有事立法ニューススクラップ帳
国会での混乱の一方で有事立法の制定の動きか進んでいます。
有事立法関連ニュースを集めました。有事立法反対の行動や学習に役立てて下さい。

6/1〜6/30
6/30

南北銃撃戦を利用して、有事法制正当化の発言相次ぐ/政府・与党幹部

・安倍官房副長官は30日午前、フジテレビの番組に出演し、有事法制関連法案について「まだわたしどもは決してあきらめたわけではない」と強調したうえで、「今般の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)と韓国(艦艇)の銃撃戦についても注目している。こういう事案を見てもやはり有事に対する法整備は必要だと再認識している」と述べ、今国会での法案成立への意欲を改めて示した。

・また、山崎自民党幹事長は「北と南の緊張が高まっているのに日本が北朝鮮との関係を改善するのは難しい」と述べ、「有事法制の問題に日本国民はもっと敏感にならなければいけない」と語った。

・北朝鮮と韓国の今回の銃撃戦発生は、両国の緊張緩和と平和的共存を一刻も早く推し進めることの必要性を示している。しかし、2年前から急速に進みはじめた両国の緊張緩和は、米ブッシュ政権の登場によって大きく後退させられ、困難な道を強いられている。日本は、過去の侵略・植民地化の深い反省の上に立って、両国のこの努力を最大限支援しなければならないのに、小泉内閣は「反北朝鮮」を煽り両国の緊張緩和の妨害者の役割を演じている。そして、その妨害の最大のものは、北朝鮮を主要な矛先とする戦争のための「有事法制の整備」である。

・政府・与党は、今回の事件を悪用して、有事法制法案成立促進の発言や行動は止めるべきである。両国の平和的話し合い促進のために、あらゆる支援をすべきである。そして国民はこのことを政府・与党に要求していかなければならない。

6/30

与党幹事長、有事法制の今国会衆院通過に意欲。野党は結束して阻止を!

・自民党の山崎幹事長は30日のNHK討論番組で、今国会での成立を断念している有事法制関連3法案について、「いつでも採決できる審議時間は確保した」と述べ、今国会で衆院は通過させたいとの考えを示し、また公明党の冬柴幹事長も「そろそろ(審議)終局の意見を出してもらわなければならない」と述べた。

・毎日新聞報道によると、有事法制関連3法案の幕引きの仕方をめぐって、政府・与党内の思惑が交錯しているという。残り1カ月となった今国会での成立は断念したものの、単純な継続審議論ばかりではないためで、秋の臨時国会での成立をにらみ、衆院だけでも可決すべきだという「強行論」のほか、政府案の欠陥を認めて有事法制の仕切り直しを図る「廃案・出直し論」も浮上しているという。30日の山崎・冬柴両幹事長の発言は、衆院だけでも可決すべきだという「強行論」に立って、与党幹部が主張したということである。

・有事法制に対する国民の不安は、国会審議を通じて解消されないどころか、防衛庁ブラックリスト問題や核兵器保有合憲・非核三原則見直し発言などでますます増大している。世論調査でも反対が賛成を上回り、日を追うごとに反対の声は大きくなってきている。こんな状態にもかかわらず、衆議院強行採決をするというのであろうか。野党4党は一致結束して、このような動きを阻止しなければならない。


6/28

サミット/米主導の世界秩序押しつけに、正面からの批判なし

・主要国首脳会議(カナナスキス・サミット)は日本時間28日朝、議長のカナダ首相が2日間の討議の結果を議長総括として発表して閉幕した。

・2日間の討議の内容では、対テロのためには「先制攻撃」も辞さないという米の軍事的強硬路線が討議全体を主導した。イスラエル・パレスチナ問題でもアラファト議長への退陣要求について「軍事行動を排除しない。すべての選択肢を使う」とまで発言し、米国の意に沿わない国家や政府は軍事力でもっても排除する考えを鮮明に主張した。欧ロ諸国は、アラファト議長問題については賛同しなかったものの、米のこの軍事的強硬路線そのものには正面から批判することはなく、実質的にそれを容認した。

・米ブッシュ政権は、自国の利益のためには問答無用で軍事力を行使し、自国民の利益のためには他国民の生命や利益を平気で犠牲にし、そしてその目的のためには自国民といえども監視し抑圧する機構を設ける。かつてのファシズムと何が違うのだろうか。このような政権に世界が今のうちにノーを突きつけなければ、世界は取り返しのつかない不幸に落ち込むことになる。

・世界の反戦平和運動の役割は決定的に大きい。それぞれの政府に圧力をかけて、米ブッシュ政権の軍事強硬路線にはっきりノーを突きつけさせなければならない。とりわけ日本の反戦平和運動の役割は大きい。小泉政権は米ブッシュ政権をもっとも積極的に支持している。有事法制成立の阻止は、小泉政権の軍国主義路線への打撃だけではなく、米ブッシュ政権のこの軍事的強硬路線に対しても大きな打撃となるであろう。

6/27

有事法案成立阻止を 連合中央委員会が決議

・琉球新報報道によると、連合は27日、那覇市内で開いた第37回中央委員会で、有事関連三法案の成立阻止と健保法改正案等の廃案を求める特別決議案を全会一致で可決した。有事関連法案については「法案のあいまいさと多くの欠陥が明らかになった。国民の疑義にこたえていない」として、法案成立に断固反対することを訴えているという。

・ 笹森清会長は26日の挨拶で、厳しい時代背景に触れ「連合が働く人の意見を吸収しながら、活動しなければならない」と本気で行動を起こすことを呼び掛け、有事関連三法案について「憲法と照らし合わせてもきわめて矛盾が多い」と指摘。「ざっと識者の意見をきいただけでも、憲法9、11、13、18、22、29、31条と、まったく矛盾している」と述べ、成立阻止の態度を改めて表明した。有事法案関連の特別決議は政府答弁の不統一や非核三原則見直し発言、防衛庁の情報公開請求者リストなど一連の問題を挙げ「提案資格そのものが疑われる事態に至っている」と指摘しているという。

・有事法制に反対する運動における労働組合の役割は非常に大きくなっている。フォーラム平和・人権・環境に結集する労働組合、全労連に結集する労働組合、全労協に結集する労働組合に加えて、連合に結集する労働組合が有事法制成立阻止で立ちあがった。このことによって、現在ナショナルセンターに結集する労働組合が法案阻止でほぼ全部足並みをそろえたことになる。この意義は大きい。これら労働者大衆の力で、今国会での有事法制廃案を勝ちとるだけでなく、秋の臨時国会へ向けた修正協議を全野党が一切拒否する闘いまで進んで行くことが要請されている。

6/25

小泉首相、米の対テロ戦争への協調を確認/日米首脳会談

・小泉首相とブッシュ米大統領は25日夜、サミットに先立つ、滞在先のカナナスキスでの首脳会談で、テロとの戦いでの協調を確認したという。また、記者会見では、小泉首相は、中東情勢についてはブッシュ米大統領が表明した中東和平構想を「パレスチナの独立国家を認めた」と積極的に評価し、日本としても米の提案を支持する考えを示した。

・ブッシュ政権は今月、米が悪と決めつけた国家や組織に対しては、米軍による「先制攻撃」を認める新軍事ドクトリンを採用することを確認している。「米国はテロとの力強い戦いを通じて文明世界を先導している」「最善の道は敵をたたくことだ」。戦後かつてない、唯我独尊で、こんな戦争をもてあそぶ危険な米政権に追随し、協調を確認するなど許せることではない。そしてそのために有事法制を整備することなど危険極まりない。

・また、ブッシュ米大統領が24日に表明した中東和平構想は、パレスチナ暫定国家の創設を支持すると口先では表明しながら、実際にはアラファト議長と現パレスチナ指導部交代を要求して、米とイスラエルに屈服する「テロと戦う」政府でなければ暫定国家を支持しないとしている。そして、屈服すれば国境問題などは3年間に合意可能と言っているに過ぎない。米はいままで中立を装いながら、実際にはイスラエルを支持し支援しつづけてきた。ここに至って中立の装いをかなぐり捨て、シャロン政権を全面的に支持し、パレスチナ人に降伏を要求したということにほかならない。パレスチナの人々はもちろんのこと、アラブ諸国、欧州諸国もこのブッシュ構想に反対の声をあげている。なぜ日本は支持しなければならないのか。

6/25

「民間防衛法制化」を今年度防衛白書に初めて明記。日常生活の軍国主義化に反対を!

・読売新聞報道によると、今年度防衛白書で、民間防衛組織について、「国民の強い防衛意思の表明」と位置付けて、「国民の合意を得ながら整備を進める」との法制化方針を初めて明記することが25日、明らかになったという。

・民間防衛は、衆院有事法制特別委での政府答弁の中で、今後2年間に整備すべきものの1つと考えられていることが明らかになり、反対運動の側から大きな反発の声が上がっているもの。前年度白書は「市民の相互監視など戦前の隣組的イメージが強い」ため、「広い観点から慎重に検討」との表現にとどめていたが、防衛庁が今回、積極的な方針を打ち出すのは、今国会での有事関連法案成立が困難になったことを踏まえ、「有事法制の全体像を早く示して国民の理解を得る」(幹部)狙いがあるという。

・有事法制法案が成立することの危険性として、有事法制発動時の問題はいろいろな形で指摘されているが、平時の危険性を指摘する声は少ない。日常的に有事のための訓練や準備が叫ばれ、日常生活が軍国主義にいろどられる。その中心に位置するのが、この「民間防衛」である。さらに、今度の防衛庁ブラックリスト問題を見ても、その民間防衛組織が「市民の相互監視など戦前の隣組的」なものにならない保証はなにもない。

6/24

防衛庁ブラックリスト問題の幕引きは許されない!報告書と処分を撤回し、調査をやり直せ!

・防衛庁リスト問題に関する衆院有事法制特別委の集中審議が24日午前行われた。最大の問題は、自衛隊が組織ぐるみで、情報公開を請求した市民を逆に身元調査、思想調査していたことにあるにもかかわらず、小泉首相も中谷長官も、事件を一部職員の個人的な違法行為に限定し、それ以外は単なる監督責任や認識の低さ、不適切な対応があっただけだという報告書の姿勢を最後まで押し通した。首相は「情報公開と個人情報保護という認識を各職員が持っていたかどうか。そういう点については甘い点もあったのではないか」など、国民の基本的人権を侵害したという厳しい認識などが微塵も伺えない答弁に終始した。

・また、与党幹事長が調査報告全文ではなく、概略発表にとどめるよう指示し、その後防衛庁が全文を公表に追い込まれた経過について、中谷長官は「40ページの内容を端的に、簡潔で明瞭に分かりやすく書いたのが4ページで質は同じ」「仮に要求があったら本体を出すつもりだった」とゴマカシ、小泉首相は「無用の混乱をきたしたのは大変残念」と答えただけで、事実を隠蔽し国民を欺いたことに対する責任は一切ほおかぶりの姿勢に終始した。

・国民はこのような説明でとうてい納得できるものではない。今回の事件とその報告書からは、@情報公開を請求した人の職業や所属団体などの個人情報が、勝手に調査されリストにされて、本人の知らない内に外部に渡されていたこと、A情報公開請求に何ら必要のない情報がリストにされ、情報公開室のLANでいつでも閲覧できるようになっていたこと、B情報公開制度を悪用、逆用して反自衛隊、反戦平和の市民や市民運動を監視し弾圧するための弾圧対象者リストを組織ぐるみで作っていたこと、C防衛庁は自衛隊の身元・思想調査を違法だとは認めていないこと、など情報公開制度を真っ向から否定し、国民の基本的人権を否定する防衛庁・自衛隊の姿が浮き彫りとなる。こんな政府・防衛庁に有事法制のような危険なものを絶対渡すことなど到底できない。

6/23

癒えぬ悲しみの沖縄で、小泉首相「備えあれば憂いなし」。沖縄県民の強い反発買う

・慰霊の日の23日、沖縄は癒えぬ悲しみに包まれ、各慰霊祭では老いた遺族たちによって戦で命を奪われた家族に祈りがささげられた。しかし、糸満市摩文仁の平和祈念公園で開かれた沖縄全戦没者追悼式典出席の後、小泉首相は、有事関連法案について、沖縄で懸念する声が上がっていることについて「いつ有事がくるか分からない。備えあれば憂いなし。日本として大事な整備法案なので国民の理解と協力を得たい」と述べ、遺族や県民の平和の願いを逆なでする発言をおこなった。

・「首相は遺族に手を振るのではなく、ご苦労さまでしたと頭を下げるべきだ。『もう戦争はしません』という言葉も聞きたかった」「戦前、国は絶対に信頼できると思っていた。有事法が成立すると、政府の言うことを聞かなくてはいけなくなる。元に戻ってしまう」「父母を死なせた戦争に備える有事関連法案が出てきて、本当にがっかりしている。絶対に許せない」などの批判の声を琉球新報は伝えている。

・有事関連法案に対し、沖縄県内の52市町村議会のうち、沖縄慰霊の日の23日までに30議会が慎重審議や反対の意見書を採択したという。原子力潜水艦が寄港するホワイトビーチのある勝連町議会は「有事の際の危険と隣り合わせにあり、町民の不安は深刻」と慎重審議を求めている。

6/20

防衛庁リスト問題の処分は、国民世論への挑戦。あらためて中谷長官の罷免を!

・中谷防衛庁長官は20日、防衛庁で記者会見し、情報公開請求者のリスト作成問題に関する29人の処分と、柳沢協二官房長、金沢博範文書課長の更迭を発表した。 処分の内訳は、伊藤事務次官の減給(5分の1、2カ月)をはじめ減給4人、戒告4人、訓戒3人、注意10人、口頭注意8人で、減給より重い免職、降任、停職はない。中谷氏自身は給与の自主返納(5分の1、2カ月)の表明だけ。

・野党4党は、問題の重大さに対する防衛庁の意識のなさに、「極めて甘い処分」と一斉に批判し、中谷防衛庁長官の罷免要求を強める方針という。また、毎日新聞報道によると、リストに記載された人々からも、「『個人の発意』で作ったとは考えられず、組織の要請があったはず。組織性の認定も処分内容も甘すぎる」「官房長の更迭は『生けにえ』に思える。本来なら長官は辞任すべきで、小泉首相の責任も問われるべきだ」などの批判の声があがっているという。

・今回の処分は、防衛庁が国民を監視しているという国民の批判に対するあからさまな挑戦である。これでは歯止めになるどころか、リストを作成してもこれぐらいの処分しかないから、見つからないようにもっと上手くやれ、と推奨しているようなものである。まず中谷長官の罷免で厳正な姿勢を明確にしたうえで、徹底した調査と処分のやり直しを要求する。

・同時に、8月5日から稼働するという住民基本台帳ネットワークは直ちに凍結されなければならない。防衛庁リスト問題は、これを実施することの危険性を目に見える形で示した。野党は凍結要求を一致して確認しているが、さらに一歩進んで「凍結法案」を提出・可決することが必要であろう。

6/18

民主党 野党4党共闘を裏切り、審議拒否から離脱。民主党に抗議の声を!

・鈴木宗男議員に対する逮捕許諾請求の審議を機に、民主党は、野党4党が一致して続けてきた審議拒否から離脱した。与党3党と民主党は18日、国会対策委員長会談を開き、(1)医療制度関連法案は20日に衆院本会議で採決する(2)防衛庁リスト作成問題について同日、与野党の幹事長・書記局長会談を開いて協議する――ことで合意し、19日の会期延長の採決にも応ずることとなった。

・他の野党3党は19日の本会議で、鈴木氏の逮捕許諾の採決には応じるが、会期延長の採決には参加しない方針で、防衛庁リスト問題や医療関連法案の与党単独採決についても、「与党の回答は誠意がない」(社民党幹部)としており、今のところ、20日以降の国会正常化に慎重な姿勢を崩していないという。

・政府・与党は、国民世論を背景にした野党4党の審議全面拒否のため苦境に陥っていた。鈴木議員の逮捕は、さらに政府・与党を追い込み野党が攻勢をかけられる格好の材料であった。ところが、逮捕許諾請求の審議を機に、民主党が審議拒否を離脱し、政府・与党の苦境に手を差しのべるとはどういうことであろうか。民主党のこの裏切りによって、会期延長はすんなりできるし、民主主義を否定して強行採決した医療制度改革法案は通せるし、防衛庁リスト問題もほおかぶりできる。政府・与党にとって、「鈴木様さま」ではないか。

・民主党のこのような裏切りを目の当たりにすると、有事法制も、いつ民主党の豹変で国会を通過するか分からない不安におそわれる。国民は民主党のこの裏切りを許してはならない。電話・FAX・メールなどですぐ抗議しよう。

6/17

与党、国会42日間延長方針決める。破れかぶれの迷走国会に、国民はノーを!

・小泉首相は17日午前、首相官邸で神崎公明党代表、野田保守党党首と会談し、19日で会期切れとなる今国会を7月31日まで42日間延長する方針を決めた。19日の衆院本会議での会期延長議決を目指している。

・今や政府・与党は、国会運営のコントロールを失っている。小泉首相は、党首会談でも相変わらず「全法案成立するよう全力をつくす」とオウムのように繰返すだけで何の指導力も発揮できず、山崎自民党幹事長は、スキャンダル問題と防衛庁リスト隠蔽問題などで「司令塔」としての役割を何ら果たせていない。野党の審議全面拒否による国会空転の中、さらに鈴木宗雄議員の逮捕問題が混迷に追い討ちをかけている。先の見通しが立たない、破れかぶれの会期延長であり、そして破れかぶれの強行採決の危険性もまた大きくなっていると言えよう。

・もはや政権としての体をなしていない小泉内閣と与党に対して、国民はノーをはっきり突きつけるべきときである。こんな政権に日本を預けたら、憲法は反故にされ、基本的人権は蹂躙され、生活は破壊され、取り返しのつかないことになってしまう。

6/16

有事法制を廃案に! 東京代々木公園に6万人

16日午後、東京の代々木公園にて「STOP!有事法制6・16全国大集会――有事法制の廃案に向けて、全国から集まろう!」が、陸・海・空・港湾関係労組と宗教者ネット、キリスト者平和ネットのよびかけで開催された。労働者、市民、宗教者、学生など6万人もの人々が参加し、「有事法制を廃案に!」の大きな声をあげた。

・開会宣言に続いて、各界からのアピールが行われ、脚本家の小山内さん、そして沖縄からは、「6・8戦争はダメ!有事三法案の廃棄を目指す県民大会」実行委員会の本永氏から、廃案への訴えがなされた。政党のアピールでは、志位共産党委員長からは、野党が政府・与党を追い詰めている状況の報告と「しかし、政府・与党は有事法案をあきらめたとはまだ一言も言っていない、闘いの手をゆるめず、徹底的な痛打を浴びせよう」とのアピール、土井社民党党首からは「日に日に有事法制反対の声は高まっている、この力で息の根をとめよう」との呼びかけ、日本国憲法が反故にされようとしていることの危険性の訴えがあった。生方民主党議員は、「民主党の良識派を代表して挨拶」し、小泉内閣を直ちに辞任に追い込んで行こうと訴えた。

・続けて、伊礼日弁連副会長、小林全労連議長、高校生白木さん、片岡海員組合副組合長から、それぞれの立場からの有事法制反対のアピールがなされ、最後に集会宣言が参加者全員で採択された。集会後は、3つのコースに別れてデモ行進に移った。

6/15

今度は「徴兵制は合憲」発言が発覚。石破自民党政調副会長・新防衛族

・5月23日の「憲法調査会」「基本的人権の保障に関する調査小委員会」において「日本においては、徴兵制は意に反した奴隷的苦役であるとして憲法違反であるとの意見がある。しかし、国を守ることが奴隷的苦役であるような国ならば、国家に値しないと考えるが、いかがか。」(衆議院会議日誌)と発言している。「週間金曜日」(5月31日号)と「サンデー毎日」(6月23日号)が報道した。

・「サンデー毎日」の記者の詰問にたいして「ごめんなさい。違憲と言うことになっていますね」と答えたながら、開き直って「私が言いたいのは、徴兵制と議会制度が近代市民国家の根幹だということ。・・・国民みんなが兵役に参加するという話です」と「徴兵制」肯定論を再びぶったという。

・石破議員は単なる一議員ではなく、政調副会長という自民党要職にあり「新防衛族」の若手タカ派のリーダーの一人で、かつて防衛庁副長官を務め、自民党の「新防衛族」議員の若手のホープであり、政調副会長として、今回の有事法制関連3法案の立案にも深く関わった人物。一議員の発言として放置できることではない。いくらなんでも徴兵制など考えていないだろう、などと高をくくっていたら取り返しのつかないことになる。直ちに、国民は反撃し、芽のうちにつぶしてしまわなければならない。

・石破議員は、この発言の直前に「日本が危機に瀕した際に、国民の権利を保障してくれるのは日本国政府しかない。このような観点から、有事法制においても、輸送や医療等の従事命令違反に対して罰則を科すべきであり、適正な法手続の下に国民の権利が制限されることは、国民が権利を享受するためにも必要であると考えるが、いかがか。」と発言している。今回の保管命令違反に対する罰則規定は、従事命令違反に対する罰則、そして「徴兵制」へとつながっていることが分かる。

6/15

インド洋上補給の海自艦を米が戦術指揮。 国会答弁に反し、シビリアン・コントロール無視

・朝日新聞の報道によると、防衛庁海上幕僚監部の派遣チームが昨年11月、バーレーンの米中央軍第5艦隊司令部で当時のムーア司令官に会い、インド洋での対テロ戦争の補給作戦で海上自衛艦が米海軍の「戦術指揮統制」下に入ることを容認していたことを、複数の日本政府関係者が明らかにしたという。

・自衛隊を他国の指揮統制に委ねることは、海外での武力行使と並び、政府の憲法解釈によって禁じられている集団的自衛権行使に直結するため、政府はテロ対策特措法の国会審議で「直接、他国から指揮命令を受けないよう、我が国が主体的に行動する」(中谷防衛庁長官)と答弁していることと反する。

・関係者によると、司令官の、独自に活動するのか、多国籍軍に統合されて活動するのかとの質問に、派遣チームは、作戦指揮統制については「独自に維持することが必要だ」と答えながらも、戦術指揮統制については「洋上補給を行う期間、第5艦隊53任務群司令官(後方支援担当)に委ねることは可能ではないかと考える」と応じ、そのうえで「ただし戦術指揮統制を米海軍に委ねることは政治的に公言できないため、微妙な配慮が必要だ」と付け加えたという。

・全くのシビリアン・コントロール無視の確信犯である。こんな無法を許してはならない。そして直ちにインド洋上のすべての海自艦を撤収しなければならない。

6/14

与党による医療制度法案の単独可決を許すな! 防衛庁リスト問題で野党が審議拒否中の暴挙

・野党が防衛庁リスト問題の調査報告をめぐる与党の対応を批判、国会審議を拒否するなかで、医療制度関連法案が14日、衆院厚生労働委員会で、与党単独で可決された。この日の衆院厚労委は、与党議員2人が質問した後、与党が質疑の打ち切り動議を提出、採決が行われた。集まった野党議員が委員長席の森委員長(自民)に詰め寄って抗議した。採決強行後、野党4党は衆院厚生労働委の理事・委員が国会内で記者会見し、さらに野党4党合同の緊急抗議集会を開き、与党の単独採決を「言語道断の暴挙」と抗議した。

・医療制度関連法案は、来年4月からサラリーマン家庭の窓口負担を外来・入院ともに、かかった医療費の3割にするなど、財政赤字のしわ寄せを国民の痛みで乗り切る「小泉改革」の中心柱。しかし、巨大な財政赤字を生み出した責任は、1990年代の金融バブル崩壊の根本原因に何ら手を打たず、湯水の如く国民の血税を金融資本や公共事業関連資本などにつぎ込んできた歴代自民党政権とそれによってあらたな甘い汁をすって生き延びてきた巨大資本にある。決して一般国民にはない。「小泉改革」は、これら真の責任者には各種メニューで優遇し、何の責任もない一般国民に「痛み分け」を要求している。

・有事法制法案に見られるように、小泉政権は軍国主義的路線をしゃにむに突っ走ろうとしている。いまこそ国民は、財政赤字のしわ寄せの国民への転嫁を拒否し、抜本的な軍事費削減の要求を突きつけるべきときではないだろうか。その意味でも、医療制度関連法案反対と有事関連法案反対は強く結びついている。

6/13

神戸4000人、香川3000人、京都2800人など、全国で有事三法「廃案要求」の声

・12日高松市番町の中央公園で、有事法制関連3法案の今国会での成立に反対して、民主、共産、社民、新社会の各党の県内組織や、労働団体、市民団体などが「有事関連3法案の成立を許さない県民集会」を開いた。3000人が参加し、有事法案への反対や福田官房長官の「非核三原則見直し発言」への抗議の声などが聞かれた。

・13日京都市東山区の円山野外音楽堂で、有事法制三法案に反対する「廃案にしよう!有事三法案」緊急京都集会が開かれた。「基本的人権を制限する三法案の成立を絶対に認めない」とするメッセージを採択後、二千八百人が中京区の京都市役所までデモ行進した

・有事関連三法廃案を要求する声が日増しに全国で高まっている。これらの大衆的な反対の声に支えられて、野党4党は廃案要求で足並みをそろえている。防衛庁ブラックリスト問題を追及し、国会審議を全面ストップさせている。政府・与党は今国会での有事関連法成立を断念したといくつかの新聞は報道している。継続審議ではダメである、廃案まで追い詰めなければならない。その勝算は充分にある。

6/12

有事3法の廃案を要求して、日比谷で5000人を超える集会

・12日夜、日比谷野外音楽堂で「意義あり!有事法制――平和を願う市民の力で廃案に――6・12全国集会」が、フォーラム平和・人権・環境、テロにも報復戦争にも反対!市民緊急行動、原子力情報室、ATTAC JAPANの呼びかけで開催された。この集会は、すでに4回目で回を追うごとに参加人員は増え、今回は5000人以上で、北海道から沖縄までののぼりや旗が林立し、日比谷野外音楽堂がギッシリ埋まった。

・主催者から、有事法制の反対運動が政府・与党を追い詰めていることを評価し、さらに有事3法廃案と小泉内閣打倒を掲げて闘っていく決意が表明された。民主党からは横路議員が挨拶に立ち、民主党が役員会で廃案を目指すことを正式に決めたこと、防衛庁リスト問題を徹底的に追及して行くことを表明し、さらに有事法制のもとで自治体や指定公共機関を軍が支配していくことの危険性を強調した。土井社民党党首は、どんどん反対の声が広がっていること、これからの1週間の闘いがことを決することを指摘し、防衛庁リスト問題、非核三原則見直し発言を徹底的に追及し廃案に追い込んで行く決意を表明した。

・そのあと、池田広島県被団協副理事長、松倉日弁連副会長、住基ネット8月5日実施を許さない実行委員会白石氏より、それぞれの立場からの連帯の挨拶があり、最後に沖縄から5500人の参加で成功させた「6・8戦争はダメ!有事三法案の廃棄を目指す県民大会」の山内実行委員長から「譲って良いものといけないものがある、有事三法案は絶対に譲ってはいけない、廃案まで追い込む」と挨拶した。このあと廃案を目指す集会アピールを採択し、国会請願のパレードに移った。

6/12

石原都知事 「拉致被害者奪還、戦争をしてでも取り戻す」と暴言

・朝日新聞報道によると、石原東京都知事が米誌ニューズウィーク日本版で「私が総理だったら北朝鮮と戦争してでも(被害者を)取り戻す」と語ったことに対して、北朝鮮の朝鮮中央通信は12日、「戦争暴言だ」と批判したことを伝えている。

・石原知事は、全国知事会でも有事法制推進の急先鋒で発言を続けている。12日の首相官邸での都道府県知事との意見交換会でも、「有事法制との関係で朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の脅威をどう考えるのか」と、ことさら北朝鮮の脅威をあおっている。また、昨年、一昨年には「ビッグレスキュー2000」「ビッグレスキュー2001」と称して、防災訓練の名のもとに自衛隊を大量動員し有事法制の先取り訓練を実施してきた。

・石原知事の今回の暴言は、かつての「第三国人」発言を引き合いに出すまでもなく、彼が有事法制に何を期待しているか、そのミニ版「ビッグレスキュー」に何を期待していたのかを明瞭に示している。東京都民はこんな危険な人物を都知事にしているのである。

6/12 野党4党、防衛庁ブラックリスト問題調査のやり直し要求。防衛庁と政府・与党の隠ぺい体質露呈

・情報公開請求者のブラックリスト作成問題で、防衛庁が調査報告書を与党の圧力でいったんは概要しか公表せず、批判を浴びてようやく報告書を公表したことに対し、野党4党は一斉に反発。12日午前の野党国対委員長会談で、報告書の信ぴょう性はなくなったとし、第三者機関による再調査を要求。これに応じない場合は、13日からの全委員会の審議に応じないことを確認したという。

・公表された報告書では、思想信条にかかわる情報を記載していた海上幕僚監部のリストなどは違法と認める一方、内部部局と陸空両幕僚監部のコンピューターネットワーク(LAN)へのリスト掲示は法律違反に当たらないと結論づけている。組織的関与の有無については全く触れておらず、事実解明より組織防衛を優先させるものとなっていることは明らか。発表の記者会見では、作成理由や隠蔽工作などの質問に対して、しどろもどろの答えで、隠ぺい体質を象徴するような内容だったという。

・野党の要求は当然だ。報告書の中身もデタラメなら、その発表のしかたもデタラメである。民主主義の根幹に触れる問題にたいして、このような国民を馬鹿にしたような対応で「幕引き」にしようとしているのである。その防衛庁が主役で有事法制を推進しているのであるから、空恐ろしいというしかない。

6/11

民主党、有事関連法案の廃案要求を正式決定。野党と国民はあと一歩の踏ん張りで廃案に!

・民主党は11日午前の拡大役員会で、有事法制関連法案について「審議時間が不十分で、内容にも問題が多い」(菅直人幹事長)として、廃案を求めることを正式に決めた。さらに、役員会では、19日に会期末を迎える今国会の会期延長に反対することをあらためて確認。そのうえで会期内の法案修正を与党側が持ちかけてきても、これを拒否する方針で一致したという。

・「有事関連法を廃案に追い込もう」という運動は、中央から地方まで、国民の諸階層に確実に広がってきている。民主党が廃案要求を明確にしたことはさらに一歩前進である。まだまだ有事関連法の危険性は国民全体の知るところとなっていない。あらゆる手段を用いて、国民に危険性を知らせ、反対の力を国会へ結集しなければならないときである。あと一歩である。

6/10

非核三原則 首相「私の内閣では堅持」とし、将来見直し否定せず。国民はこれを許してはならない!

・衆院有事法制特別委は10日、非核三原則をめぐる福田官房長官と安倍副福田官房長官の発言について集中審議した。小泉首相は「私の内閣では堅持する」と限定的に答弁し、将来については「堅持してもらいたい」と願望の表明にとどめた。歴代首相が「将来にわたって堅持する」と答弁しているのに対して明らかに後退し、福田発言の将来の見直し可能性について否定しなかった。

・「非核三原則を将来も堅持するのか」との質問に、「将来の内閣、例えば民主党内閣にああやれ、こうやれとは言わない。私の内閣では変えない」と答え、自分は三原則を守るつもりだが、将来のことまで保証できないと、言外に見直しの余地を残す発言を繰返し、「国是としての非核三原則」を小泉内閣の政策まで引き下げた。また、核兵器保有の合憲性についても、津野修内閣法制局長官が「仮にそのような(自衛の)核兵器があるとして憲法違反ではないとしたもの」と従来の政府答弁を繰り返した。

・小泉首相は、福田長官を「罷免する考えはない」と取り合わないばかりでなく、「私の内閣では堅持する」と短く繰返すのみで、危機感を示した国民世論を軽視する対応に終始した。また、福田長官、安倍副長官は、マスコミにあたかも責任があるかのように非難する有様。

・有事法制整備はアジア諸国に対して大きな軍事的威圧となる。核兵器保有はその威圧をさらに倍加するものである。政府・与党はまず前者を実現し、さらに後者をも行く行くは追求しようとしている。国民は絶対にこれを許してはならない。福田長官・安倍副長官を罷免し、国是としての非核三原則遵守を明確にさせなければならない。

6/10

防衛施設庁でもリスト作成。 防衛庁の組織ぐるみは明らか、中谷長官の罷免を!

・防衛庁の情報公開請求者ブラックリスト問題で、これまでに明らかになった内部部局や陸海空各幕僚監部のほかに、防衛施設庁でも請求者の個人名などを記した個人情報リストを作り、コンピューターネットワーク(LAN)で回覧していたことが10日、関係者の話で分かったという。海幕のリスト発覚後、問題になる部分だけ削除して再掲示していた。

・関係者によると、防衛施設庁のLANに掲載されていたリストには、請求者の個人名のほか、職業などが書き込まれていたという。このLANは、陸海空の各幕僚監部のシステムとは違い、防衛庁内のほかの部署からでも閲覧できる。しかも、先月28日に海幕情報公開室の3等海佐(48)がリストを作成していたことが発覚した直後、防衛施設庁のリストから名前や職業などの部分を削られ、再び掲載されていた。現在、請求文書の内容や公開作業の進み具合だけがわかるようになっている。

・防衛庁は11日に発表する報告書に、同庁の上層部が指示して組織ぐるみでリストを作成したことはないとの判断を盛り込む方針というが、この新たなリストの発覚でますます信用できないことが明らかとなった。野党と国民は徹底的に追及し、中谷長官の罷免で責任を取らせなければならない。

6/8

沖縄 有事関連法廃案求め5500人集会 

・琉球新報によると、有事関連3法案と、個人情報保護法案などメディア規制法案に反対する「戦争はダメ! 有事3法案の廃案をめざす県民大会」(同実行委員会主催)が8日、北谷町屋内運動場で開かれた。有事法制に反対する政党、平和団体、労組などから県民5500人(主催者発表)が参加。会場は、廃案を求めるのぼりや横断幕で埋まり、参加者たちは「沖縄から有事3法案を廃案にする声を全国、国会にぶつけよう」と気勢を上げたという。

・呼び掛け人代表の山内徳信氏は「悲惨な沖縄戦体験を教訓に、平和な日本にしようと頑張ってきた。しかし政府は、平和憲法の国を戦争国家にしようとしている。非核三原則を揺るがす発言も出た。小泉政権を許してはいけない。二度と戦争の加害者にも被害者にもなってはいけない」とあいさつした。大会には、北谷町、西原町の首長も参加。辺土名朝一北谷町長は「いざ有事となると、米軍基地が集中する沖縄が攻撃対象となるだろう。政府は国民の声を聞き入れて、十分な議論をすべきだ。有事法制に強く反対し、憲法九条の理念の下、沖縄が平和であり続けることを願っている」と話したという。

・大会では「平和憲法を生かし、積極的な平和外交で戦争も基地もない平和な世界を目指そう」など、5つの大会スローガンを採択。有事3法案とメディア規制法案の廃案を求める、首相、衆参両院議長あての大会決議を採択した。

6/7

日弁連が緊急公開パネルディスカッション「この有事法制法案は危険だ」を開催

・有事関連法案が衆議院に上程されて3日後の4月20日、日本弁護士連合会が「『有事法制』法案に反対する理事会決議」を発表した。それ以来、全国のいろいろな県弁護士会から反対声明が出され、さらに大阪弁護士会は17年前の拘禁二法に反対するデモ行進以来の集団示威行進をおこなうなど、弁護士による有事法制の危険性告発は反対運動に大きな影響を与えてきた。さらに、6月7日には、日本弁護士連合会・東京弁護士会・第一東京弁護士会・第二東京弁護士会主催の緊急公開パネルディスカッション「この有事法制法案は危険だ」が霞ヶ関の弁護士会館で開催され、400人程の弁護士や市民らが有事法制法案の危険性の議論に聞き入った。

・6月1日には、憲法学者の集まりである全国憲法研究会のなかの憲法問題特別委員会主催で、緊急フォーラム「有事法制を考える」が早稲田大学で開催され、学生や市民300人が憲法から見た有事法制の危険性について講演を聴き、熱心に質疑をおこなった。

・現憲法を専門に研究している学者たち、現憲法を守ることを専門にしている弁護士たちが、有事関連法案の危険性について専門的立場から明らかにすること、それを広く世論に訴えることはきわめて重要な意味を持つ。その活動を、個人としてだけでなく弁護士会、学会として取り組むことはさらに大きな意義をもつことになる。労働組合や市民グループ・青年・学生の運動は、この専門家たちの運動と緊密に結びつくならば、いっそう強力な反対運動を展開して行けるであろう。

6/7

個人情報保護法案 今国会成立を政府与党断念。有事関連法と合わせて廃案まで追いこもう!

・新聞報道によると、政府・与党は6日、終盤国会の焦点である4大法案のうち、個人情報保護法案の今国会成立を断念した。「表現の自由を規制する」という世論の批判に加え、野党の抵抗によって審議が大幅に遅れていることや防衛庁の個人情報リスト問題で行政機関の個人情報保護に対する信頼が大きく損なわれたことから、会期延長しても成立は困難と判断したという。同法案を継続審議とするか、廃案として仕切り直すかは、今後政府・与党内で調整するということだが、継続審議ではなく、ぜひとも廃案まで政府・与党を追いこまなければならない。

・さらに、小泉首相と山崎自民党幹事長、青木参院幹事長らが7日協議し、有事法制関連3法案について、首相が慎重な採決を指示し、与党単独採決を避ける考えで一致したという。この情報から、朝日・毎日・日経の各紙は「今国会成立困難」と報道し、読売はまだ成立に期待をかけているような報道をしている。

・今のところ野党は一致して、有事関連法案に反対し、福田・中谷両長官の罷免を要求し、さらに鳩山民主党代表が個人的意見として7日表明したように、廃案を目指す方向に向かっている。これら野党の結束は国民の本法案に対する強い危惧によって支えられている。国民の一人一人が、さらに強い反対の意志表示と行動を示すならば、本法案を廃案に追い込むことが可能であり、有事法制推進派に決定的な打撃を与えることができる。

6/6

福田長官 発言を一部修正すれども、「核兵器保有は合憲」は変えず

・福田官房長官は6日午前の記者会見で、法理論上は核兵器の保有もできるとした自らの発言について「憲法上、自衛のため必要最小限度の範囲内なら(核兵器の保有は)許されるが、実質的には(原子力の平和利用を定めた)原子力基本法があり、将来にわたって核兵器は保有はしないということだ」と述べた。非核三原則という政策論だけでなく、法理論上も、核兵器は保有できないとの見解を示したもので、「法理論的に(核兵器を)持ってはいけないとは書いていない」とした自らの発言を事実上、撤回した。

・しかし、福田長官は一部分を修正したにせよ、根本的な「核兵器保有は合憲」という考えを撤回したわけではない。核兵器のような大量破壊兵器保有が憲法第9条に違反することは明々白々である。にもかかわらず、違憲を認めないということは、チャンスがあれば核兵器を持とうと言う意図があるからに他ならない。法律を変えることは憲法を変えることに比べればはるかに容易だからである。国民は騙されてはならない。

6/6

防衛庁、米軍支援で自衛艦2隻をインド洋へ。 派遣の根拠は全くなし、全艦直ちに帰還させるべき!

・防衛庁は6日、テロ対策特別措置法に基づいて実施している米軍への給油などの後方支援活動について、海上自衛隊の護衛艦「せとぎり」(青森・大湊基地)、補給艦「はまな」(長崎・佐世保基地)の計2隻を8日にインド洋に向けて派遣すると発表した。2隻は約2週間後にインド洋周辺海域に到着する予定。当初、護衛艦3隻、補給艦2隻の計5隻が米軍支援し、その後、護衛艦1、補給艦1の計2隻が4月に帰還した。新たに派遣する2隻が現地到着後、護衛艦1隻は帰国し、4隻態勢で支援を続けるという。

・テロ対策特別措置法では派遣期限が5月19日であったが、政府は派遣を半年延長して米軍支援を続けている。すでにアフガン戦争は終わって、米軍は威圧のために居座りつづけているだけである。自衛艦を派遣している根拠は全くない。今回の2隻の派遣は取りやめるべきだし、現在インド洋に派遣されている3隻も直ちに帰還させるべきものである。

6/5

初の地方公聴会 有事法制への地方の不満噴出

・有事法制特別委による初の地方公聴会が5日、仙台市と鳥取市で開かれ、各党推薦の陳述人計15人が有事関連3法案に対する意見を表明した。鳥取会場では自民党推薦の片山鳥取県知事までが「このままでは責任を持って県民保護にあたれない」と批判。主管閣僚の足元に火がついている負い目から、質問役の与党委員にも法案成立への気迫はなく、かえって「地方の不満」を浮き彫りにする公聴会となったという。

・鳥取会場では7人が登場。片山知事のほか、同じ自民党推薦の井上尾道市議は「福田発言は許せない。意図的ではないなら、あまりに無責任すぎる」と福田長官の非核三原則見直し発言にかみつき、また公明党推薦の大西税理士は「法案は継続審議を願う」と言うなど、与党の足下から不満が噴出した。一方野党推薦の陳述人は福田・中谷両長官の責任問題を追及し反対意見を述べた。

・8人が意見表明した仙台会場では、宮城県議、村井嘉浩氏ら与党推薦陳述人が賛成意見を述べる一方、野党推薦陳述人からは防衛庁のリスト作成問題や福田発言に絡めて政府への不信表明が相次いだという。

・与党は、これら広範な反対意見を無視して有事法制を今国会で強行成立させる勢いをもはや失っている。そして、できる限り有利な形で継続審議に持ち込むことに重点を移しつつある。あと一歩の頑張りで廃案に持ち込むことが可能である。福田・中谷・安倍の3閣僚の罷免を要求して、政府・与党を徹底的に追撃していくことがいま必要である。

6/4

全国各地から有事関連法反対の声。日経新聞調査でも反対が大幅増加

・日経新聞の世論調査によると、有事法制賛否において、今年2月の調査に比べて、反対が10ポイント増加して46%、賛成が14ポイント減少して40%となり、反対が賛成を上回った。有事関連法案の危険な中身が次第に明らかになり、それに防衛庁ブラックリスト問題、福田長官非核三原則見直し言及問題が加わったため。

・有事関連法案に反対する自治体の決議や集会・デモ、声明などが全国に広がっている。  
 諏訪、飯田両市議会は6月定例会の3日、有事関連3法案の慎重審議を求める意見書を、いずれも全会一致で可決した。県内17市では初めて。「国会審議の拙速さ」を指摘、地方自治体や市民への影響について「十分な審議を」と求めている。同日、埴科郡戸倉町も意見書を可決したという。
 「有事立法に反対する市民集会」が4日、神戸市中央区のメリケンパークで開かれ、約千人が参加した。法案に反対する労組や団体、有識者らでつくる「兵庫共同アピールの会」の主催で、4月に続き2回目。
 そのほか、広島、長崎、熊本、奈良、石川等などで有事法制に反対する行動や声明が相次いでいる。

6/3

有事関連法案・個人保護法案を 継続審議ではなくて廃案に!

・有事関連法案を審議している衆院特別委員会は3日、一般質疑を行う予定だったが、防衛庁の情報公開請求者リスト問題と福田官房長官の「非核3原則」言及問題に野党側が反発し、質疑を取りやめた。野党側は3日、防衛庁リスト問題と「非核3原則」言及問題に関する集中審議を衆院特別委でそれぞれ開くまでは、審議に応じない方針を打ち出した。

・審議日程が厳しくなってきていることに加えての福田長官の発言に対し、与党委員からも「もう少し真剣にやってほしい。積み上げてきた議論ががたがた崩れ落ちる」「政府は本当にやる気があるのか」「昨年のテロ対策特別措置法が簡単に成立したので、なめているのではないか」など不満が噴出しているという。

・政府・与党は追い詰められつつある。つぎからつぎへと出てくる自らのスキャンダル・失態暴露・暴言で、野党や国民からの批判ばかりでなく内部からの批判にもさらされている。 野党と国民は一致して、防衛庁ブラックリスト問題、福田長官非核三原則見直し言及問題、さらには外務省問題等などの追及の手を緩めることなく、政府・与党をさらに追い詰めていくことである。そうするならば、有事関連法案も個人情報保護法案も、継続審議ではなくて廃案まで追い込む可能性が出てくる。

6/3

「憲法上、核兵器は持てない」が政府答弁であると、土井氏が反論

・土井社民党党首は3日、記者会見し、核兵器保有に関する政府見解として、78年の衆院外務委員会で、憲法上などから核兵器は持てないとの外相答弁があったことを紹介した。安倍晋三官房副長官が講演で「憲法上は原子爆弾だって問題ではない。小型であれば」と発言、さらに福田康夫官房長官が「憲法上、法理論的に持っちゃいけないとは書いてない」としたことに反論したもの。

・政府はその後82年の角田内閣法制局長官の参院予算委答弁以来、「憲法上自衛的に持てるが政策上持たない」と言いつづけてきている。憲法9条で「陸海空軍その他の戦力を保持しない」と定めていながら、大量破壊兵器である核兵器を持てるという解釈は法理論的にも不可能なこと。にもかかわらず詭弁をろうするのは、政策(非核三原則)なら状況によって容易に変えられ、核兵器を持てるようになるからである。今回の福田・安倍発言はその本音の一部を漏らしたものといえる。

・広島・長崎のこの上なく悲惨な被爆経験をした日本の国民は、いかなる核兵器の保有も日本国憲法違反であることを再確認する必要があろう。そしてこのような考えをもつ政府による有事法制の推進が、いかに危険なもので国際平和を脅かすものであるかということもあらためて認識する必要があろう。実際に、福田発言については、韓国ばかりでなく、中国・北朝鮮も危惧の声を上げている。

6/3

防衛庁ブラックリスト作成・回覧、組織ぐるみと判明。小泉内閣の軍国主義的暴走の帰結!

・中谷防衛庁長官は3日午前、情報公開請求者の個人情報リストは海上幕僚監部だけでなく、防衛庁内部部局と陸上幕僚監部、航空幕僚監部でもそれぞれ独自に作成していたことを明らかにした。それぞれ、部内のコンピューターネットワーク(LAN)で回覧もしていたという。

・発表によると、内局と陸幕、空幕はそれぞれ書式の異なる情報公開請求者の個人情報リストをつくっていた。組織ごとに、「元空自」「○○新聞」「反戦自衛官」「受験者の母」など、請求者が提出する情報公開請求書だけでは判明しない個人情報を請求者の個人名や住所、連絡先、処理状況とともに掲載していた。LANに掲載していた件数は、陸幕が請求件数で535件、請求者数で139人分、空幕が1214件で120人分、内局が1214件で、人数は不明としている。海上幕僚監部の問題が発覚する5月末まで掲載されていたという。

・中谷防衛庁長官は防衛庁の組織的関与については認めていない。これだけの規模に広がっているにもかかわらず、あくまで「個人の責任」で事を済ませようとしている。この事件は、小泉内閣のこれまでの軍国主義的暴走が引き起こしたものである。防衛庁制服組さえ戸惑うほどのスピードで、戦時の自衛隊海外派遣、PKO協力の制限取っ払いを進め、ついには有事法制整備へと突き進んできた小泉内閣の暴走が、基本的人権を踏みにじり、危険人物リストを作り監視することを平気でやる体質を防衛庁のなかに醸成していったのである。これは恐るべき民主主義への挑戦である。国民は、徹底した全容解明と、防衛庁長官の罷免と関係者全員の厳格な処罰、そして小泉内閣の総辞職を要求していかなければならない。

6/3

福田長官、非核三原則の見なおし可能性まで発言。被爆体験国日本への挑戦である!

・安倍官房副長官の「憲法上は原子爆弾(の保有)も問題ではない」発言に続いて、福田官房長官は31日、核兵器を「非核三原則は憲法に近いものだ。しかし、今は憲法改正の話も出てくるような時代になったから、何か起こったら国際情勢や国民が『(核を)持つべきだ』ということになるかもしれない」と述べ、 非核三原則の政策転換の可能性に言及した。

・野党4党は3日午前、国対委員長会談を開き、政府・与党に対して(1)福田長官を罷免する(2)衆院有事法制特別委員会で小泉首相出席のもと集中審議を行う−−ことなどを要求することを決めた。野党側は与党が集中審議に応じなければ、今後の同特別委の審議に応じないことも確認したという。与党内でも、神崎公明党代表や大島自民党国対委員長、野中・古賀氏など、福田発言への批判が噴出している。

・広島県原水禁などの呼びかけで1日夕、広島市中区の平和記念公園にある原爆慰霊碑前で、被爆者や市民ら約80人が抗議の座り込みをした。長崎では2日、市公会堂前広場で「有事法制(戦争法)に反対する市民集会」が2000人の参加で開かれたが、その場でも福田発言に対する批判が続出した。

・また、韓国政府当局者は1日、日本政府首脳が非核3原則を見直す可能性に言及したことについて、「発言が報道された経緯をもう少し調べる必要がある」としつつ、「日本の核兵器保有は地域の安定に望ましくない」との韓国政府の立場を強調したという。

・政府は悪乗りしすぎている。つぎつぎエスカレートさせて発言し、世論の反応をうかがっている。ここまで言っても大丈夫なら、つぎはもう少し言ってみようと。国民はその1つ1つに徹底的に反撃し、二度と口に出せないようにしなければならない。

 5/1〜5/31             7/1〜7/31