わたしの雑記帳

2006/7/5 臼井丈人くんいじめ自殺事件控訴審。加害者両親との和解成立。

今日(2006/7/5)、13時30分より、東京高裁822号法廷にて、臼井丈人くんいじめ自殺事件控訴審があった。
始まってすぐに、加害少年2人の両親との和解の話と市とも並行して和解の話し合い継続する旨が、江見弘武裁判官からあった。すでに、今日、和解になることは臼井さんには伝えられていたようだった。
とりあえず、原告、被告、双方は16階に行く。原告の傍聴支援者もついていく。
最初に、加害少年側と臼井さん側が呼ばれた。

しばらくして部屋から出てきた原告弁護団から、加害者2人の親と和解が成立したと報告があった。
内容は、継続していじめたことを謝罪し哀悼の意を示す、120万円を支払うなど。
もちろん、原告側が納得してということではなかった。裁判所から職権和解として、条件を提示され、今後、学校の責任をはっきりさせるためにも、加害者との間でいじめがあったことを確定しておく必要があった。

加害者の母親と父親が各1名ずつ出席して、その場で、お金を渡されたという。
帰り際に頭を下げていったが、謝罪の言葉はなかったという。
丈人くんのお母さんが言った。「金額うんぬんではなく、本人の口から言ってもらいたかった」「謝罪がほしかった」と。
実は、裁判官も、今日のこの席に本人が来るよう、代理人弁護士に働きかけてくれていたという。しかし、それは勘弁してほしいと断られたという。高裁では、加害少年に対して抗告しているわけではないので、無理やり連れてくることはできない。しかし、少なくとも裁判長は、子どもたちが直接、謝るべきケースであると認識してくれたようだ。
その場で、お金を数えて渡されて、お母さんは頭のなかが真っ白になったという。丈人くんが亡くなって7年間。両親が求めていたものはこんなものではなかったはずだった。

ただ、一審の進学を苦にしてなどと、死の原因をすりかえられた内容からは、いじめを原因とした自殺であることをことに裁判官は理解を示してくれたという。
和解内容については、改めて裁判所から文書が出されるという。

学校側との和解についての話し合いも行われた。しかし、今回も成立せず、継続されるという。
和解は、法的裏づけの乏しい事件について、判決では得ることの難しい結果を得るための手段でもある。それでも、新たに裁判を起こす人たちはまず、過去の判例を探す。そこに勝訴事例があることがどれほどの希望になることか。それを考えたとき、やはり、できることなら勝訴判決がほしい。

いじめが自殺の原因と認められてしまうと、賠償金額が異なる。命の値段に跳ね上がる。1桁2桁違ってくる。だから、被告側としてはなんとしても認めたくないだろう。
しかし、丈人くんがいじめ以外の原因で自殺したとはとても考えがたい。いじめは、時にひとを死に追いやるほど残酷なものだ。
いじめは命にかかわることだという認識なしには、学校は真剣にいじめ問題に取り組もうとはしないだろう。加害者の親も「たかがいじめぐらいで、死なれて」という認識を改めることはしないだろう。
いじめと自殺の因果関係を認めることが、いじめ防止対策には必要なのだと私には思える。


そして、150万円という金額は、命の値段としてはあまりに安い。弁護士代、調査にかかった必要経費、交通費、その他もろもろ裁判にかかった費用を引いたら、まずは赤字になってしまう。
裁判をするということだけで、被害者はさらに大きな負担を強いられている。
せめて、起きてしまったあとに、きちんとした謝罪があれば、反省と防止策が提示されたら、丈人くんが亡くなってからのこの7年間はもっと違ったものになっていただろうと思う。
そして、そう仕向けてしまった学校の責任は重い。

次回、7月21日に再度、原告と鹿沼市との和解の話し合いがもたれる。和解になるか、判決になるか。現段階ではまだわからない。




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