アチェに関する声明:賛同者募集

日本インドネシアNGOネットワーク
インドネシア民主化支援ネットワーク
アジア太平洋資料センター
2003年5月30日



ここでご紹介する賛同募集声明以外に、、5月29日、日本インドネシアNGOネットワークとアムネスティ・インターナショナル日本が共同作成した緊急行動要請も出ました。こちらも、是非ご協力下さい。


アジア太平洋資料センター(PARC)、インドネシア民主化支援ネットワーク(NINDJA)、日本インドネシアNGOネットワーク(JANNI)の3団体は、東京で開催された和平交渉の破綻とアチェにおける軍事戒厳令適用に関して、日本の市民社会に呼びかけ、日本政府に対する以下のような声明を提出したいと思います。

団体、個人、なるべく多くの方々の声を集めたいと思います。ご賛同下さる方・団体は、下記の情報をご記入の上、同じく下記に記された送付先に、メールないしはFAXでご連絡をお願いいたします。


賛同送付先:インドネシア民主化支援ネットワーク(NINDJA)
〒160-0018 新宿区須賀町8 シャトー沢村A棟
メール:office@nindja.com Tel/Fax: 03-3356-8364
賛同締め切りは6月6日(金)午後6時です

賛同団体名・個人名:
TEL:
FAX:
Email:



<呼びかけ団体> アジア太平洋資料センター(PARC)
インドネシア民主化支援ネットワーク(NINDJA)
日本インドネシアNGOネットワーク(JANNI)


和平交渉の破綻とアチェにおける軍事戒厳令適用に関する日本の市民社会の声明

2003年5月30日


わたしたちは日本の市民社会の一員として、インドネシア政府と自由アチェ運動(GAM)の和平交渉の破綻に対し、非常に憂慮しています。わたしたちは、アチェ紛争が、交渉の場をとおして解決されるべきだと信じています。両者のあいだで結ばれていた「敵対行為停止の合意(CoHA)」で、和平への諸段階が定められていたにも関わらず、インドネシア政府がGAMに対して、政府の要求を強要したことについて、非常に残念に思っています。CoHAによって、アチェの人びとは、より安心して暮らすことができるようになっていました。インドネシア政府は、インドネシア共和国統一国家、特別自治といった、CoHAの枠組で定められていない政治的選択をGAMに迫りました。まずは現場レベルにおけるCoHA実施に際するミスを修正することが優先されるべきであり、また政治的選択はアチェの人びと自身にゆだねられるべきだったと思われます。アチェの人びとこそが、みずからの運命を決める権利を有するからです。

このような状況をかんがみ、わたしたちは日本の市民社会の一員として、日本政府に対して、以下のことを求めます。

1. インドネシア政府に対し、アチェにおける軍事戒厳令適用とすべての人権侵害をやめるよう強く働きかけてください。軍事的アプローチは問題を解決しないどころか、より多くの民間人を犠牲にすることになります。

2. アチェで平和が実現するよう、考えられるあらゆる努力をおこないつづけてください。どのような紛争でも、交渉を通じて解決されるべきです。また日本政府の「インドネシア共和国統一国家の枠組みを支援する」という発言は、インドネシア政府・国軍がアチェで軍事作戦を展開することを正当化し、助長させるものになってしまいます。少なくとも、公の場で、紛争を加速させるような発言、行動をとらないよう要求します。

3. インドネシア政府への資金援助を凍結してください。アチェにおける軍事作戦費用は、インドネシアの国家歳入からまかなわれています。これまでも、そして現在も、日本は、最大の援助供与国として、インドネシアを積極的に支援(債務繰り延べも含む)しつづけてきています。しかし、しばしば汚職や腐敗が指摘されるインドネシアにおいて、わたしたちが払った税金が、人権を侵害する軍事作戦に流用される危険性は否定できません。日本政府がインドネシア政府に資金援助しつづけることを拒否します。


わたしたちは抑圧され、恐怖のなかに暮らす人びとにとって、よりよい世界が実現されることを望みます。以上、そのような人びとへの連帯の気持ちを込め、この声明を出します。日本政府が、アチェにおける和平実現のための積極的な貢献をすることを強く求めます。



<背景>

2002年12月9日、スイス・ジュネーブにおいて、両者による交渉、合意がなされたとき、アチェの人びとは、CoHAに対して大きな願いを託しました。実際、CoHA締結後、アチェの人びとの暮らし、状況はよくなりました。子どもたちは学校に行けるようになり、農民は田畑に行くのを恐れなくてもよくなりました。経済も、スムーズに機能するようになりました。暴力事件も激減しています。このような平和な状況が、組織的に、インドネシア政府によって妨害されていったことを、非常に残念に思います。インドネシアの国軍や政治家などが、交渉相手であるGAMを「国家の敵」とみなし、スイスのNGOであるアンリ・デュナン・センターによる交渉の仲介を拒否したばかりか、GAMとの交渉自体がアブドゥルラフマン・ワヒド前大統領時代の政策の過ちだったと発言しました。このような発言は、平和への道を歩みつつあったアチェの状況を逆行させるものでした。

アチェでは、CoHAを破綻させようとするさまざまな組織的な動きが見られました。南アチェ県、西アチェ県、ピディ県、中アチェ県、東アチェ県で、CoHAの実施状況を監視する共同治安委員会(JSC)を拒否するため、人びとが動員されました。なかでも中アチェ県、東アチェ県においては、JSC事務所が焼き討ちされ、そのメンバーに暴力が振るわれました。皮肉なことに、これはインドネシア警察の目の前で起きたのです。わたしたちが得た情報によると、中アチェ県のJSC事務所を襲撃したのは、インドネシア国軍によって組織された民兵と、陸軍戦略予備軍(Kostrad)でした。東アチェ県では、パンチャシラ青年団、ゴルカル青年組織(IPK)といった、インドネシア国軍の協力者であるプレマン(やくざ)が、JSC事務所を襲撃しています。

インドネシア政府は、5月18日に東京で開かれた共同評議会(JC)会合を、CoHAから離脱し、アチェで軍事戒厳令を適用する正当性を得るために利用したように見えます。インドネシア政府は、GAMが絶対に受け入れられないであろう要求を提示しました。そして東京での会合が失敗に終わった直後、アチェでの軍事戒厳令適用を発表したのです。会合を破綻させようという意図は、東京に向かおうとしていたGAM交渉担当者5人が、アチェで逮捕されたことからも明らかです。

アチェで軍事戒厳令が適用されて以降、人びとは非常に困難な状況におかれています。南アチェ県では、17人が家に閉じ込められ、生きたまま燃やされたという情報が入ってきています。そのうち何人かは女性でした。アチェ全域で、インドネシア国軍は、人びとに村から出て行くよう強要しています。夜間外出禁止令が出され、また人びとに特別な身分証明書を発行するという計画もあります。このようなことは、軍事戒厳令の標的の多くが、一般の人びとであることを示しています。また民主活動家や人道援助に携わる人びとが多く逮捕され、もしくは誘拐されています。アチェ州警察長官は、アチェの民主活動家600人を逮捕すると発表しています。

以上

他に、背景としてアチェ:繰り返される侵害の中で及びアチェ:事態が変わったらもご覧下さい。
  益岡賢 2003年5月27日

一つ上へ] [トップ・ページ