子どもに関する事件【事例】



注 :
被害者の氏名は、書籍等に掲載された氏名をそのまま使用させていただいています。ただし、加害者や担当教師名等については、個人に問題を帰すよりも、社会全体の、あるいは学校、教師全体の問題として捉えるべきではないかと考え、匿名にしてあります。
また、学校名については類似事件と区別するためと、隠蔽をはかるよりも、学校も、地域も、事実を事実として重く受けとめて、二度と同じ悲劇を繰り返さないで欲しいという願いを込めて、そのまま使用しています。
S.TAKEDA
S030519 学校災害 2014.5.23新規
2003/5/19 東京都中央区の区立常盤小学校の講堂で、体育授業中で運動会の組体操の練習中、女子児童(小6)が転落して前歯を損傷。
経 緯 女子児童は、運動会の5人による組体操の練習で、土台役2名の児童の上に立ち、土台の左右から倒立してくる2人の児童の足をつかむ役目をしていたが、バランスを崩して床に転落。顔面を床に強く打ちつけたため、前歯を脱臼するなどの傷害を負った。
裁 判 被害者は、担当教諭は下練習十分に行わず、倒立役の児童への適切な指導を行わなかったなどの安全配慮義務違反があったなどとし、区に対し通院交通費、慰謝料など260万円余の損害賠償を請求。
被告の主張 被告は、運動会の組体操の練習の前に3人補助倒立などを含め7回の下練習をしているほか、全体練習については講堂の正面でこの様子を確認し、また失敗したときの対応についても個別に指導して回っていたのであるから安全配慮義務の違反はないなどとして争った。
判 決
(一審)
2006/8/1 東京地裁で、区に166万円の損害賠償を支払うよう命じた。

裁判長は、「5人技は、土台役の2名の児童の上にもう1人の児童が立ち、土台の左右から倒立してくる2名の児童の足を持って支えることによって完成する技である。(中略)技を完成させるまでの過程において、倒立の態様によっては、中央の児童が倒立役の児童の足をつかみ損なうなどしてバランスを崩し、土台の上から倒立役の児童とともに転落する危険性があったと認めるのが相当である」

「このように、相当程度の危険性が見つめられる本件5人技を組体操のプログラムの一つとして採用するにあたっては、担当教諭らは、中央の児童がバランスを維持することができるように、倒立等の仕方について、各役の児童に対し適切な指示を与え、それぞれの児童がその役割を指示とおりに行えるようになるまで補助役の児童を付けるなどしながら段階的な練習を行うなど、児童らの安全を確保しつつ同技の完成度を高めていけるよう配慮すべき義務を負っていたというべきである」

しかし、「段階的な練習によって各グループの完成度を確認することをせずに、一斉全体練習を行った。」として、安全配慮義務違反を認定。
参考資料 判例時報1969号75頁、判例タイムズ1243号248頁、問答式学校事故の法律実務/新日本法規




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