれが強く、民主主義の本旨にもとるものである」としている。

・臨時会には自民会派などから両法案の「慎重審議」を求める決議案も提出されたが、最大会派の新政みえなどが提出した「撤回」の賛成が過半数を占めたという。

・その他、鹿児島県や福井県なども、有事関連法案について、県から国会に対して「反対」や「慎重審議」を要求するよう、申し入れがおこなわれている。

5/17

自治体側の懸念に政府答えず 国民保護法制の枠組みを都道府県に示す

・有事の際の国と地方の役割分担や、国民が求められる協力の内容などを盛り込む「国民の保護のための法制」の枠組みが17日、都道府県の担当者会議に示された。

・政府の説明資料によると、総則的部分で国や都道府県、市町村の役割分担や安全確保のための体制づくりなどを規定。「被害を最小にするための措置」「避難に関する措置」「復旧に関する措置等」に、具体的な施策を盛り込む。自然災害などを対象にした災害対策基本法と似た組み立てになっているという。

・ただ、(1)これらの措置を、国や自治体、民間の誰が担うのか(2)自治体に対する首相の指示権限がどういう場合に強化されるのか−−など、自治体の関心が特に高い点については具体的に触れていない。

5/17

対テロ米軍支援の半年延長を閣議決定 前回実績上回る150億円計上で何をするのか

・政府は17日、テロ対策特別措置法に基づく米軍などへの支援・参戦の半年延長を閣議決定した。延長の理由について、(1)日本は国際テロとの闘いを自らの問題と認識し、できる限りの支援・協力を実施している(2)アルカイダなどによる脅威の除去に努める国際社会の取り組みは、現在もなお多くの国が参加して活発に実施されている(3)日本としても国際テロ根絶への取り組みに今後も積極的かつ主体的に寄与することが重要、などと説明。ただ、自衛隊の活動の規模や内容は変更せず、当初検討したイージス艦の派遣も、有事関連法案の国会審議への影響などを考慮して見合わせたという。

・延長に伴い新たに必要になる経費として予備費約150億円を計上する。当初、協力支援活動には173億円(うち艦艇用燃料80億円)の予備費が計上されたが、使用期限の年度末までの執行は91億円にとどまった。今回、それを上回る150億円を計上する点については、防衛庁や与党内にも「活動を活発化させるわけでもないのに」といった疑問の声が上がっているという。

・米軍はアフガンとその周辺に軍事的プレゼンスを維持しておくのが目的で居座りつづけている。たとえ対テロ特措法を認めたとしても、自衛隊を派遣しつづける根拠は全くない。それとも対イラク戦に備えているのか。

5/16

有事法制3法案 兵庫県弁護士会が反対声明

・有事法制3法案について、兵庫県弁護士会(藤野亮司会長)は16日、同法案に反対する会長声明を発表し、小泉純一郎首相や各政党、兵庫県選出の国会議員などに送付した。

・声明文では「武力攻撃事態の範囲、概念が極めてあいまい。軍事物資などの確保のために私有財産の収用、使用など国民の協力・努力義務を定めることは基本的人権を侵害し、国家総動員体制への道を切り開く重大な危険性を有する」と指摘。また「武力攻撃事態と認定されれば、神戸港が軍事目的に利用される可能性が高い」などとして、「(3法案を)このまま見過ごすことはできず、国民が十分に議論する機会がないままでの同法案成立に反対する」と主張している。

5/16

武力攻撃事態の認定基準を政府が提示 いままでの説明と何ら変わらず 

・福田官房長官は、1週間ぶりの衆院有事法制特別委員会で、武力攻撃事態法案に関連し、(1)「武力攻撃が予測される事態」とその次の段階である「武力攻撃のおそれのある事態」を認定する基準(2)指定公共機関の対象、についての政府見解を示した。

・自衛隊が陣地構築や予備自衛官の招集を行える「予測される事態」について、同長官は「ある国が我が国への攻撃のため、部隊の充足を高めるべく予備役の招集や軍の要員の禁足・非常呼集を行っているとみられる」「我が国を攻撃するためとみられる軍事施設の新たな構築を行っている」と例示。自衛隊が反撃に備えて防衛出動し、部隊を展開できる「おそれのある事態」については「ある国が我が国に対して武力攻撃を行うとの意図を明示し、攻撃のための多数の艦船あるいは航空機を集結させている」ことを挙げた。

・一方、指定公共機関に新聞社を含める可能性については、同長官は答弁で「印刷媒体という意味では緊急性という意味でテレビなど放送にかなわない」とする一方で、「インターネットを使って即刻報道が行われていることを考えると、新聞社にもご協力をいただく可能性はないわけではない」と述べた。

・なんどか本スクラップ帳で指摘しているように、日本が攻撃された時ではなくて米軍が戦争を始めた時に発動しようと考えているから、有事法制発動の基準をいつまでたっても政府は明確にしないのである。

 

5/16

「自衛隊は軍隊」防衛庁長官居直る 国民をなめきった発言

・中谷防衛庁長官は衆院有事法制特別委で、自衛隊の位置付けについて「国を守り、外国の侵略に対抗する実力を持つものを(軍隊と)言うなら、自衛隊を軍隊と言うのは可能であり、国際社会でも軍隊と位置付けられている」と述べ、「軍隊」を軍隊ではないと強弁してきたことから一転して居直った。

・憲法を遵守しなければならない政府が、国会の場で公然と、自らやっていることが憲法違反だと言っているのと同じであり、国民をなめきった発言である。

5/15

沖縄で平和行進始まる 有事法制反対/米軍基地県内移設反対をよびかけ 

・沖縄の復帰30年を迎えた15日、沖縄平和運動センターが16日から3日間の日程で行う「5・15平和行進」の結団式が、那覇市民会館で行われ、約800人が参加。「3日間の行進で、沖縄の日本復帰30年を見詰め直そう」と誓い合った。平和行進には県外からの参加者約1500人を含め3日間で延べ約1万人が参加。16日から3コースに分かれて本島内を行進する。18日午後に宜野湾市海浜公園野外劇場で県民大会を開く。
・結団式で、主催者を代表して崎山議長が「沖縄の本土復帰30年の節目の年に、有事関連法案が国会に提出され、平和憲法が危険な方向に進んでいる。沖縄にはいまだに米軍基地が集中し、事件事故が後を絶たない。平和行進、県民大会を成功させ、有事法制の成立、米軍基地の県内移設を断念させる闘いにつなげよう」と呼び掛けた。

5/15

有事関連法案 与党24日の衆院通過目指す? 強行採決絶対反対!

 ・毎日新聞によると、与党3党は15日、衆院武力攻撃事態特別委員会の理事懇談会で、有事法制関連3法案について、今月24日の衆院通過を目指すことで一致したという。

・まだ審議が始まったばかりである。日本の安保政策を根本から変え、憲法を根底から否定する法案がまともな審議もなしに、質問に対するまともな答弁もなしに、強行採決をやろうというのか。暴挙以外のなにものでもない。国民一人一人が行動を起こすべきときである。

5/12

有事法制反対の声明 相次ぐ

・新潟県弁護士会(川上耕会長)は12日、今国会で審議中の「個人情報保護法案」「人権擁護法案」の抜本的修正を、「武力攻撃事態法案」などの有事法制3法案については廃案を求める会長声明を発表した。近く、小泉純一郎首相や法務省など関係官庁、県選出国会議員らに書面を送付する方針。
 有事法制3法案については、*平和主義を貫く日本国憲法との適合性について慎重な検討、議論が必要 *「事態」の範囲・概念が極めてあいまい *法案の具体的内容が国民に明らかにされていない――などと批判している。

・児童文学の作家や翻訳家らがつくる社団法人・日本児童文学者協会(古田足日会長、955人)は11日、有事法制に反対する声明を出した。「実際に戦争協力を迫られ動員されるのは、今の大人たちだけでなく、現在と未来の子どもたちだ」として、戦争への道が準備されないように有事法制に反対する、としている。

・長崎原爆被災者協議会は11日の理事会で、国会で審議中の有事関連3法案に反対する決議文を政府に送ることを決めた。決議文は「『備えあれば憂いなし』が小泉(純一郎)首相の口癖だが、そのことが(戦争中、日本軍の)戦域を拡大し、広島・長崎の惨禍につながった」と指摘。「2度と戦争犠牲者を出すことを許してはならない」としている。

5/11

政府、ありもしない「武力攻撃事態の例示」で国会・世論を誘導?

・朝日新聞報道によると、有事関連3法案の武力攻撃事態について、政府は11日、事態認定の基準になる事例をまとめたという。それによると、自衛隊が反撃に備えて防衛出動し、部隊を展開できる「武力攻撃のおそれがある事態」については「ある国が日本に対して武力攻撃を行うとの意図を明示し、攻撃のための多数の航空機あるいは艦船を集結させていること」を例示。さらに、自衛隊が陣地構築や予備自衛官の招集を行える「武力攻撃が予測される事態」の認定基準としては「日本攻撃のためとみられる軍事施設の新たな構築を行っていること」「ある国が日本攻撃のための部隊の充足を高めるべく予備役の招集や軍人の非常呼集・禁足を行っているとみられること」の2点を挙げたという。

・戦争の可能性は、日本に武力攻撃があることによって生ずるのではなく、日本がアメリカとともに攻撃をしかけることによって生ずる。このことを明確にするために、政府のあいまいな「武力攻撃事態の定義」について論戦することが必要なのであり、「日本への武力攻撃のおそれ」という政府のあおりに乗せられてはなるまい。

5/11

NHKだけでなく民放も、さらには新聞社も指定公共機関の可能性 

・政府は11日、武力攻撃事態法案で有事の際に協力する責務があるとされる「指定公共機関」の取り扱いについて「災害対策基本法に基づいて定められた60の指定公共機関を参考に検討し、別途政令で定める」などとする見解をまとめた。報道機関では民放や新聞社について指定の可能性を否定していないという。

・見解は、報道機関の役割として「警報などの緊急情報の伝達」を挙げたうえで、民放については「指定される可能性はある」とした。新聞社については「緊急情報伝達の役割を担うことは一般には考えにくい」としているが、国会審議で福田康夫官房長官が言及したホームページの活用や通信社の役割には触れておらず、今後対象を広げて行く可能性は大きい。

・「警報などの緊急情報の伝達」などは、現在の報道機関とそのシステムで何ら支障なくその役割を果たすことができるはず。わざわざ指定公共機関にすることによって、「有事」における報道統制を狙っているしか考えられず、個人情報保護法案などにみられるメディア規制と一体のものとして反対していくことが必要。

5/10

有事3法案に反対声明 東京弁護士会

・東京弁護士会(伊礼勇吉会長)は10日、衆院で審議中の有事法制3法案について、「人権侵害の恐れがあるのみならず、基本的人権尊重主義、平和主義、国民主権主義という憲法の基本原則や民主的な統治構造そのものを変容させる重大な危険性がある」として反対する会長声明を発表した。

・すでに日本弁護士連合会は4月20日に「『有事法制』法案に反対する理事会決議」を出している。

http://www.nichibenren.or.jp/jp/katsudo/sytyou/iken/02/2002_10.html

5/10

「相手方の武力攻撃着手で自衛隊反撃できる」「集会・報道の自由は公共の福祉に反しない限り」 官房長官が更にあぶない答弁

・福田官房長官は衆院有事法制特別委員会の9日の総括質疑で、日本が武力攻撃を受け、自衛隊が反撃(武力行使)できる条件として、実際に武力攻撃による被害が発生していなくても、相手方の武力攻撃の「着手があった時」を含める考えを示した。同長官は、攻撃に対して反撃できるのは「武力攻撃による現実の侵害があってからのち、具体的に言えばミサイルが着弾したのちということではなくて、武力攻撃の着手があった時だ」と明言した。

・8日の答弁では、相手国の領域へ派遣した自衛隊に対して組織的・計画的武力攻撃があった場合に有事関連法が適用でき、さらに、9日の答弁では「武力攻撃の着手があった」と判断すれば反撃できるということであるから、有事法制発動のハードルは限りなく低いということになる。

・さらに福田長官は、国民の自由と権利の制限に関連して、「公共の福祉に反しない限りという意味において、集会や報道の自由は権利として確保されている。あくまでも公共の福祉に反しない限りということだ」と答弁した。

・憲法が保障する基本的人権のなかでも、集会や報道の自由など「表現の自由」が最優先されてきたにもかかわらず、「公共の福祉に反しない限り」を強調した答弁は、今後「表現の自由」を具体的に制限する法を準備している可能性をうかがわせる。

・また、福田長官は、指定公共機関について、「新聞社のインターネット(での情報提供)や通信社もある。報道の自由を制限しない方法で(指定公共機関の)任に当たることは考えられる」と述べ、新聞社を指定することに含みを残した。

5/8 「有事法制」に反対 京都府大山崎町議会 意見書可決

・京都府大山崎町議会は8日、臨時議会を開き、有事法制3法案に反対する意見書を賛成多数で可決した。府内の地方議会では初めての可決。法案は、有事の際の首相から地方自治体に対する指示権限が明記されていて疑問の声が上がっているだけにだけに、他の自治体に今後広がるのか注目される。

・意見書は「国民に協力を義務付け、国民生活の全分野で強制力が働く法案は、戦前、国家総動員法などが制定された過程を想起させる」とした上で、「憲法の平和主義に反する法案を、国民的議論を経ずして国会で強行成立させることに反対する」と表明している。
・採決では、国会で党の見解が一本化されていない民主党議員2人が「留保」を表明して退場した。全議員18人のうち、共産党議員6人と無所属議員2人が賛成、自民党や公明党議員など7人が反対し、議長を除く8対7の小差で可決した。

・全国の地方議会でも同様の動きがあるが、全国市議会議長会と全国町村議会議長会は「まだ正確な実態は把握していない」と京都新聞は伝えている。

5/8

海外派兵の自衛隊への組織的・計画的攻撃により有事適用もありうる!「平時から有事」で民間防衛組織を! 官房長官答弁

・8日の衆院有事法制特別委員会での政府答弁からは、他国領域で受けた攻撃でも有事関連法適用が有りうることや、民間防衛組織や機密保護のための民間人への罰則なども考えていること等々、法案の危険な性格が徐々に浮き彫りになってきた。

・日本領域外での武力攻撃に対する有事発動について
 福田官房長官は、領域外にある日本の船舶や航空機が攻撃を受けた場合の対処について、「例えば公海上の日本の船舶に対する攻撃は、日本に対する組織的、計画的な武力攻撃にあたる(と解釈される)場合もある」と述べた。さらに、福田長官は、相手国の領域内で活動する自衛隊が武力攻撃を受けた場合、「我が国への組織的、計画的な攻撃ということを認定できるかどうかによるが、(認定できれば)理屈ではそういうこと(3法案の対象)になる」と表明し、組織的、計画的な攻撃であれば、有事法制関連3法案の適用対象(武力攻撃事態)と認定し、自衛隊による反撃が可能になるとの見解を明らかにした。
 この答弁は、PKO協力法やテロ特措法などで海外派兵した自衛隊に対して、組織的・計画的攻撃があれば有事関連法を適用する可能性を示唆したものである。

・民間防衛組織について
 福田長官は今後2年以内を目標に整備する国民保護法制に関連して、「平時から備えるのは大事なことなので検討は考えている。必要な組織、訓練のあり方について国民の十分な理解を得られるような仕組みを考えたい」として、平時においても有事に備える訓練のために、一般国民が参加する民間防衛組織の設置に関する新たな法整備を目指す意向を表明した。国民の協力義務の明文化と合わせれば「戦前の隣組」のような統制組織になる危険性がぬぐえない。

・機密保護のための民間人への罰則
 福田長官は、防衛上の秘密保持のため民間人に罰則を科す法整備の必要に関して「今回の法律(有事3法)を万全にするため必要最小限の秘匿、とくに国家的なものについては考えないといけない。総合的に考えなければならない問題で、国会の議論を踏まえる」と述べた。

5/8

有事法制、民主で反対強まる。公明は健保・有事を最優先

・有事法制関連3法案への賛否を留保している民主党内で8日、反対論が強まった。鳩山由紀夫代表は記者会見で、政府・与党との修正協議について「法律を出しながら修正とは欠陥商品と認めているような話で、到底応じられない。まともな答弁ができるまで出直せと言わざるを得ない」と拒否する意向を表明した。有事法制の整備に積極的な保守系議員の間でも、政府・与党との対決姿勢を鮮明にするために反対すべきだとの声が広がっているという。

・公明党の神崎代表は8日の記者会見で、今後の法案審議に関し、「特に(医療制度改革のための)健康保険法改正案と、有事関連法案を軸にして進めたい」と述べ、両法案の成立を最優先する考えを強調した。神崎氏はすでに個人情報保護法案と人権擁護法案の今国会での成立は困難との考えを示唆している。また、国会日程について、「時間をおいてから臨時国会を必要な時に開いたほうがいい」と述べ、会期延長に慎重な考えを示したという。

5/7

武力攻撃事態についてあいまいな答弁に終始。有事法制審議始まる

・有事法制関連3法案をめぐる総括質疑が7日、衆院有事法制特別委員会で始まった。武力攻撃事態についてはあいまいな答弁に終始しながら、国民への要求などは強気の答弁を行った。

・武力攻撃事態について、周辺事態との関係について
 中谷防衛庁長官は武力攻撃事態について「事態は千差万別だ。具体的な定義を言葉で明確にするのは難しい」という曖昧な態度を示しながら、「規模や態様の面で限定するものではない。およそあらゆる事態が対象になる」と説明し、さらに「(警察や海上保安庁が)テロや不審船に対処しきれない場合に、(自衛隊が)武力攻撃事態として対処できる」と述べた。
 また、「どんなときに周辺事態と武力攻撃事態が重なるのか」「武力攻撃が予測される事態とは何か」といった野党側からの質問に対して、「その事態が併存するという事態も考えられる」という曖昧な答弁に終始し、具体的説明を回避した。
 政府は武力攻撃事態を出来る限り抽象的で曖昧なものにしておき、政府の判断次第で幅広く発動したい意図が見え見えの答弁であった。

・「おそれ」「予測」段階での武力行使について
 小泉首相は「武力攻撃を受けた場合は武力行使できる。そのために自衛隊はある。しかし予測する段階で武力の行使など必要ない」と否定した。そのうえで「どういう部隊を展開するか、予防措置を作るかは武力行使ではない」と説明、自衛隊の武力行使は、日本が武力攻撃を受けた場合に限られるとの認識を示した。中谷長官も「武力攻撃が発生しなければ、武力行使はできない」と説明し、武力攻撃の「恐れ」「予測される事態」という段階での武力行使の可能性を否定した。
 しかし、武力攻撃がなければ武力行使しない、という建前のもとで旧日本軍は朝鮮侵略、中国侵略、太平洋戦争へ突っ走って行ったことを忘れてはならない。

・物資の保管命令について
 中谷長官は自衛隊の防衛出動時に民間業者らに保管命令を出す対象物資について「自衛隊の行動に必要なもの」とし、「食糧、水、燃料、建設資材など」の具体例を挙げた。その上で自衛隊法改正案に盛り込んだ、保管命令違反の「6カ月以下の懲役か30万円以下の罰金」の対象について、「本人の内心には関係ない。わざと物資を隠匿したり、使用できないようにしたりする悪質な行為に基づいて考える」と説明、いわゆる「良心的拒否」も罰則対象になるとの考えを示した。

・指定公共機関について
 福田官房長官は指定公共機関に民間放送も含まれる可能性のあることを言明した。今回の法案では配慮して入れなかったが、民放も含むつもりであることが明らかとなった。

・事態対処専門委員会について
 福田官房長官は、「事態対処専門委員会」のメンバーに、自衛隊制服組を起用する可能性については「特に定めていないが、知見、情報を有する者と考えてほしい」と答え、否定しなかった。

5/7

首相、憲法に「おかしい点ある。憲法9条もそうだ」

・小泉首相は7日の衆院有事法制特別委員会で、現行憲法について「おかしい点はたくさんある。憲法9条もそうだ」と指摘したうえで、「いまだに自衛隊の解釈について一切の戦力を保持してはならないというが、果たして自衛隊が戦力でないと国民は思っているのか」と述べた。

・自らも含め自民党歴代政権は「自衛隊は憲法9条にいう戦力ではない」とダマしつづけてきて、いまになって「果たして自衛隊が戦力でないと国民は思っているのか」と国会の場で平然という。ペテン師以外に出来ることではない。

5/5

イージス艦派遣の対日要請、海幕が米軍に裏工作。朝日新聞が報道

・防衛庁海上幕僚監部(海幕)の幹部が4月10日、在日米海軍のチャプリン司令官を横須賀基地に訪ね、海上自衛隊のイージス艦やP3C哨戒機のインド洋派遣を米側から要請するよう働きかけていたことがわかったという。米政府がその後日本側に持ちかけた派遣要請の裏側に、海幕幹部の工作が存在した形になる、と朝日新聞は伝えている。

・日米双方の安保関係筋によると、海幕幹部は4月10日の在日米海軍司令官との面談で、テロ対策特措法に基づく協力支援活動を5月19日の期限切れ後も延長する方針を前提に、米側から次の3項目を日本側に要請するよう、準備したメモ書きにそって促した。「海自イージス駆逐艦は警戒監視能力に優れ、米海軍との情報交換分野で相互運用性(インターオペラビリティー)が強化できるので派遣を期待する」「捜索救難の分野で高度の水上監視能力を持つ海自P3C哨戒機による支援を期待する。もしディエゴガルシア島近辺に来てもらえれば大いに評価する」「海自補給艦2隻のインド洋展開をできる限り長く維持してもらえれば非常に喜ばしい」

・米軍事筋はまた、この海幕幹部が働きかけの理由として「仮に米軍が対イラク開戦に踏み切ってしまってからでは、イージス艦やP3Cの派遣は難しくなる。何もないうちに出しておけば、開戦になっても問題にならないだろう」と説明したことも明らかにしたという。

・これが事実なら、誠に危険な「軍部の独走」の動きと言わなければならない。有事関連法が成立すれば、軍国主義的支配が一挙に強化され、このような「軍部の独走」はますますエスカレーションするに違いない。

5/5

残る有事法制の整備計画、今国会に提示の方針。民主・自由党からの批判をかわすため

・政府は5日までに、有事関連法案に盛り込まなかった残る有事法制について、概要や国会提出時期を明記した整備計画を今国会中にもまとめる方針を固めたという。住民の避難措置など国民保護に関する法制を先送りしたことに野党(民主・自由)から批判が出ているためで、有事法制の全体像を示すことで、今国会での有事関連法案の早期成立に弾みをつけるのが狙い。

・政府がまとめる整備計画は、有事法制整備全体の青写真となるもの。政府内の調整では、残る有事法制について、〈1〉国民の保護に関する法案〈2〉米軍の支援に関する法令〈3〉自衛隊の行動円滑化に関する法案――の3法案にまとめる案が軸となっている。政府は、各法案を秋に想定される臨時国会か、次期通常国会までには提出したい考えだという。

・民主党主流派などの、有事法制には原則賛成だが国民保護などの法制先送り不賛成という立場を崩すための方策であり、当たり障りのない表面的ものが出てくる可能性も強い。

5/3

有事法制反対の護憲集会 全国各地で開かれる

・55回目の憲法記念日である3日、東京、京都、香川、沖縄など各地で有事法制反対を中心に据えた護憲集会が開かれた。

・東京では、「生かそう憲法、高くかかげよう第9条、許すな有事法制 2002年5・3憲法集会」が日比谷公会堂で4000人を越える人々の参加で開かれた。労働組合、市民、宗教者、そして社民・共産党など首都圏の有事法制反対の諸団体、諸個人が危機感を持って結集し、会場通路にも、待合室にも、さらに公会堂外にも参加者が溢れるほど熱気ある集会となった。軍隊を廃止したコスタリカのバルガス国際反核法律家協会副会長からの連帯の挨拶、各界代表アピール、そして土井社民党党首、小田実氏、志位共産党委員長の護憲と有事法制反対のスピーチの後集会アピールを採択してデモ行進に移った。

・その他に、東京では「憲法、『人間の安全保障』と有事法制を考える」(日本教育会館)、京都では「5・3憲法集会in京都戦争放棄したはずやんどーなってんのん今の日本?」(円山野外音楽堂)、香川では「平和憲法を生かす香川県民の会」、沖縄では護憲講演会など全国各地でもたれた。

5/3

テロ対策、防衛庁が民間人派遣を要請 有事法制の先取りが次々と

・朝日新聞の報道によると、戦時の対米支援としてインド洋周辺に派遣されている自衛隊艦艇や航空機を修理するため、防衛庁が「石川島播磨重工業」(本社・東京)など複数の防衛関連業者に対し、技術者の現地派遣を要請していることがわかったという。自衛隊に自前の補修能力がないためで、業者側もこれを受け入れ、要員確保や派遣準備を進めており、防衛庁は要請の事実を認めているが、「まだ非公式のもの」としているという。

・テロ対策特別措置法では、民間人の派遣は想定していない。実際に派遣されることになれば、政府が戦後初めて民間人を危険地域に送ることになる。防衛庁から技術者の派遣要請があったのは、航空機や艦艇のエンジンを製造する石播重工など大手十数社。自衛艦3隻が「情報収集」目的で出航して間もない昨年11月中旬、各社あてに文書で伝えられた。

・石播重工ではすでに派遣要員数十人のリストアップを終え、関係書類を防衛庁側に提出している。関係者によると、防衛庁側は「修理は寄港時に実施し洋上ではやらない」「紛争地域への入港は避けたい」などと説明したとされるが、派遣先にはパキスタン国内などテロや紛争地域と重なる場所も含まれるという。

・政府・防衛庁は、国民のほとんど目に触れないところで、有事法制などの先取りをドンドン進めているということである。

5/1

イージス艦派遣やイラク攻撃支援、「現在」は困難 ―― 自民・久間氏

・自民党の久間章生政調会長代理(与党安全保障プロジェクトチーム座長)は1日、ワシントンで、米国が求めているイージス艦とP3C哨戒機の派遣について「現在の状況からすると非常に難しい。有事関連三法案の審議が連休明けから始まるので、その最中にこの問題を併せて討議するのは非常に困難だ」と述べ、極めて否定的な考えを示し、同時に、自衛隊派遣の根拠になっているテロ対策特別措置法に触れ「アフガニスタンで展開されている米軍の活動を支援するための法律であり(米軍が)中東に敷延していく場合、現在の法律で(自衛隊派遣)はできない」と強調したという。

・米軍のイラク侵略のときには、有事関連法によって支援するつもりなのか、それとも新法をつくり有事関連法と抱き合わせて支援するつもりなのであろうか。

5/1

有事関連法案を優先、公明党代表表明

・公明党の神崎武法代表は1日、滞在先の香港で記者団に、後半国会の対応について「公明党としては特に健康保険法の改正と、いわゆる有事法制を軸に考えていきたい」と述べた。同党としては、健保法改正案と有事法制関連3法案の成立を優先し、支持者に異論も強い個人情報保護法案については結果的に継続審議となってもやむを得ない、との考えを示したもの。

・有事法制とメディア規制は切っても切れない関係。有事関連3法案と個人情報保護法案などメディア規制3法案をすべて廃案に追いこむ運動が求められている。

5/1

全国各地のメーデーで生活危機突破・有事法制反対の声

・連合中央メーデーが連休の中日を避け4月27日お祭りムードで開催されたのに対して、5月1日全国各地で全労連や全労協の第73回メーデーの集会とデモが持たれ、生活防衛や有事法制反対が訴えられた。

・全国労働組合総連合(全労連)の中央メーデーは、東京・亀戸中央公園で約8万人が参加して開かれ、小林全労連議長は「小泉首相に政権を担当する資格はない。経済の危機を打開するための政策を何一つしていない」と小泉内閣の打倒を訴えた。 挨拶した共産党の志位和夫委員長は「自民党を壊すと言っていた小泉首相が壊したのは国民の権利と雇用、憲法と平和だ」と述べ、有事立法の動きを批判した。

・また、全国労働組合連絡協議会(全労協)も東京・日比谷公園に約2万人を集めて集会を開いた。派遣労働問題に取り組む東京ユニオンは、JR山手線沿いを歩いて一周し、正社員以外の権利向上を訴える「派遣・パートメーデー」を実施した。

・一方、大阪では雨の中、連合系、全労連系、全労協系がそれぞれ集会を開いた。 昨年から4月開催に踏み切った連合中央などとは別に、連合大阪は従来通り5月1日の開催。大阪市中央区の大阪城公園には約9万人が集まった。前田修会長は完全失業率が7%を超える大阪の深刻な雇用情勢に触れ「働く者が本気になって怒りを表さなければならない」と訴えた。「平和、人権、労働、環境」を盛り込んだ中央メーデーとは異なり、「雇用・生活危機の突破」に絞った大阪独自の宣言文を初めて採択した。

・大阪市北区の扇町公園で開かれた大阪労連の集会には約2万5000人が集まり、有事法制の成立阻止などを訴えた。全労協なども同区の中之島剣先公園で集会を開いた。


3/17〜3/31      4/1〜4/30     6/1〜