『亜空間通信』157号(2002/02/10) 阿修羅投稿を再録

今年もまた「杉花粉症」の時期が来て典型的な薄味記事出現の政治犯罪展開中

送信日時 : 2002年 2月 10日 日曜日 8:49 PM

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『亜空間通信』157号(2002/02/10)
【今年もまた「杉花粉症」の時期が来て典型的な薄味記事出現の政治犯罪展開中】

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転送、転載、引用、訳出、大歓迎!

 今年もまた「杉花粉症」の時期が来た。過去2年間は前年の夏の高温と小雨量のせいで、平年の5倍、3倍の花粉が飛散し、私は悲惨な目に遭った。今年は、昨年の7月半ばまで超高温、それから冷夏という異常気象だったから、少しは減るかと期待したが、東京都の「いいはな」(悪い冗談)の典型的な予測情報によると、平年の1.8倍の花粉が2月11日以後に飛ぶとのことだ。

 うむ、うむ、しかし、しかし、2年間も抗生物質の投与で苦しんだから、今年は自力の抵抗を諦めて1月中旬から、副作用は承知の上で抗ヒスタミン剤を呑み始めた。昨年の花粉は地べたに落ちていて、乾いた関東空っ風が吹くと舞い上がる。役所の屋上で計測する花粉情報は地べたを這う裸の猿の実態と懸け離れているのだ。

 で、1ヶ月間に3度の医者通いで、すでに3千円以上を支払った。国民健康保険で3割自己負担だから、保険の分を合わせると耳鼻科の医者は1万円以上の収入となる勘定である。もちろん、その大部分が薬九層(糞)倍の医療産業とやらに転げていくわけだ。これがあと3ヶ月続くから、総合計は4万円以上になるだろう。5人に1人の「国民病」と囃されているから、日本の人口、1億3千万人の5分の1が同額を支払うとすると、それだけでも医療業界の年収は1兆2百億円、いわゆる1兆円産業になる。

 だから当然、患者がいなくなると困るから、御用学者が雇われる。

 今年もわが電網宝庫読者が『しんぶん赤旗』(2001.01.31)の切り抜きを届けてくれた。「いまや5人に1人の"国民病"/花粉症/予防策は?/治療法は?」ときたもんだ。名前はどうでもいいが、耳鼻科の医者の「アドバイス」である。商業新聞ではなくても、やはり、典型的な薄味記事であることは今更言うまでもない。

 一応は「これほどまでに花粉症が増加した原因は、植林によるスギの花粉が増えたからにほかなりません」と、当ったり前みたいなことを喋っているが、これも実は基本的には間違いなのである。せっかく「昭和天皇御手植え」とかの鳴りもの入りで国を挙げて植林したのに、輸出大国の日本が外材を輸入して国産を放置し、花粉が付く枝を打つ手入れもしないもんだから、花粉が「増加してしまった」のである。この件は何度も書いたから以上に止める。

 以下、2年前の旧文を再録する。なお、文中の「単行本」云々については、まとめる時間が取れないままである。

杉花粉被害放置政策に猛然反撃の独立反乱!
“杉林焼き払い放火作戦”開始宣言!
(その21)主犯を匿った学閥が花粉飛散予測の首魁という皮肉

 2000.5.11.大型連休を越えて、なお、東京都の花粉情報、「いいはな」は、このところ、まったく同じ文句の「花粉は終息に近付いています。10個以下で少ないでしょう」を繰り返している。しかし、なかなかゼロにはならない。杉林に近い青梅では、5.2.から5.8.の合計が56.8とか、一日平均で8個である。

 なお、本シリ-ズは、花粉飛散の「悲惨」期間の終了まで続けると予告したのであるが、別途、単行本にまとめよとの要望もあるし、やはり季節外れの話題の感を免れないので、いつまでもダラダラ続けるのは避けたい。そこで今回は、前回に紹介した奇妙な本、『文明とアレルギ-/杉花粉症と日本人』と、その著者、井上栄について、若干の追跡調査の結果を報告し、基本的な杉花粉対策の概要を提案し、以て、本シリーズの一応の中締めとする。

数量データなしの「杉の博物学」80頁で専門家?

 井上の本の研究データは、「筆者ら」と記されている「国立公衆衛生院」の職員の「公費」による仕事の結果である。杉花粉蛋白だけと血清の反応だけからではあるが、東京都で「30~40パーセント」の「抗体保有率」(p.19)の結果を得ている。10年前の保存血清と比較し、10年間に4倍に上昇」(p.23)の「目安が得られた」という。大筋は結構である。

 ただし、この調査方法自体についても、私は、「アレルギー行進曲」を無視した「血清疫学調査」への疑問を抱くが、それは複雑になるので、別途、単行本で論じたい。

 続く「なぜ患者が増えたのか?」の自問自答では、井上も、当然のことながら、「1」として「花粉生産量の増加」を挙げざるを得ない。「2/都市における花粉の再浮遊」を指摘するのも、また当然である。

 ところが、「3/大気汚染微粒子」「4/蓄膿症の消滅」「5/寄生虫の撲滅」「6/食生活の変化」などなど、自分でも「その各々の寄与の程度は、まだわかっていない」(p.49)問題を並べ立てている。この種の問題の複雑化、「主犯逃がし」の手口については、すでに本シリーズで何度も指摘したので、同じ批判は繰り返さない。

 その上で、驚いたことに、われらが憎っくき主敵、杉花粉症の主犯に関して、何と、「日本の文明に貢献してきた杉の木の有用さについて語ってみよう」と転じ、この憎っくき「主犯」の情状酌量を試み、江戸時代からの「杉の博物学」を、本文が全部で190頁の本の内の堂々80頁にわたって展開しているのである。

 江戸時代のことだから、当然、杉並木や、ごく一部の植林に関する数量のデータは
皆無である。一番肝心の「枝打ち」などの手入れも、江戸時代の方が、きっとマメだったろうに、その指摘もない。現存する杉並木は古木で、当然、花粉生産量は少ない。それなのに、井上は、箱根の「売店に入って聞いてみたが、花粉症の人はいなかった」(p.143)などと記し、題名の「文明とアレルギー」の理解、いや、誤解へと読者を誘導するのである。

 これが、もしかすると、お得意の「血清疫学調査」の魔術の極意なのであろうか。

 ところが、これで「杉花粉の専門家」と認定されたのだろうか、実は、この井上某は、つい最近、すでに本シリーズで紹介済みの厚生省の「理論家」のトップに立っていたのである。

 科学技術庁が予算を握る「スギ花粉症克服に向けた総合研究」の「代表者」が、「国立感染症研究所・感染情報センター長」こと、「井上栄」だったのである。

 この「総合研究」に関しては、現場の研究者の不満も記したが、道理で、一番肝心の「主犯」の杉の状態調査はせずに、「花粉飛散の予測」だけに研究の範囲を限っていたわけである。この「花粉飛散」情報をいち早くキャッチして、儲けたのは、「抗ヒスタミン」を増産して患者が「悲惨」状況に陥るのを待ち構えていた製薬業界、ズズッと下がって、マスク屋、防塵眼鏡屋、などなどである。

「主犯」は完全に逃げおおせている。

試算すらせず「枝打ち」に「莫大な費用」と断定

 ただし、井上は、“あの”都知事の提灯持ち、100%東京都職員の黒田「研究員」のような粗忽者ではなかったようである。

 さすがは「国立公衆衛生院」の「学部長」様、様らしく、「公衆」の「患者さん」にも同情して見せる。「花粉暴露量を減らす方策の一つは、花粉源対策である」(p.187)と記す。「花粉が飛びにくい杉の木を植え」る方法の「効果が現れるのは、今から数十年先」で、「てっとり早いのは杉の木の枝打ちであろうか」とくる。

 ここまでは結構である。もっとも、当然のことでもある。

 ところが、ここでも、井上は、相撲の「引き落とし」よろしく、その直後に、「日本中の全部の杉の木の枝打ちは不可能」「莫大な費用がかかる」「効用とのバランスを考えなくてはならない」と畳み掛け、読者、いやさ、患者を脅して、諦めさせるのである。しかし、「筆者ら」が、「枝打ち」の試算をした形跡は、まったくない。

全国でも国家予算1,428億円、東京都なら僅か132億円

 私は、すでに、この点も調べ、概算をしていた。「莫大」どころか、銀行への公的資金投入こと、「泥棒に追い銭」に比べれば、まるで「雀の涙」の予算しか必要ではない。しかも、それが、失業救済、中小企業の振興策になる。万々歳である。

 すでに本シリーズの冒頭で報告したように、「3兆円を超える莫大な赤字で肩身が狭い」林野庁が、「花粉症対策」と称して組んだ5カ年の予算、僅かの476億円は、民間への補助金が中心のようだが、「枝打ち」だけではなくて総合的な予算である。

 この予算で、全国の450万ヘクタールの杉の人工林の3分の1、150万ヘクタールの手入れと「花粉がかない苗」植えができるはずである。つまり、逆にいうと、476億円の3倍の1,428億円があれば、1年で全部の手入れができるはずである。

 ただし、東京都の場合をすでに記したように、国家予算から1年に2千2百万円、東京都でも補助金を出して、全部で2億2千万円の予算であって、それでも全部の手入れに30年掛かる計算だった。1年でやる計算でも、132億円にしかならない。

 国家予算と地方自治体予算の関係は、個別の調査が必要である。しかし、ひと桁違っても、全部で1兆円そこそこ、林野庁の赤字の3分の1、1,000兆円規模の国家予算の1%にしかならない。さらには、まだまだ財源がある。地方予算の総額の方が、国家予算よりも多いのである。

 防衛予算が云々など、調べる気にもならないが、1兆円そこそこが桁違いの小額であることは、誰の目にも明らかだ。しかも、これが「数十年のつけ」の請求額でしかないのである。

「枝打ち」作業には、江戸時代とは違って、「機械」がある。どこでも使えるガソリン・エンジンで動く「自動枝打ち機」には、2種類あって、下から上に登りながら枝を切るのが約50万円。長い枝の先に刃が付いていて、狙った枝を切るのが約45万円。現在、全国で1万台以上が使われている。簡単な機械だから、作っているのは、両方とも中小企業である。

 さあ、予算を寄越せ、寄越さなければ、杉林焼き払い作戦に決起するぞ!

 以上で引用終わり。


(2017.12.13追記:以下は、157号発行後の追加)

From: 吉村 史郎
Date: Wed, 13 Feb 2002 03:49:06 +0900
To: altmedka@jca.apc.org
Subject: ありがとうございました

国際電網空間総合雑誌『憎まれ愚痴』編集長
木村愛二様

前略

 初めましてNPO花粉情報協会事務局の吉村史郎と申します。

info@pollen-net.com宛に頂戴しました『亜空間通信』157号(2002/02/10)【今年もまた「杉花粉症」の時期が来て典型的な薄味記事出現の政治犯罪展開中】。本日興味深く拝見しました。

 私は市立芦屋病院の耳鼻咽喉科医師で、典型的薄味記事の筆者です。

 花粉症問題の根本が「花粉の増加」にあることは明白です。また、花粉症の増加の修飾因子としてディーゼル排気ガスを初めとする環境の変化を論ずることが本質を曖昧にしてしまうと言うご指摘もごもっともです。私自身は毎年花粉症患者さんに接しながら、花粉症を治療することは本末転倒であると感じています。花粉症をなくすためには、異常な花粉環境を是正することを第一に考えるべきで、新薬を開発することでも、遺伝子操作で抗原性の少ないスギを作ることでもないはずです。

 拡大植林政策も、林業の衰退(熱帯雨林の伐採)も、その他諸々の環境因子も含めて、経済効率優先、科学技術偏重の私たちの所作に対する答えが「花粉症」なのではないでしょうか。

 たかだか数百億円の金でつけが払えるものなら安あがりなもんだと思います。しかし、単純に「切ってしまえ」だけでは、転換する樹種によっては新たな花粉症が生ずるおそれもありますし、一度、破壊した植生を回復させることは、そう簡単ではないのかもしれません。

 先日、科学技術振興調整費「スギ花粉症克服に向けた総合研究」の全体研究分科会に出席する機会に恵まれました。遺伝子解析等の先端研究?と同時に、経費の試算を含めた森林管理についても検討されていました
(森林総合研究所)。

 科学技術発展のつけ(花粉症)を科学技術振興調整費で研究するというのも 矛盾してますね。 草々

吉村史郎


差出人 : 木村愛二
宛先 : 吉村 史郎
送信日時 : 2002年 2月 13日 水曜日 5:48 AM
件名 : Re: ありがとうございました

木村愛二です。

 大変に素直な返信を頂き、感謝。まだまだ、この最も邪悪な動物、裸の猿も、すべて捨てたものではないのかなと思いつつ、御礼申し上げます。できれば、下記の電網宝庫記事も見て下さい。

 当方、現在65歳。60歳から「いじわる爺」作戦に転じました。以下に項目のみ再録する特集を始めたのは2年前、40度の高熱、抗生物質投与の頭ガンガン、出席を約束した集会の講師も断るような状況の下でした。

 フラフラで外出もできないので、当時、各種メディアはもちろんのこと、新聞などで取り上げられた「医師」たちにも電話で訴えたりしたのですが、話の途中で忙しいとか、ホーム頁を見てくれとか、剣もほろろのあしらいを受け、怒り心頭に発し、かつての弁護士たちとの付き合いも思い出し、だから、やはり、「国家試験合格資格者たちは許せんのだ」とまで思ったものでした。

 今年は早めに抗ヒスタミン剤を呑み始めたら、睡眠サイクルが狂って、今も、夜中に目が冴えてしまって、仕方なしに玩具をいじっている状況です。

 あと3ヶ月、またぞろ、すぐさま銀行強盗に変身できる防塵眼鏡、広目マスク着用で、アメリカ大使館前は愚か、趣味の駅前演説もできない状態が続くのです。

 なお、以下は急ぎの暗算の間違えで、電網宝庫入力では訂正します。

 医療業界の年収は1兆3千億円(2002.02.13.:4/5にするのを失念。1兆2百億円に.訂正。ぎりぎりで、いわゆる1兆円産業であることは間違い無い)になる。

 以下、目次のみ。

http://www.jca.apc.org/~altmedka/kahun-sakusen.html
編集長の毒針:緊急課題!
杉花粉被害放置政策に猛然反撃の独立反乱!
“杉林焼き払い放火作戦”開始宣言!

(その1)「多摩地区は50で、非常に多いでしょう」
(その2)ML話題沸騰で杉林の実態への疑惑が深まる
(その3)有病率倍増の未曾有の危機に数年置き調査で十分?
(その4)間伐・枝打ち「保育」を嘲笑う「外材」圧力
(その5)恐怖:雄花が端に穂状に群がるのに枝打ち不必要!
(その6)桁違い東京都花粉予報「50以上で非常に多い」の唖然!
(その7)激増「産業公害」花粉被害者の訴えvs発表報道
(その8)“あの”科学技術庁発2000.1.27.記者会見資料
(その9)82%(61)から19.6%(97)に激減の「木材自給率」
(その10)主犯“杉花粉”激増データを押さえぬ医は算術
(その11)“あの”都知事「ディーゼル排ガス規制」田舎芝居
(その12)「21世紀ニッポン杉花粉症研究基礎データ」の処遇
(その13)「木を見て森を見ざる」「ディーゼル排ガス規制」報道
(その14)杉花粉症を公害として告発する希少価値HP紹介
(その15)花粉症“俗説”メッタ斬り免許皆伝「虎の巻」
(その16)「排ガス規制」補助金よりも「枝打ち」予算を優先せよ!
(その17)「杉花粉・公害」検索HP紹介2.Newsgroups議論1.
(その18)「杉花粉・公害」検索HP紹介3.Newsgroups議論2.
(その19)「杉花粉・公害」検索HP紹介4.Newsgroups議論3.
(その20)学閥が牛耳る無間地獄「医は算術」博士の術策
(その21)主犯を匿った学閥が花粉飛散予測の首魁という皮肉

2001年「恐怖の花粉予報」

2000年春の「悲惨」期間ほぼ終了につき、以上で中締めにしたが、2001年春再開。まずは、以下、昨年10.25.「日記風」からの転載。

(その22)来年のことを言うと鬼が笑うのだが杉花粉症恐怖の予報が的中で不機嫌なり
(その23) またもや杉花粉が飛散する悲惨な季節になりました
(その24)杉花粉で消費低迷と異変!


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