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まちづくりと新しい市民参加
 
 
2006.12.27
 
「東京都版市場化テストモデル事業の官民競争入札」
 
  東京都版市場化テストモデル事業の「官民競争入札」が実施され、事業予定者が決定された。対象となった業務は都立技術専門校における求職者向け公共職業訓練で、入札方法は「総合評価一般入札方式」により、対象科目7科目ごとに民間事業者と東京都の提案内容を比較して、質(技術点)と価格(価格点)を総合的に評価し、「最も有利な提案」をした者が選定されたとしている。

事業者決定の詳細(入札経過等)
http://www.soumu.metro.tokyo.jp/02gyokaku/gyoukaku/181218shijouka-test.htm

 日本における「官民競争入札」の最初は、和歌山県における「庁舎管理業務」であると報道されているが、もともと庁舎管理はほとんどの業務が委託されており、「官」が直接行なうわけではない。したがって今回の東京都版市場化テストモデル事業が実質的には最初の「官民競争入札」であったということができる。
 結果の詳細は上記ホームページでみてもらうとして、7科目のうち東京都の提案(技術提案と価格)を上回る民間事業者がなかった(ただし1事業者のみの参加であった)1科目を除くと、他の6科目は東京都も含めた「競争」となり、すべて民間事業者が東京都を上回り、落札することとなった。
 入札経過の詳細な分析は別途行なう必要があるが、東京都が敗れた6科目を価格だけでみると次のようになる(入札者の価格/東京都の提案価格)。
 
ネットワーク構築科
43.79%
貿易実務科
48.24%
医療事務科
68.11%
ビジネス経理科
65.56%
経営管理実務科
65.43%
同(別の専門校) 70.26%
 
 このうち、ネットワーク構築科と医療事務科の2科目は技術点では東京都が上回っていた(他の4科目は民間事業者が技術点でも上回っていた)。いずれにしても、7割を下回るような価格で、はたして質が確保できるのか。2007年4月以降の民間議業者による職業訓練の実際が注目される。特にモニタリングが重要になるが、そのモニタリングの手法等は下記に掲載されている。

事業実施状況のモニタリング及び事業実施後の評価の詳細
http://www.soumu.metro.tokyo.jp/02gyokaku/gyoukaku/181118shijouka.pdf
 
 
2006.12.20
 
「臨海ホールディングス」
 
 臨海部などで事業を行なっている、いわゆる第3セクターの運営形態が大きく変わろうとしている。現在民事再生手続きを行なっている臨海3社(東京テレポートセンター、東京臨海副都心建設、竹芝地域開発)を含め、全体をグループ化して持株会社をつくり、子会社にしていく構想である。
 
  なお、第3セクターの概念について整理しておく必要がある。なぜなら、日本でいうところの第3セクターの概念は、欧米では通用しないからである。公共セクター(第1セクター)と株式会社等の私的セクター(第2セクター)は、日本も欧米も同様であるが、第3セクターはそれぞれ異なっている。
     
  日本の第3セクターは、自治体と民間の共同出資、あるいは自治体100%出資の企業のことをいう。しかしアメリカは、NPOを第3セクターとして捉えるのが一般的である。これに対してヨーロッパではアメリカより広く捉え、協同組合、共済組織、NPOを「非営利目的組織」として第3セクターとする考え方である。
     
  今日、日本でもヨーロッパのような概念によって第3セクターを把握し、新たな公共空間を考えていこうとする動き(たとえば社会的企業研究会など)が広がりつつある。
 
 持株会社「臨海ホールディングス」は2007年1月には設立されることになっているが、その後も含めて次のような日程になっている。
 
第1ステージ:   「東京臨海熱供給株式会社」が単独株式移転によって「臨海ホールディングス」を設立。設立予定は2007年1月31日
     
第2ステージ:   株式交換により、「ゆりかもめ」「東京テレポートセンター」を「臨海ホールディングス」の子会社化。子会社化の時期は2007年8月上旬。
     
第3ステージ:   第三者割当増資方式により、「ビックサイト」、民営化後の「埠頭公社」の子会社化。時期は2008年度。
 
民事再生手続き中の東京テレポートセンターが、なぜ1月に臨海ホールディングスの子会社になるのかなど不明な点も多いが、はたして都議会では解明されただろうか。
いずれにしても、持株会社などの会社法の概念、持株会社設立の方式(株式移転、株式交換、第三者割当など)などは、これまでの自治体政策では縁遠かったテーマである。また、持株会社のもとでの労使関係も新たなテーマである。この間、この方面に精通しておられる徳住堅治弁護士(旬報法律事務所)のお話を2回聞く機会をもったが、きちんと理解できたとはいい難い。引き続き関心を持っていきたいと考えている。
 
 
2006.12.13
 
「市民社会の新たな可能性」
 
 さる12月7日、市民セクター政策機構と東京ランポの共催で「市民社会の新たな可能性を探る」と題した講演会があった。講演したのはスティーブ・ジョンソンさん(ポートランド州立大学教員)。
 スティーブ・ジョンソンさんは、日本社会情報学会の招きで来日され、12月23日の同会主催の国際シンポジウムまでの間、日本の各地を回られる。7日は、今度の来日の最初の講演であった。ポートランドは、アメリカの他の都市の市民参加が衰退している中で、唯一といっていいほど市民参加が質、量とも拡大している都市である。
 その実際は、下記の岡部一明東邦学園大学所助教授のホームページに詳しいので、ここでは割愛する・

http://www5d.biglobe.ne.jp/~okabe/sjohnson/index.html

 なお、12月23日のシンポジウムの内容、参加申込み等は次のとおり。スティーブ・ジョンソンさんは、ここで基調講演をされる。
 
 
 
テーマ
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日 時
 
会 場
 
趣 旨
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主 催
 
定 員
 
締切日
 
参加費
     
<国際シンポジウム>
 
コミュニティ資源の形成とICT
−意思としてのコミュニティ形成−
 
平成18年12月23日(土)14:00-17:00
 
東京国際フォーラム Dホール
 
ICTの社会的インパクトについての学際的な研究成果の社会的な還元を目指し、近未来社会におけるICTのポテンシャルに関して、海外の研究者を交えてシンポジウムを実施します。
内外の報告者を中心に会場との議論を通じて、日本のコミュニティ情報化に欠けている視点や取り組みを見つけ出し、これからのコミュニティ情報化の構想に反映させ、「主体」形成や「学び」の認識を深め、市民的な参加、協働の基盤作りの第一歩とします。
 
日本社会情報学会
 
100名
 
12月16日(土)
 
無 料
 
申込・問合せ:
日本社会情報学会事務局まで、氏名・所属、連絡先を明記のうえe-mailまたはファックスでお申し込みください。
同時通訳受信機(当日希望者へ無料貸与)を不要の場合にはお知らせください。
e-mail: jasi@jade.dti.ne.jp  FAX: 0422-40-2062
受付の返信につきましては、定員が超過しお断りする時のみご連絡します。
 
 
2006.12.5
 
「まちづくりと新しい市民参加」
−ドイツのプラーヌンクスツェレの手法−」
 
 イマジン出版からCOPABOOKS(自治体議会政策学会叢書)の最新の出版物として、表題の本書が刊行された。著者の篠藤明憲さん(別府大学文学部教授)は、日本プラーヌンクスツェレ研究会の代表をされており、実は縁あって、昨年の第2回と今年の第3回研究会は東京自治研究センターの会議室で開催された。
 プラーヌンクスツェレといっても、ドイツ語であることもあって日本では馴染みがほとんどない。しかし、篠原一さんの「市民の政治学」(岩波書店)の発刊以降、「熟慮民主主義」や「討議民主主義」という概念ともに、少しずつ広まっている。
 プラーヌンクスツェレとは何か? 本書でもドイツの事例とともに詳しく紹介されているが、かいつまんでいえば次の4点に集約される。
 
1.   参加者は住民台帳から無作為で抽出される
     
2.   有償で一定期間(ドイツでは4日間が標準)参加する。
     
3.   ひとつのプラーヌンクスツェレは原則25名で構成され、毎回メンバーチェンジしながら約5名の小グループで、参加者のみが討議を繰り返す。
     
4.   「市民答申」という報告書を作成し、委託者である行政機関に提出する。
 
 この“新しい市民参加の手法”がはたして日本でも成熟するのかは、今のところは何ともいえない。日本ではようやく昨年から青年会議所が中心となって、この手法を取り入れた試みに挑戦をはじめたばかりだ。それは本書でも紹介されているのでここでは触れないが、まだまだ実験的な段階である。
 市民参加・参画の手法は多様なものがある。どのような事業に、どのような段階に、どのような手法が有効か。繰り返し、実践を積み重ねてゆくしかない。興味のある方は、ぜひ手にとってみたらいかがか。新書版で1000円と手ごろである。