わたしの雑記帳

2011/7/11 市立北本中学校の中井佑美さん(中1・12)自殺の民事裁判・教師3人の証人尋問。

2011年6月30日(木)東京地裁103号法廷で、午前10時から午後5時30まで、埼玉県北本市の市立北本中学校の中井佑美さん(中1・12)が自殺した事件の民事裁判(平成19年(ワ)2491号)の証人尋問があった。

この裁判では、2005年10月11日、埼玉県北本市の市立北本中学校の中井佑美さん(中1・12)が、いじめをにおわすような遺書を残して自殺した事件で、遺族が北本市と文部科学省を相手どって、計2000万円の損害賠償を求めている。

裁判官は、志田博文裁判長、杉本宏之裁判官、後藤隆大裁判官。
この日の尋問は午前中、佑美さんの小学校の担任。午後から、中学校担任と中学校校長。
2009年11月(me091109参照)から非公開での審議がずっと続いていたため、果たして傍聴人がどれだけ集まるか心配したが、100人収容の103号法廷は、ほぼ満席だった。小森さん(1998年7月25日行為、27日死亡)をはじめ北海道滝川市のいじめ自殺(2005年9月9日行為、2006年1月6日死亡)遺族や、岐阜県瑞浪市のいじめ自殺(2006年10月23日)遺族、、たくさんの指導死の遺族も傍聴に駆けつけていた。

なお、1日に3人もの人証調べを入れたこともあって、原告の反対尋問には、かなり時間的焦りが見えた。
弁護士の質問が早口だったこと、大法廷にもかかわらず、記録のためのマイクのみで拡声機能がなかったこともあって、聴き取りにくかった。報告内容は、不正確な部分もあることを了承していただきたい。

尋問で登場する生徒名については、氏名を番号に置き換えた対照表が使用された。

小学校6年生当時のN女性担任の証人尋問
北本市の代理人弁護士から、主尋問。

Q:佑美さんとの関係について。
A:北本市立西小学校のときの、6年生の担任。佑美さんが小学校5年生のときは他のクラスの担任をしていた。実際に佑美さんのことを深く知ったのは6年生で担任になってから。
Q:どんな子どもだったか?あなたの陳述書には、佑美さんは芯が強くて、自分の考えをもっており、まじめな勉強家で、ハキハキとものを言うタイプとあるが、これは6年生のときの印象ということでいいか?。
A:はい。
Q:6年生のとき、佑美さんとあなたはよく話をしたか?
A:おとなしいタイプで、あまり話したことはない。
Q:佑美さんは何かトラブルを起こしたことはあるか?
A:トラブルなどを起こしたこともない。授業態度はまじめで、勉強熱心。授業中もよく聞いていた。指名されると、ハキハキと答えた。
Q:担任教師と生徒との交換日記について。
A:生徒指導の一環として、書かせていた。何かあったときに相談しやすいように。佑美さんはけっこう長文を書いてきた。生活のこと、友だちのこと、家のことなど、一般的なこと。
Q:平成16年、6年生の児童を指導するにあたって注意していたことは?
A:一人ひとりの児童の理解に努めた。朝の会や授業中、給食の時間、清掃の時間など、たえず目を配っていた。
Q:学級内のトラブルにはどのように対処していたのか?
A:必要に応じて、当事者やグループ、クラス全体で話し合いを持つようにした。教師が問題をひとりで抱え込まないように、他の教師との情報の共有を必要に応じて行っていた。校長に話をもっていったり、生徒指導委員会にはかるなどして、問題解決に当たった。
Q:保護者との意思疎通は?
A:年2回の家庭訪問と個人面談を行っていた。

Q:6年生当時、佑美さんのことでなにか問題になったことは?
A:ない。
Q:(小学校児童指導要録を示して)綜合所見の第6学年のところに手書きで、「やや友人関係が気になる」と書いているが、どういうことか?
A:佑美さんは、ものごとをストレートに言うので、友だちとトラブルにならなければいいと思った。友だちにきつい言葉で話すことがあった。

Q:佑美さんとの交換日記で、この裁判になるまでに覚えていたことは?
A:ない。
Q:全体の印象は?
A:毎日、熱心に長文を書いてきた。
Q:具体的な記述は覚えていないか?
A:毎年、30人から40人の子どもに日記を書かせているので、特別なことがない限り、覚えていない。
Q:今回、この日記を読んで、小学校6年生としてはどう思ったか?
A:6年生の生活について、一般の子どもと同じ内容で、特別なことはなかった。
Q:佑美さんの人間的な成長についてはどうか?
A:人間的成長の様子はみられた。6年生当初は自分の尺度でものを見ていたが、だんだん、学級委員なども経験し、人間的な幅が出てきた印象。
Q:佑美さんを中学校に送り出すときは、あなたは十分に役割を果たせたという感じか?
A:役割を果たしたと思っている。

Q:日記の4月11日の記述について。「今日もまた私に、中井くんと言ってくる人が何人もいた。」という佑美さんの記述に対して、「わかりました。先生からも注意しましょう」と書いているが?
A:コメントについて、覚えていない。
Q:当時の記憶で、佑美さんが6年生のクラスメイトなどから、「中井くん」と呼ばれていることは?
A:私のいるところではなかった。誰かからそういうことを聞いた覚えはある。
Q:どうして、佑美さんは「中井くん」と呼ばれたのか?
A:高学年では、男女共に呼び捨てにせず、「くん」「さん」付けをするように指導していたから、「くん」を付けて呼んだのではと思う。
Q:佑美さんが、このことについて困っているとか、直接言ってきたことは?
A:なかった。

Q:4月16日の日記には、「ある児童が私のことを嫌っている。理由は全部がキモイから」とあり、4月18日にあなたのコメントで、「○○のことだけれど、気にしないで、様子をみてごらん。何かあったら相談してね」と書いている。4月16日に限らず、佑美さんから、「キモイと言われた」という相談はあったか?
A:ない。
Q:誰かが言っているのを見たことは?
A:ない。
Q:4月20日の日記で、「あと、○○ちゃん(19番)が鉛筆を返してくれない」と書いている。19番と佑美さんの関係は?
A:ひじょうに仲が良くて、いつも行動を共にしていた。
Q:19番はどんな子どもか?
A:19番はめだたない子。問題を起こしたことはない。
Q:5月20日、「そういえば、○○ちゃん(44番)が、歯科検診のときに、蹴る真似をしていた。」とあるが、佑美さんと44番との関係は?
A:44番と佑美さんとは、とくに親しくはなかった。行動を共にしていない。
Q:44番はどんな子どもか?
A:マイペース。周りのことを意に反さない。ひとりで行動していることもあった。

Q:6年生のとき、佑美さんは学級委員をしていたが、学級委員を選ぶときの経緯について。
A:3学期に学級委員になった。通常、学級委員を選ぶとき、立候補、立候補がいなければ推薦、そのあと投票となる。3学期は、立候補がなくて、佑美さんは推薦された。
Q:その時、何か不自然な動きは?
A:なかった。
Q:佑美さんに、学級委員としての適性は?
A:あった。学力、理解力が優れていて、まじめ。クラスのまとめ役として、さらに成長してくれればと思っていた。

Q:1月14日、木琴の役をめぐってもめたことについて。
A:記憶にない。ただ、6年生の3月、卒業生が先生に対しての感謝の会を開く。クラスの枠をはずして出しものをする。音楽とか。
希望を募るが、希望通りいかないことが多かった。毎年、すんなりいかない。役割は子どもたちだけで決めた。楽器を誰が何をやりたいか、じゃんけんなどで決めた。
Q:2月4日、「今日は友だち関係のことでひとつ解決できて、本当によかった」と書いているが、意味することがわかるか?
A:わからない。
Q:佑美さんの母親のメモに、2月4日、2人の児童にトイレに連れて行かれて、便器に顔を突っ込めと言われて、逃げ出して先生に言った、2人は先生に怒られたとあるが、佑美さんがこのようなことを言って来たことはあったか?
A:なかった。
Q:佑美さんから、このようなことを言われて、ここに書いてある2人の児童を叱ったことは?
A:なかった。
Q:2月22日、佑美さんの母親から電話で、佑美さんが2人の児童から嫌がらせを受けているので、注意してほしいということはあったか?
A:なかった。
Q:平成17年2月22日の放課後、佑美さんと、2人の児童を呼んで話を聞いて指導したことは?
A:なかった。
Q:指導する時間的ゆとりは、その日あったか?
A:なかった。この日は北本市の教育講演会があり、小学校は午前中授業だった。私たちは午後には文化センターに出かけた。
Q:平成17年2月頃、佑美さんの母親から電話で相談があった記憶は?
A:ある。子どものことでちょっと心配なことがあるということで、通学班のことだった。佑美さんは通学班の班長をやっていたが、班のなかのひとりがなかなか言うことを聞いてくれないので、学校で指導してほしいということだった。

Q:6年生のとき、佑美さんは首にけがを2回している。このことについて。
A:12月、朝自習の時間に、佑美さんが申し出て、事情を聞いて、保健室の養護の先生にお願いした。
Q:「災害報告書」には、平成16年12月13日付けで報告書が出ている。2回目も首にけがをしたか?
A:この時は、休み時間で、私も教室にいた、佑美さんを含めた数人の女子児童が、私の目の前でおしゃべりをしていて、その時にけがをした。
Q:この時、佑美さんに対して、いじめはあったのか?
A:全くなかった。
Q:けがの瞬間は見たか?
A:見ていない。急に「首が痛い」と言いだして、とくに変わったことはなかった。私はそばいたので、気づいた。瞬間的なことだった。
Q:「災害報告書」を作成しているが、いじめは?
A:2回目はとくにそばにいたが、そういうことはなかった。

Q:(手紙を示して)これは、佑美さんの名前が書いてある封筒で、先生あてに出されたものだが、もらって読んだ感想は?
A:6年生のとき、算数をしっかり教えてくれたので、中学に行っても授業がわかり、感謝しているという内容だった。
Q:この手紙は中学の授業の一貫として書かれていたが、他の子どもと比べて、どうだったか?
A:多くの子どもたちの手紙には、中学校に行って、担任やクラス、部活のことが書いてあった。佑美さんは、生活や学校の様子、小学校を振り返っての考えを自分の言葉で書いてあった。
Q:この手紙つわ読んで、これからほどなくして自殺するなどと思い及んだか?
A:いいえ。
Q:佑美さんは、西小時代、いじめにあっていたか?
A:なかった。


**************** ここまでで、10時50分。

原告代理人弁護士から、反対尋問。

Q:交換日記の目的は先ほど、生徒指導上、いろいろなことを相談しやすいようにという趣旨で、時には他の児童には言えない、先生にしか言えない相談や要望、子どものSOSの信号を拾い上げることができるということだったか?
A:はい。
Q:佑美さんの小学校時代、いじめはなかったということだったが、あなたのいじめの定義は?
A:いじめがあれば、登校をしぶるとか、親から相談があるはず。そういったものは深刻に考える。
Q:それ以外はいじめではない?
A:いいえ。高学年は担任に言って来づらい。だから日記で拾い上げて、話を聞く。

Q:いじめかどうか考えるにあたって、いじめられている児童の立場に立って、その気持ちを尊重して判断するのか?
A:・・・・・(間)・・・基本的にはそうだ。
Q:あなたが担任をしているとき、佑美さんから、いじめを受けている、あるいはいじめのようなことを受けているという訴えはなかったという認識か?
A:なかった。
Q:今回の裁判に当たって交換日記に目を通したと思うが、同じ認識か?
A:はい。


Q:4月11日の日記に、佑美さんは、「私に中井くんと言ってくる人が何人かいる」「中井くんと言われるのが嫌だ」と書いているが、女の子に対して「君付け」をする。また、佑美さんは中井くんと言われるのはいやだと書いている。これはいじめに当たる、あるいはいじめに当たる可能性があると思うか?
A:本人が嫌だと言ってきているから。記憶にはないが、言った子どもの名前も出ているし、指導はしたと思う。
Q:いじめに当たる、もしくはいじめに当たる可能性があると認識しているか?
A:はい。
Q:先ほど、ほかでも「中井くん」と言っているのを聞いたということだったが、それに対して何らかの処置を講じたか?
A:だとしたら、学年全体で指導した。いじめにならないように、当然、学級、あるいは学年で指導している。

Q:4月16日、「ある女子児童からキモイと言われた。理由は全部がキモイから。どうすればいいの。これでは直しようがない」と書いている。これは、いじめ、もしくはいじめの可能性があるか?
A:様子を見たり、話を聞いたと思う。キモイと言った児童の様子を見ていた。

Q:4月20日、「鉛筆を○○(19番)が返してくれない」と書いているが。あなたのコメントには、「それは19番に貸したのですか、盗られたのですか、返してとはっきり言ってごらんなさい。返してくれなければ、先生に言いなさい」と書いてある。佑美さんのものを返してくれないのであれば問題あると思うか?
A:はい。
Q:4月11日、16日、20日と、続いているなかで、佑美さんがいじめを受けやすいかもしれないと考えるべきでは?
A:・・・・・(間)・・クラスの雰囲気として、貸してねと言わずに子ども同士で借りたりする部分があったので、本当に盗られたのかどうなのかと思って、私のほうとしては書いたと思う。
Q:4月にこのようなことが3回もあって、注意すべきと思わなかったか?
A:注意すべきというより、注意をして見ていた。

Q:5月20日付け、歯科検診のときに、女子(44番)に蹴る真似をされたと書いている。「前、4年生の時、陰で悪口を言われていた。だからまた、いじめられないかと心配です。」と書いている。実際に蹴らないで、蹴る真似をすることで、相手にいやな思いをさせるといういじめもあるか?
A:はい。
Q:6月2日、44番は握力測定の順番を抜かそうとしたと書かれている。前もこんなことが何回もあったと書かれている。他の2人の女子児童も書かれていて、3人に抜かされた。こう書いてあるが、こういうことはいじめの可能性はあるか?
A:握力検査は私のほうでやっていた。はっきりした記憶はないが、男子は別の教諭で、女子は私が担当。順番を待っている間、計算ドリルをして待っている。自分の順番が近くなると並んでいる。私の見ている範囲では、このようなことはなかったと思う。
Q:この記述に対して、先生のコメントはないが、なぜか?
A:意図的ではなく、毎日、日記ともうひとつノート2冊分ある。6年生になるといろいろな行事などもあると、時間的には不可能。他のノートにもコメントはかかなくとも、日記はひと通り目を通して、問題があれば、児童を呼んで指導をしている。日記の発する危険信号にはコメントしなくとも、その場で注意したでしょうし、児童を呼んで指導したと思う。

Q:6月7日付けで、「44番に蹴る真似をされた。遊びを装って、44番には小4からいじめられていた。いじめられないか心配です」と書いている。6月8日付けには、給食の配膳で、佑美さんにだけ他の子と違う対応をされたと書いている。5月20日から6月8日にかけて、佑美さんのいっていることが事実だとすると、44番は意図的では?
A:歯科検診の時は、養護教諭が記録をし、担任は器具の消毒をする。児童にはおしゃべりしないように指導している。私の見ている範囲内ではそのようなことはなかった。日頃の佑美さんを見ていると、文章に書いた時はすごい言葉になっているが、ふだんはそんなことはない。私なりに見えるところは指導していたので、もし悩んでいれば言ってきているはず。
44番については、4年生の担任から話を聞いたこともある。44番は4年生のときに隣の席の子がいやだということで登校をしぶるような子だった。6年生のことをきいて、4年生の担任はびっくりしていた。
Q:6月8日付のあなたのコメントをみると、「2人の間に何かあった?もしも中井さんの言うとおりなら、それなりの理由があるのでしょう。先生も気をつけてみましょう」とあり、佑美さんに聞いている様子がないが、本当に、佑美さんから事情を聞いていたのか?
A:事情を聞いたと思う。何かあったときには、皆にたえず声かけをしていたので。よく覚えていない。
Q:聞いていたら、もっといじめのことが出てきたのでは?小学校4年生のときの44番の陰口の件は市教委に報告が上がっている。そういう前提にたったときに、佑美さんの受けていた行為はいじめだと思わないか?
A:クラスの2人の様子を見ている範囲では、そんなふうには見えなかった。

Q:10月12日、「19番とどうすれば自然に離れて行けるか」「19番にいい子ぶっていると言われた」と書いている。
10月20日付けに、「19番とは5年生のときは並ぶ順番が前後で、仲が良かったが、今は好きじゃない。超悪な子だから」と書かれていて、あなたのコメントで、「19番の子はどんなところが超悪なの?」と書かれていて、次の日に、「超悪というのは」ということでいろいろ書かれている。「筆箱から、ペンが盗られた。」「キャップを投げられた」「今日もまた、キモイ、ばっかじゃないのと言われたりぶたれたりした」とあり、「どうすれば距離をとれる?あと自然に離れることができるんですか?教えてください」と書いているが?これらはいじめにあたるのでは?
A:教師として、盗られたような気がするというのは、相手の子の言い分もあるし、両方をうまく育てていかなければならない。だから、細かく様子を見ていた。よくは覚えていないが。
Q:キャップを投げられたり、悪口を言われたり、ぶたれたりしたということも入っているが、こういったことはいじめには当たらないのか?
A:こういうことは子ども同士けっこうやっているので、落ち度も全く何もないのに、その子だけをターゲットにしているということが長く続くなら、学級、学年、学校全体で指導していたと思う。

Q:埼玉県の平成19年度いじめに対する検討委員会の「いじめの早期発見について、47頁に書いてある。ばっかじゃないの、きもいと言われたり、ものを投げるなど、このようなことは、いじめに当たると考えて対応すべきだったのでは?
A:言葉づかいが乱暴な子はあったが、私自身から見て、佑美さん自身もけっこうそういったことはあった。この日記だけじゃなく、全体を見て、私なりに佑美さんに限らず、盗った、盗られたということも実際にあるし、その都度、指導に当っていた。
Q:佑美さんには対応したか?
A:2人の関係は、教師の前ではそういったことは見えなかったし、私の見た限りではそういったことはなかった。佑美さんに、「大丈夫なの?どうなの」と話した時に、「大丈夫です」という返事が返ってきた。

Q:10月21日の佑美さんは日記に、「19番とふざけっこしていたりけんかしているように見えるときには、どうしたの、何かあった、けんかしているのと尋ねてもらえればうれしいです。」と書いているが、これは、あなたの目には単なるふざけっこに見えても、もっと深刻な事態になっていて、自分では対応できないから、仲裁に入ってくださいということを言っているのではないのか?
A:佑美さんには事実確認した。
Q:あなたは佑美さんに事実確認したというが、この日のコメントには「19番はそんなひどいことをする子なのですか?先生にはそうは見えません。そうであれば、19番とあえて友だちになる必要はないかと思います。クラスの友達の一人として接すればよいと思います」で終わっている。事実確認していなかったのではないか?
A:そんなことはない。
Q:10月30日には、「19番に、今日、この日記を読まれました」「超ムカツク、最悪です」「もうすごいいやになったのだけれど、どうやって離れてよいかわからない」と書いているが、この内容を友だちに読まれたら、とくに19番に読まれたとしたら、友だちのことを先生に告発していることがばれてしまう。佑美さんは当時とても困っただろうと考えられないか?
A:確かに読まれたとしたら、困ると思う。子ども同士が、日記をよく、見た、見せて、ということがある。佑美さんと友だちとの間にそういうことがあったか確認していないが、そういうことがないよう、本人の手元に届くように配慮していた。
Q:佑美さんに事情を確認して、19番に注意した覚えは?
A:ない。もし、読まれたということを彼女が言って来たとしたら、「どういうことなの?」と相手の子に聞いたと思う。
Q:聞いたとしたら、何かコメントがあってもよいのでは。この日記の問題は、2月まで解決されていないことは知っているか?
A:はい。
Q:とすれば、この件について、きちんと指導していなかったということになるのではないか。

Q:11月5日、「19番と46番?に、黒板に好きでない男の子の名前を書かれて、19番に押さえつけられて、暴れたら2人かがりで押さえつけられて、黒板消しを当てられ泣きまねをされたたとあるが、事実だとすればいじめには当たらないのか?
A:事実だとすればたぶん、読んだときに、私なりの指導をしていると思う。
Q:さっきから指導していると言うが、依然としてこうしうことは続いている。この内容にはコメントがないが、本当に指導していたのか?
A:コメントを書く時間がないことはある。

Q:3学期に学級委員になった話があったが、佑美さんは嫌がっていなかったか?
A:本人はあまりやる気はなかった。佑美さんに限らず、今の子はみんなそうで、学級委員は面倒くさいとか、親の考えてやらせたくないという子もいた。
Q:1月11日、「学級委員だからって何か言われたり、2組の女子軍団の○○からは、えー、学級委員って中井くんなのと言われたり、こっちは好きでやっているわけではないのに、それにへんなふうに呼ばれるのもがまんしているのにと言ってやりたくなりました。」とあるが、佑美さんが学級委員を押し付けられていたという認識は?
A:なかった。押し付けでは絶対にない。
Q:いじめの兆候としては?
A:確かに学級委員は大変だから、やりたくてやったわけではないことはうかがい知れる。彼女自身もできればやりたくないことはわかっていた。

Q:先ほど、「へんな風に呼ばれるのもがまんしているのに」「いつも、中井くんと呼ばれる」とあるが、このことであたなのほうで何か指導したのか?
A:隣のクラスの子なので、たぶん本人に直接、あるいは学級担任に確認していると思う。
Q:あなたは日記の内容について何も覚えていないと言った。私が何か聞くと、これはこうしたああしたと言うが、具体的に、どういう指導をしたのか覚えているか?
A:長い間の教師生活のなかで、私なりにポリシーをもってやっていたので、何か問題があれば、根本的に解決したかどうかは別にして、私なりに行動に移したと思う。

Q:1月14日、「本来じゃんけんの結果からすると、受けないですむはずの木琴の役を受けるはめになった」とある。ひとが嫌がる仕事を押し付ける形で嫌がらせをすることもある。佑美さんはこのときひとりで、ほかの女子児童何人かで押し付けられたと書かれている。いじめの可能性があったのでは?
A:私は、この場面にはいなかったが、いろいろ事情を聞いて、私のいるところで決めなおした。
Q:1月21日、佑美さんは日記に、「先生が言ってくれたことはよかったが、うらまれるのではないかと思っていました。いいような、悪いような気持ちだ」と書いているが?ここでも佑美さんは先生にチクッたということで、さらに嫌なことをされるのではないかと恐れている。佑美さんは間違っていることは、間違っている、嫌なものはいやとと、ほかの女子児童に面と向かって言える子だったか?
A:佑美さんは面と向かってけっこうハキハキものを言う子で、ものごとをストレートに言う子だったので、言えていた部分もあったと思う。
Q:佑美さんが亡くなったあと、母親に「いやなことはいやと言えないタイプだった」と話したのでは?
A:全部が全部ではなかったと思うが、19番や46番に、自分の言いたいことをお互いに言い合えていたから、嫌だいやだと言いながら、一緒に行動を共にしていた。46番のお子さんについては、佑美さんと19番の間に、46番が途中から入ってきた。女の子は3人はうまくつきあえない。家庭環境のこともあったので、46番については気をつけてみていた。

Q:2月4日付け、「今日は友だち関係のことでひとつ解決できて本当によかった」と書いていることについて、先ほど「トイレ事件のことではありません」と答えているが、他の日記のことは覚えていないのに、ここだけ「ありません」とはっきり答えているのか?
A:現実問題として、あったとしたら、学年間で共有し、学年主任や校長にも報告しているはず。そうした記憶はなかったので。
Q::2月23日、「46番と19番と、知っての通り、別れようとしたけれど別れられなかった。」とあるが、どういうことか?
A:2人の間に何かあったということではなく、なんだかんだ言っても、2人と一緒にいると私は捉えた。

Q:佑美さんのことを他の教員や教頭、校長に相談したことは?
A:ない。
Q:いじめを受けていた児童を小学校6年生で担任していたら、中学校にわかるような形で、具体的ないじめの内容や背景などを引き継ぐか?
A:はい。

Q:児童指導要録は中学校に引き継ぐものだが、いつ頃、作成したか?
A:3学期の3月。
Q:「やや友人関係が気になる」という表現が総合所見にあるが、先ほど言ったようにストレースに言うことがトラブルになるとかの理由だとしたら、実際に佑美さんに注意はしたか?きつい言葉でしゃべりすぎとか?
A:言葉ではしていない。
Q:本人には指導しないのに、指導要録の総合所見に書くということはおかしいのでは?
A:子どもに直接言えないこともある。学級委員などをすることで、もっと違う立場で見られるようになり、それが成長につながったらいいなという思いで書いた。
Q:3月23日のコメントで、「友だち関係は難しいことです。中学校に行っても、同じような問題は起こると思います」とあなたは書いているが、中学への引継ぎは、佑美さんについては指導要録のみか?
A:はい。
Q:これでは、何もわからないのでは?
A:注意してみようと思ってくれればよい。その他、中学校に引き継ぐことはたくさんある。

Q:2月に、佑美さんの母親から相談を受けたのは、中学校のことではないか?通学班の話は7月ではないのか?
A:この通学班はずーと問題のある班だった。
Q:あなたの陳述書には、「お母さんは子どものことが心配だということで、具体的な話が出たわけではなかった」と書かれているが?通学班のことではなかったのでは?
A:佑美さんについての具体的な話はなかったという意味。
Q:母親は、この日に、日記のいたずら書きや19番から執拗に電話がかかってくること、トイレのことなどをあなたに話をして、それが2月23日の指導につながったと書いているが、受けた覚えは?
A:ない。

****
原告代理人から補足質問。

Q:先ほど、加害者と思うひとも、被害者も仲良くということだったが、文部科学省などから、いじめの被害者の立場に徹底的に立って、被害者にいろんな問題があっても加害者によるいじめが悪いということで、けんか両成敗的な扱いはよくないと通知している。しかし、あなたのノートに書かれている指導を見ると、ほとんど佑美さんに「もう少しがまんしろ」とか、「勉強に専念したら」と書いている。加害者について、いじめについて指導したことは?
A:加害者や被害者ということではなく、指導してきた。

Q:いじめがクラスにあると、担任教師の評価は下がるか?
A:わからない。
Q:いじめられている子どもは、いじめられていると言えないことは知っているか?
A:はい。
Q:それはなぜ?
A:また、いじめがひどくなるから。
Q:そう、その通り。チクッたからと。
9月27日に、ぶたれたりしたとあるが、これはいじめか、暴力か?あるいはいじめではないか?
A:いじめに当たると思う。

Q:「ふざけっこしていると見えたときには、聞いてください」と書いているが、鹿川くん事件では、いじめの被害者と加害者がいつも一緒にいた。それはなぜだと思うか?
A:孤立してしまうから。
Q:佑美さんは、「ふざけっこしているように見える時は、けんかしているのとか、尋ねてもらえればうれしいです」と書いているが、どう思ったか?
A:当然、声かけしてやるのが一番。そうしてから、必要に応じてクラスの問題として指導していかなければならない。

Q:よく先生が、いじめの対応で失敗してしまうのはどういう時か? 1月21日、木琴の件で、「先生が言ってくれたのはよかったんですが、うらまれるのではないか。よいような悪いような」とあるが、佑美さんは何が心配なのか?
A:また、友だちから何か言われるのではないかと心配したのではないかと思う。こういうことは子どもたちによくあることなので、そういう時には言ってこないこともあるので、配慮して、誰が言ったかわからないように私なりに気をつけて指導したつもり。
Q:日記には「またいじめが起きます。どうしたらいいですか」と書いている。佑美さんは何回も、いじめ、いじめと書いているが。
A:一人で抱え込まないように、何か問題が起きていないときでも、先生たちに言う。クラスや学年で指導する。
Q:こういうお子さんがいるということで、どういうことに気をつけていくように配慮してきたか?
A:だいたい学年で指導した。
Q:他の先生たちには?
A:何か気が付いたら指導するということくらい。

Q:2月「首が痛くて病院に行きました」ということで、「診断書」も出ている。「首のゴムを引っ張られてネック痛める」と書いてあるが?
A:この件は佑美さんから聞き取ったことで、2月1日、髪をいじっていて、ゴムを何か触られたというようなことを言っていた。担任から養護教諭にお願いした。
Q:次の日、母親にはどう伝えたのか?
A:2回目だったので心配した、くせになるといけないので。病院でよく診てもらってくださいと話した。母親は「わかりました」ということで、けがをしたことをそんなに深刻に受け止めていなかったようだった。
Q:佑美さんは首を引っ張られてけがをした。あなたは現場にいたが、見ていなかったのでは?
A:そぱにいた。その時は静かな雰囲気で、私の座っている周りに子どもたちがいたので、誰かが、何かをしたということは絶対になかった。
Q:2月2日に首のことがあって、2月4日、「友だちのことで解決したから本当によかったです」と書いているが、どういうことか?
A:わからない。
Q:2月4日、19番に日記を見られた。だから、19番、46番にトイレに連れ込まれたことは書けなかったのではないか。
2月23日、「うわさによれば、明日、いじめるという予定があったようです」と書いているが?覚えているか?
A:覚えていない。こういうことがあれば佑美さんには、「どういうことなの」と具体的にわかる範囲で話を聞き、相手にそれとなく探りを入れたと思う。

Q:2月23日の次のページで、「友だち関係とは本当に難しいもので、こういう問題は、中学校に行っても同じことがあると思います」と書いているが?
A:一般的なこととして、子どもたちの年齢的なこととして書いた。

Q:佑美さんはあなたへの手紙に、「私は、今年も○○と同じクラスになってしまいました。悲しいです。最初はクラスで、性格よかった。隠していました。今では6年生に逆戻りしています」と書いているが?佑美さんは追い詰められて、生徒達と何か問題があった時に、助けてくれるのは学校では誰か?
A:担任の仕事です。


原告代理人から補足質問。

Q:最初に、被告代理人の質問に「小6のときにいじめはなかったか」の問いに、あなたは「いじめはなかった」と答えた。しかし、原告代理人の質問に、「いじめはあった」と認識を変えた?
A:認識を変えたつもりはない。いじめがあった、なかったというだけでは答えられない。文章に出てきたものだけで、いろいろ聞かれたが、一人ひとりの子どもを担任としていろんな角度から見ているので、私としてはイエス、ノーでは答えられない。いじめがないようにとやってきた。

Q:いじめの認識がなかったという前提に、中学校に引き継ぎをしなかったのか?
A:はい。

****

被告代理人から補足質問

Q:キモイなどの言葉は小6の間ではよく使われる言葉か?
A:はい。
Q:どんな感じで使われるのか?
A:対人関係だけではなく、いろんなことに対し、男女共に使うことがある。
Q:それはいじめに限らず、意味は何かと深く考えることなく反射的に使う?
A:はい。

Q:19番、46番とは、1年間、基本手はにはどういう関係だったのか?
A:46番は、途中から仲に入っていった。最初の頃は19番と佑美さんは一緒に行動していた。基本的にはお互いが友だちだと私は認識している。
Q:先ほど表面上は友人関係でも、いじめ、いじめられの関係があるという話が出たが、あなたから見て、佑美さんと19番の関係は表面だけの関係だったと思うか、それとも本当に友人関係だったと思うか?
A:私から見た限りでは、行動を共にしていたので、仲のよい友だちだったと思う。基本的には嫌ではなかったから、3学期まで一緒にいた。
Q:ノートにいじめと言葉では書いているが、佑美さんの思い、本心は?
A:それほど深刻に私に何かを訴えていたとは思わなかった。
Q:何かわからないが、悩んでいて、勉強が手につかないということは?
A:なかった。一つ一つの行動でも、言葉ではやりたくないと書いてあっても、前向きに取り組んでいる。

****

原告代理人から

Q:佑美さんが亡くなったとき、小6の担任として、19番46番が、ひとりは塾の強要をしたり、もう一人は理科室にジ・エンドと書いたりしていた。亡くなったあと、2人について中学校から、聞かれたことは?
A:聞かれていない。


中学校の男性担任の証人尋問

午後1時30分から。
主尋問は、北本市の代理人弁護士から。

Q:あなたは佑美さんの北本中学校1年生のときの担任ということでよいか?
A:はい。
Q:佑美さんの印象は、まじめで、しっかりしていて、大人しい性格であるが、ものを言うときはハキハキしている印象と書いているが、どういうことから、このうよな印象をもったか?
A:学習ノートに、1日の観察ノートに本人の感想などを書いて提出することになっていた。私はタバコを吸うが、佑美さんは、「タバコは身体に悪いです」と意見をつけて書いてきた。体育祭のクラスの全体リレーことなどで、「先生、このままでは勝てません。もっと速い、遅いを組み合わせないと」などと意見を書いてきた。

Q:生活記録ノートについて。誰が書いたのか?
A:私が書いた。これは、指導に関する記録。佑美さんの学習記録は全部B以上。
Q:総合所見について、「清掃では一人でも黙々と取り組む姿勢がある」と書いているが、どういうことか?
A:清掃を時々さぼる生徒もいるが、佑美さんは一人で自分の与えられた仕事をこなしていた。
Q:この裁判で原告側は、それをクラスの生徒から仲間外れにされていたと主張しているが?
A:それはないと思う。
Q:佑美さんの自殺直前の10月6日、佑美さんは率先して掲示物の作成をしていたとあるが?その時の様子は?
A:お願いしたわけではなかったが、佑美さんは笑顔でやっていた。佑美さんは、やってよかったと思っているようだった。
Q:この直後に、佑美さんが自殺することは予測できたか?
A:できなかった。

Q:平成17年頃の生徒教育指導について、日常的にどんなことを留意してやったきたか?
A:朝の出欠席時に健康を把握、授業や清掃、給食の時間、部活動も子どもと一緒に過ごし、生徒指導部会等、他学年とも意見交換をしていた。
Q:中学校の場合、授業ごとに先生が替わる。いろんな生徒がいると思うが、佑美さんについての情報は何かあったか?
A:ない。
Q:佑美さんがいじめられている様子は?
A:なかった。
Q:佑美さんが悩んでいる様子は?
A:全然、なかった。
Q:佑美さんが亡くなる前、北本中学校に、いじめ事件はあったか?
A:ない。

Q:平成17年6月に、北本中の当時の生徒会長が同学年の男子生徒から殴られた事件があったが、原因は?
A:生徒会長が、加害生徒の生活態度を注意して、男子生徒がかっとなってやってしまった。
Q:暴行事件の前から、加害生徒が、生徒会長に嫌がらせをするようなことは?
A:なかったと思う。
Q:この生徒たちの関係は、暴行事件1回だけか?
A:はい。

Q:佑美さんが書いた自主学習ノートに、「先生は生徒の帰りがけになぜ不良と戦っていたのですか?」という文章があるが?
A:下校のとき、生徒数人が昇降口のところにたむろしていたので、早く帰るように言ったところ、「先生、語り合いましょうや」とタックルをかけてきた。私が払いのけようとして、偶然、私の手が頭に当ってしまった。これはさっきの暴力事件の加害生徒。しかし、その後、よく話す場面があった。最後はこの生徒は笑って卒業していった。


Q:平成17年10月4日、美術部で、本音大会が開かれたことは知っているか?
A:佑美さんの自殺の後、調査報告で知った。その前は知らなかった。
Q:この本音大会で、ある生徒が佑美さんに対して「タメに敬語は使わないで。ウザイんで」と言ったというが、タメという言葉は生徒がよく使っていたか?
A:全体的に、幅広い範囲で使っていた。まじめな子も使っていた。
Q:どんなことをタメというのか?
A:同級生、同い年。
Q:「ウザイ」などの言葉は生徒の間でよく使われていたのか?
A:頻繁に使われていた。何気なく使っていた。特定の生徒にではなく、幅広く使っていた。
Q:どんなときに、使うのか?
A:めんどくさかったり、いやなことに使う。
Q:タメという言葉や、ウザイという言葉は、気軽に使っていた?
A:はい。

Q:北本中で佑美さんに対するいじめのひとつとして、靴隠しは言われていたか?
A:はい。
Q:下駄箱から、くつが落とされたり、ほかのクラスに移動させられることは知っていたか?
A:知らなかった。事故の報告を受けて、その中で知った。
Q:佑美さんが亡くなる前、生徒の靴が紛失して、問題になったことは?
A:ない。


Q:ある生徒が、佑美さんに「内股だよね」と言ったのは本当か?
A:はい。体育祭の練習中に、言った本人から、私が事情を聞いた。

Q:佑美さんが亡くなってからの対応について。平成17年10月11日、あなたは佑美さんがマンションから転落したという連絡を受けて、佑美さんの母親を車に乗せて、埼玉医大に行ったのか?
A:はい。
Q:その時の母親の様子は?
A:落ち着きがなかった。何が、どうしたのか、という感じだった。
Q:母親は佑美さんが転落したことについて、心当たりはありそうだったか?
A:その時はないようだった。
Q:埼玉医大に着いて、医師から佑美さんが亡くなったと知らされたときはどうだったか?
A:お母さんは、「これは学校の責任ではありません。こんなことになるんだったら、ねこを飼ってあげればよかった」と言っていた。
Q:具体的に意味はわかるか?
A:その時はわからなかった。しかし、亡くなったあとの報告のなかで、佑美さんは動物が好きだったということ書いてあって、飼うか飼わないかということが家族であったのかなと思った。

Q:埼玉医大で、佑美さんの父親はあなたに何か言ったか?
A:お父さんはあいさつされて、「実は、思い当たることがある」と言った。
Q:具体的にどういう意味かわかるか?
A:わからない。
Q:その時のお父さんの様子は?
A:落ち着いて、淡々としているように見えた。

Q:10月12日、全校集会と臨時全体保護者会を開いて、校長から保護者に本件事件について知らせた?
A:はい。
Q:その頃、あなたは頻繁に、佑美さんの自宅へ訪問していたが、どういう意味でうかっていたのか?
A:家族を元気づけられれぱと思っていた。
Q:あなたと他の教諭が昼休みを利用して、佑美さんの自宅に焼香に行ったとき、父親から自殺の原因がクラスの一部にあると言われたのか?
A:はい。
Q:理由は?
A:佑美さんがお母さんにあてた手紙を見た。最後に書いてあった。

Q:佑美さんの父親から、「佑美をいじめている子は誰ですか?」と聞かれたか?
A:いいえ。「思い当たる生徒がいますか?」と言われた。
Q:あなたは、どう答えたか?
A:2名の生徒の名前を出した。
Q:それはなぜか?
A:以前に、2名の生徒から噂を立てられて困っていると、本人たちから相談されていた。

Q:対照表の番号で言うと?
A:56番と44番。
Q:あなたは、この2人の生徒が佑美さんをいじめていると認識していたか?
A:いいえ。
Q2人の生徒が:いじめをしていた事実は出てきたか?
A:出てこなかった。
Q:平成17年10月21日、この日もあなた一人で、佑美さんの自宅に線香をあげに行ったとき、父親から「クラスの一部」ということを調べてくれと言われたのか?
A:はい。
Q:ほかに、「塾に入りなさい」ということが書かれている塾勧誘の手紙について話したか?
A:父親は「ここに書かれている生徒に聞いたら大変なことになる」と言った。
Q:ここに書かれている生徒は、イニシャル対照表では19番か?
A:はい。
Q:あなたは19番に話を聞いたら、どんなことになると想像したか?
A:この生徒に聞いたら、あらぬ疑いがかかってしまうと思った。

Q:平成17年10月15日生徒への学校生活アンケートについて。学校からはどのような指示があったか?
A:遺族から、深く子どもたちに聞いてほしい、佑美が死んだ原因が、あるかどうかと言われた。また、命の大切さを忘れないでほしいと言われた。
Qアンケート調査の留意点と書いてある書類はどういうものか?
A:アンケートをとる具体的な手順が書いてある。
Q:ここにメモがあるが、これはどのようなものか?
A:アンケート実施に当たり、クラスに私が話した内容。これはアンケート実施前に書いた。下書きをして学校長に提出した。
Q:アンケートはどのように実施に当たっては、回答はクラスごとに回収して、教務主任に渡したのか?
A:はい。

Q:11月8日から2者面談をしているが、目的は?
A:アンケートを基に子どもたちの書いていることの確認と、また私のクラスでは、子どもたちの佑美さんの自殺の原因と思われるれことが書かれていれば、詳しく聞けると思った。
Q:誰が、生徒に聞いたのか?
A:私が生徒に聞いた。

Q:平成17年12月8日、ご両親に対して、第1回目の報告が行われた。この内容は?
A:学級内の中井さんの様子や学級担任とのやりとりなど。
Q:追加調査で、生徒に事実確認をして、2回目の報告会で報告した?
A:はい。

Q:中学1年生で、佑美さんへのいじめがあったと思うか?
A:思わない。


*******

ここから、原告代理人弁護士から、反対尋問。

Q:あなたにとって、いじめとは?
A:以前は集団で、計画的に行うのが、いじめだったが、最近では、本人が精神的苦痛を感じていたらいじめ。
Q:平成17年にたくさんのいじめ事件があって、平成18年からいじめの定義が変わった。心理的ないじめが、肉体的いじめ以上にショックがあると知っているか?
A:はい。
Q:いじめられている立場の子どもが「ウザイ」「キモイ」という言葉を言われた場合、いじめのこともある?
A:はい。
Q:平成17年当時、学校は荒れていたのか、6月の暴力事件のほかにあったか?
A:暴力事件は私が知る限りなかった。

Q:佑美さんの自主学習ノートに、「今日、学校で帰りがけ、たくさんの不良っぽいひとが体育館にたまっていました」と書いているが、不良生徒がたむろしているということはよくあったのか?
A:よくはなかった。そういうグループは何人かいた。固まっていると周りからはそう見えた。
Q:そういう生徒がいると生徒は不安になると思うが、学校としてはどのように対応していたのか?
A:第3学年で、見回りをしていた。
Q先ほどの事件以外に、校内で暴力沙汰はあったか?
A:なかったと認識している。
Q:この平成17年6月の暴行事件では、保護者への報告会のようなものはあったのか?
A:関係者の保護者にはあったと思う。全体的には認識していない。

Q:先ほど、佑美さんに対してのいじめはなかったということだったが、ほかの生徒に対してはどうだったか?
A:私は認識していない。

Q:佑美さんが亡くなったあとの学校生活アンケートで、「学校は楽しい楽しいですか?」という質問の答えに「いいえ」、理由は「いじめられるから」と答えている生徒があるが、佑美さんが亡くなったあと、校内でいじめがあるという認識は?
A:私たちの目の前であったということはないが、子どもたちのなかで、いじめと感じている生徒がいたかもしれない。

Q:中学1年生の担任をするときに、小学校のとき、この生徒はどんな生徒だったかということは気になるか?引継ぎというのは大事だと思うか?
A:はい。
Q:とくにいじめがあったか、なかったかの引継ぎは重要だと思うか?
A:はい。
Q:当時、数々のいじめ事件がすでに社会問題になっていた。全ての学校にいじめはありうるという認識はもっていたか?
A:はい。
Q:担任としては、いじめの有無の総点検が必要だとか、他の先生たちと情報交換が大切だと認識していたか?クラブ活動の顧問とも情報交換していかなければならないと思っていたか?
A:はい。

Q:小学校児童指導要領は、いつ頃見たのか?
A:3月の終わりあたりに。クラス編成の前。
Q:6年生で「やや友人関係が気になる」と書いてある。これを見てどう思ったか?
A:仲のよい友だちと一緒にしたいと思った。
Q:ではどの生徒と仲が良いか、引継ぎにあったか?
A:そこまでは、なかった。
Q:1年5組には、小学校時代、佑美さんと関係があまり良くなかった生徒がいるということは?
A:あとで知った。保護者から聞いたと思う。

Q:小学校の担任と入学式前に話をしたことは?
A:ない。
Q:学校が始まってから、佑美さんが亡くなるまでに、小学校の担任と話をしたことは?
A:ない。

Q:小学校6年生時代、教師と生徒が交換日記をしていたことは知っていたか?
A:あとで知った。
Q:4月16日、「50番が、私のことをきらっている。理由は私の全部がキモイから」と書いている。5月20日、「44番は歯科検診のときに蹴る真似をした」とあるが、この記載を読んで、佑美さんは同級生からいじめられているのではないかと思わないか?
A:わからない。

Q:あなたは体育の先生で、朝と帰りの会以外、クラスの生徒の人間関係を知るにはどのようにするのか?
A:掃除の時間にいろんなところを回っている。または給食の時間。僕も一緒に食べている。配膳も一緒にしている。
Q:他の教科の先生との情報交換は?
A:月1回の生徒指導委員会や○○部会で、問題があれば各学年で出てくるので、互いに出しあっていた。
Q:クラブの顧問や副顧問からは部活動の様子は聞いたか?
A:ふだんは運動部とは話すことはある。ほかは、どうですか、活動はしっかりやっていますかと聞くことはある。
Q:それは佑美さんについてか?
A:全体的な話として。

Q:クラス内で、ギャルグループや地味グループというグルーブ訳があったようだが、その当時把握していたか?
A:見た目では活発な子やそうでない子がいる。その当時はわからなかった。

Q:班長会について。
A:班長会は6週間に1回。班は座席で決める。
Q:座席決めは、2学期も1学期と同じか?
A:入学してから6週間は同じ座席。そのあと、1度だけ席替えをした。体育祭のあと。

Q:44番の生徒は、佑美さんと、体育祭のあと同じ班か?
A:はい。
Q:班長会では、どの生徒がどうなど、遠慮ない話したが出た?
A:はい。
Q:いじめについては?
A:出ていない。
Q:野球部の男子生徒が、中井さんをリンチしたという噂が立ち、班長会のなかでこの事実が出たことは?
A:ない。


Q:17年の10月4日、美術部の生徒が本音大会をしたということは、佑美さんが亡くなるまで知らなかった?
A:はい。
Q:本音大会を行われたということ自体はいつ知ったか?
A:佑美さんが亡くなったあとの報告のなかで。何月頃かは覚えていない。
Q:誰から聞いたか?
A:A顧問だったと思う。
Q:本音大会はどういう趣旨だと思うか?
A:趣旨としては、部活の人間関係を明瞭にしたいという気持ちで行ったのではないかと思う。

Q:具体的に、本音大会はどういう目的、趣旨で行われたか、報告は受けているか?
A:はっきりとは覚えていない。
Q:ここに、13番の生徒が、「本音大会は確実に個人個人を攻撃する話し合いでした」「以上の話は担任の先生とカウンセラーの先生に話しました」と書いてある。
A:部活顧問からは聞いていないのか?
Q:はっきりとは覚えていない。

Q:本音大会で、誰かが「今もいじめがある人は」と聞いたところ、1年生4人が手を挙げたと書いてある。こういう事実を知ったのはいつか?
A:緊急支援チーム会議で知った。
Q:A先生から聞いた?Eスクールカウンセラーから聞いた?
A:たしかではないが、確か聞いたと思う。
Q:その報告のなかで、中井さんが泣いていたという報告はあったか?
A:覚えていない。

Q:当時、くつ隠しはよくあったのか?
A:私の認識では、くつ隠しはなかった。子どもたちが走っていて、下駄箱に当たって落ちることはあった。

Q:学校として生徒に指導したり、靴が落とされたりすることを含めて、靴隠しが、いじめのひとつとして、話し合われたことは?
A:なかった。
Q:佑美さんは亡くなるまでに、少なくとも2回は下駄箱に入れていたくつがなくなったと聞いているか?
A:報告で聞いた。
Q:くつがなくなった生徒のくつを一緒に探すことは?
A:なかった。

Q:11月20日に、父親と会ったとき、生徒の靴がなくなることが多かった、生徒と一緒に探すこともあったという話をしたことは?
生徒と何か探すことはあったか?
A:多かったという認識はない。佑美さんの頃にはなかった。もっとずっと前にあった。
Q:36番の生徒が佑美さんはくつを何度も探したと書いている。学校として、何か対策は取らなかったのか?
A:具体的にはとっていない。学校として、昇降口の見回りが大切だと思った。

Q:指導要録に、「一人で黙々と掃除をしていた」とあるが、それはいつのことか?体育祭の前でも、後でもか?
A:日々。体育祭の前でも、後でも。

Q:掃除当番を一人でやらされるというのは、いじめの判断のひとつではないか?
A:私はそのような認識はしていない。

Q:平成17年5月上旬の2者面談をしているが、悩みがあるかやいじめがあるか、本人が心配などを聞いたか?
A:それは、どの生徒にも質問はする。ただし、そのような話はなかった、

Q:当時、クラスは荒れていた?
A:前はなかった。
Q:佑美さんが亡くなったあと、「シーユー、ジ・エンド」と落書きした生徒がいた。そのあと、佑美さんが死んでよかったねということを言った生徒がいたという噂はあった?
A:担任に指導を依頼した。関係生徒に近い教師が指導することになっている。

Q:学校生活アンケートについてのこの文書はいつ書いたのか?、
A:学校長のほうから、佑美さんが亡くなっているということがあるので、5組だけは深く聞くようにと言われた。職員会議とアンケートの間に書いたものをワープロ打ちした。校長に見せるために、手書きのものを打ち直した。
Q:学校生活アンケートには、佑美さんに対するいじめがあったか、なかったについて書く欄がないのはなぜか?
A:わからない。目的が違うところにあるのだと思う。

*********

原告弁護士から補足質問。

Q:先ほどのジ・エンドと書いた生徒はどの生徒か?
A:44番。
Q:佑美さんの後ろの生徒が、「死んでよかった」と言ったというが何番か?15番か?
A:はっきりしない。

Q:亡くなった直後にそのようなことがあって、あなたはショックを受けたか?
A:確認したいと思った。
Q:理科室の机に書いた生徒、死んでよかったと言った生徒、どういう気持ちだと思うか?
A:本当はさびしい、さよならという気持ちだと思う。校長に報告して、協議して、寂しさをこういう形で表現する間違いであると本人に言った。
Q:44番の生徒は小4から、佑美さんをいじめ、あるいは友人関係がいろいろあったということは知っていたか?
A:後日、知った。
Q:中学校に入ってからも、44番はいろいろ問題があると知っていたか?
A:
Q:翌年、1月、この子が脅迫メールを送った事件があった?
A:あった。
Q:脅迫メールはいじめとしてよくある?
A:関係生徒とのなかで謝罪をした。内容ははっきり覚えていない。

Q:佑美さんが亡くなったあと、遺書は見たか?
A:はい。
Q:誰から見せられたのか?
A:お父さんから。
Q:先ほど被害者の立場に立つという新定義を話していたが、その前は旧定義にはあったか?
A:文言は覚えていないが、あった。
Q:文科省のいじめの研修を受けたことはあったか?
A:あったと思う。
Q:いじめの定義はどういう内容だったか?県の通達には、「どの学校にもいじめがあるという前提に立って」とあったか?
A:あった。
Q:「死んだのは、クラスの一部に、勉強にテストのせいかも」と書かれているのを見て、どう思ったか?
A:クラスの一部に何かあったのではないかと思った。
Qそうすると、:いじめという言葉もなく生活アンケートを書かせている。これは、佑美さんの遺書か?
A:遺書ではないと思う。ご遺族の気持ちを大事にしたいと思うので。
(※裁判後の報告会では、佑美さんのご両親が、手紙を遺書ではないなどとは言っていないとのこと)

Q:文科省から2000年以降、人事評価主義で、いじめがあると厳しくなっているか?
A:いや。わからない。
Q:2000年以降、最初の頃と後のほうとでは全体が忙しくなっているか?
A:別に一緒だと思う。変わらないと思う。
Q:いじめに対応しようと思っていると、入った頃から比べてかなり困難になっているか?
A:一人ひとり違うと思う。

Q:掃除で、もう一人の班員は女の子は誰か?
A:

Q:アンケートに、○○をわざわざ入れた理由は?
A:校長からアドバイスをいただいた。
Q:違う時期なのに、なぜ1枚なのか?
A:何で1枚にしたか、はっきり覚えていない。

Q:文科省は職員間、保護者と、小中と連絡をとるように言っている?
A:はい。
Q:佑美さんは本音大会のあとに亡くなった。生徒たちは、本音大会でずたずたにされたと書いている?
A:あとで聞いた。
Q:本校では、佑美さんが亡くなる前、いじめについて、本音大会について、話し合われたことはない?
A:


*******

北本市代理人から補足質問。
Q:指導要録の6年生で、「やや友人関係が気になる」と書いてある。それを考慮してクラス編成をしたか?
A:考慮したと思う。ただ、どの子と仲が悪いということが書いていなかったので、具体的にはなかった。
Q:中学生1年生がいじめという言葉を使うときは、どんな時か?
A:自分に都合が悪いときなど。
Q:当然、中学生は文部科学省のいじめの定義など知らない。何かいやだとか、都合が悪いときや自分の意見が通らないときにも、いじめという言葉を使うか?
A:はい。


※とくに、最後のほうは、原告代理人の質問が、時間的制約のなかで焦っていたため、質問と答えがかぶったりすることが多く、不明瞭な部分が多い。

当時の北本中校長への尋問

午後3時30分から、当時の北本市校長Y氏の人証調べ。
北本市代理人弁護士から、主尋問。


Q:あなたが、中井佑美さんのことを知ったのは?
A:4月に入学して記念写真などは一緒に写っている。実際に佑美さんのことを知ったのは本件事件後。
Q:平成17年10月11日、佑美さんが自殺した当時の中学校の対応について。あなたが救急車に連絡し、あなたが担任の先生に指示して佑美さんのお母さんを病院に連れていくようにし、あなたが北本市教育委員会に連絡して、教委と協議して進めていたということでよいか?
A:はい。
Q:この裁判では、北本市のいじめ防止義務違反と、調査報告義務違反が大きな争点になっている。
佑美さんが亡くなる前、北本中で、佑美さんにいじめが行われているということで問題になったことは?
A:ない。

Q:佑美さんが亡くなったあと、北本市教育委員会の指示で、調査を行ったと思うが、主な調査方法は?
A:学校生活アンケートを全校生徒に実施した、それに基づいて二者面談をした。個々に対しての情報があるときの個人的な面談をした。
Q:学校生活アンケートと二者面談について。
A:学校生活アンケートの作成と、指導に当った。そして、それを基に二者面談と、まとめたものの教委への報告。
Q:佑美さんのご両親への対応は?
A:自宅を訪問したり、通夜や葬式、○○の会にも出席した。
Q:佑美さん自殺の翌日、10月12日の朝、あなたは佑美さんのお父さんからいわゆる塾勧誘の手紙を見せられたか?ここに2通あるが、どちらか、あるいは両方か?
A:1のほうだと思う。
Q:手紙を見せられて、どういうことを言われたのか?
A:ここに書いてあることが全てを物語っているので、佑美の自殺の原因だというようなことだった。
Q:佑美さんのお父さんは、この手紙を公表しろと求めたというが、どうしてあなたは拒否したのか?
A:当時、警察が入って、佑美さんが亡くなった原因がはっきりわからないなかで、手紙を書いた子が犯人であるかのようになって、子どもたちに動揺を与えてしまうと思った。

Q:臨時の全校集会では、佑美さんの名前を伏せて、「本校の生徒が」という言い方をしているが、なぜか?
A:名前を公表することで、子どもたちが誰々が関わっている、犯人だとなりかねず、動揺を抑えるために名前を伏せた。

Q:その日の夜、緊急保護者会にも、名前を伏せた理由は?
A:全校集会と同じく、保護者への動揺を避けるためと、犯人捜しで噂が立たないようにした。
Q:佑美さんの自殺に対する調査の要請があったと思うが、どのように対処したか?
A:子どもたちへの動揺を抑えるのが先決だと思った。心を強く痛めて、思わず行動が起こってしまうことも起きかねないということも考えた。そのあと、事実として何があったか私たちが知るべきだと思った。

Q:佑美さんが母親にあてた手紙の中に、「クラスの一部」とあり、お父さんなどから、自殺の原因ではという申告があったか?
A:はい。
Q:塾勧誘の手紙については、北本中としては、どのような調査を行ったか?
A:担任が調査を行った。
Q:(書類を示して)ここに、「塾への勧誘の手紙について」とあるが、ここに書いてあることが、二者面談の結果確認されたことか?
A:はい。

Q:(書類を示して)ある生徒の名前を書いて始まる文書の11月17日金曜日PM4と書いてある、この日付の意味はわかるか?
A:これは、平成18年の11月。
Q:佑美さんの自殺があってから1年以上たってから、校長室でこの手紙を書いた生徒とY教師と3人で面談しましたと書いてあるが、事実か?
A:はい。
Q:この生徒と、どういう目的で面談したのか?
A:事件が報道されて、その中に塾勧誘の手紙とあったので、その子どもについて、動揺してもらっては困る。心のケアをしなければならないと思った。

Q:生徒は対照表でいうと19番か?
A:はい。
Q:2006年11月、毎日新聞で報道がなされて、学校の周囲に変化はあったか?
A:報道の車が道を閉鎖し、報道の人たちが周辺にいて、学校のなかに入って取材する記者もいた。
Q::(書類を示して)「各社の新聞を見せられ」「いじめようと思って書いたのではないよねと聞かれたので」という、塾勧誘の手紙について、文章があるが?
A:どのように話したか、詳しくは覚えていない。
Q:あなたとY先生は、19番に対して、佑美さんに対するいじめを否定する方向で誘導したのか?
A:そんなことは全くなかった。1年くらい前にすでに両親には一定の報告は終わっている。従って、調査をするというより、心のケアをしていく、動揺しないで、しっかり生活してほしいと思って、こういう言葉になった。

Q:佑美さんのお母さんへの手紙、「クラスの一部に」については、どういう調査を考えたのか?
A:その学年、クラスについてはとくに、詳しく聞くようにと話した。
Q:用紙の上半分は学校生活アンケートを実施にあたって、下半分には二者面談にあたってとあるが?
A:担任がアンケートをとるにあたって、こういうことを忘れずにするために説明を作った。生活アンケートのときに、一人ひとりの気持ちを大切に、忘れないでほしいということでしたためたもの。
Q:この書類は?
A:アンケートを実施するにあたって、担任に注意として、忘れないでほしいということで書いた。
Q:学校生活アンケートはあなたが書いたのか?
A:はい。市教委と相談して、どの学校とも共通になるようにしたためた。

Q:二者面談、三者面談の仕方について、の書類はどういうことで書いたのか?
A:佑美さんが亡くなって1か月後、生徒が話したいこと、事実について、これを読んで実施してほしいということで書いた。この紙を教職員に渡した。活用の仕方としては、趣旨について、必ず生徒に伝えてほしいということで書いた。
Q:両親の願いについては、具体的に、いつ、どのようにして知ったのか?
A:両親にとって、こういうことが知りたいだろうと、ひとつの例としてあげた。少しでも、兆候として出てくればいいと思った。
Q:書類に、「同じ学校の生徒が亡くなって1か月、相談したいことはありますか?」と書いている。2つに分かれている理由は?
A:全学年なので、直接関係のない学年もあるので、全学年共通のものとして。
Q:「アンケートの記述がない生徒についても、とくに何かあれば」というのはなぜ書いたのか?
A:佑美さんが亡くなった理由について、少しでも情報があればと思い、書いた。

Q:このアンケートは1から5まであるが、佑美さんの名前も、佑美さんの自殺の原因についての調査であることも書いていないがなぜか?校長と北本市の教育委員会とで検討したのか?
A:具体的な名前を入れることの副作用がないように考えて。
Q:佑美さんの名前を書かなくても、佑美さんについての情報は得られると考えたのか?
A:はい
。ここに、「話しておきたいことがありますか。どんなことでもかまいません」と書いているので、もし何か気になることがあれば生徒に書いてもらえるものと考えた。また、「学校に来ることは楽しいですか?」と質問があるので、何かあれば書いてくれるはず。
Q:特に回答に関して、説明を加えたことは?
A:佑美さんが亡くなったことはわかっているので、聞かせてほしいと言うように言った。
Q:アンケートの集計結果について、全学年、1年生の集計、2年生の集計、3年生の集計とあるが、この集計からどんなことが言えるか?
A:佑美さんの自殺について、「忘れたい」というものもあれば、「どんな原因か知りたい」というものもあった。しかし、情報をつかんでいるということは出てこなかった。

Q:二者面談とアンケートの関係について?
A:学校生活アンケートのなかで少しでも情報が書いてあれば、それについて必ず二者面談で聞く。書いていなくとも、面談で何か先生に話したいことはありますかと聞くということで対応した。
Q:二者面談による上級生らの聴き取りと書いてある。第1回めのアンケートには書かれていないのに、佑美さんの小学校時代のことについて聞いているのはなぜか?
A:アンケートでは、「今、現在」という聞き方をしているので、小学校のときのことは期待していない。
Q:二者面談では、どうして小学校のときの話が出てきたのか?
A:担任が、佑美さんの小学校のときの様子を詳し関わってくれ、書いていないが何かあるかなということで、本人に詳しくしつこく聞いてくれたこと。突っ込んで聞いてくれたから。
Q:学級内での中井さんの様子、二者面談で、ここに書いてあることも学校生活アンケートでは出てこなかったことか?
A:「中井さんは勉強もよくできて、発言するタイプではなかったが」とアンケートのなかではプラスの面については書けなかったので。
Q:二者面談では突っ込んで先生が話を聞いたということか?
A:はい。
Q:(文書について)これをワープロ化したのは誰か?
A:教育委員会のひと。
Q:ここに入っていることは、北本中で調べたことも入っているのか?ここに書いてあるどれとどれか?
A:はい。美術部のこと、学級以外のこと、勉強とテストについて、学級面談のことなど。

Q:平成17年12月8日、北本市が佑美さんの自殺について、両親への第1回報告会。この時に、佑美さんの両親から指摘を受けたか?
A:はい。美術部のこと。中井さんに対しては、1年生からは「ひとのことをよく褒めるし、同級生に対しての言葉づかいが丁寧すぎる」と出たと書いていたことに対し、本音大会では、こんないい表現ではなかったはずという指摘を受けた。
Q:「タメに敬語を使わないで、ウザイんだ」という言葉ではなく、こういう表現にしたのはなぜか?
A:タメというのは隠語なので、間違いなく、意味を正確に伝えたかった。
Q:2回目の報告会、3回目の報告会に、あなたは出席したか?
A:はい。

Q:佑美さんが亡くなる前、北本中ではいじめが跋扈(ばっこ)していた。はびこっていたという事実はあるのか?
A:生徒会長に暴力を振るってけがをさせた3年生がいて、私のほうで注意した。それがあったというのは事実。
Q:そのほかは?
A:とくに大きなトラブルはなかった。
Q:小さなトラブルは?
A:生徒指導上でいうと、家に帰って両親と口げんかをして交番に行ったとかいうことはあったが、大きなことはなかった。


**********

ここから、原告代理人から反対尋問。

Q:佑美さんが亡くなったあと、理科室の机の上に、「ジ・エンド」と書いた子どもがいることは知っているか?
A:はい。
Q:いつ知ったのか?
A:調査のなかで。緊急支援チームの会議をやっているなかでだったと思う。
Q:それを聞いて、どう思ったか?
A:どういう意味なんだろうと考えた。どういう意味か、調査する必要があると思い、調査したと思う。
Q:具体的にどういう調査指示を、いつ、誰に出したか?
A:担任に、緊急支援チームのなかで指示を出した。緊急チームをやっていたときのことなので、11月頃か、いつ、指示を出したかは記憶にない。
Q:緊急支援チームでは、どういう議論があったか?
A:本人にたぶん調査をかけ、いじめだとか、そういったことについて言及していることではないと記憶している。よく覚えていない。「ジ・エンド」というのは、そのうように子どもが亡くなったことを指すのではないと聞いた覚えがある。
Q:その生徒は誰か?44番か?
A:理科室の机の裏に書かれていたと記憶している。間違いなく、この生徒だと思う。
Q:小中の連携が埼玉県でも言われているが、この生徒は小学校4年生のときにいろいろ関わっていて、佑美さんが悩んでいたということは聞いているか?
A:訴訟になったあと、知った。

Q:「死んでよかった」と話した子がいたことは知っているか?
A:そういう噂が立ったということは知っている。
Q:「ジ・エンド」「死んでよかった」。これらのことから考えると、佑美さんが亡くなる前も、後も、佑美さんに対するだけでなく、それ以外にも、学校にはいじめがあったのではないか?
A:すくなくとも、いじめに該当する子どものことは今まで聞いていないし、対応をしたこともない。
Q:「ジ・エンド」と書いた子が、インターネットのメールで、脅迫メールを入れていたということで問題になったと聞いたことは?
A:聞いていない。
Q:「ジ・エンド」と書いた44番の子どもの問題行動はぴったりと止まったのか?
A:はい。

Q:本音大会は、調べて、どんなことが上がってきたか?
A:子ども同士でやりとりするなかで、同級生なのにこういう言葉はウザイとか、子どもたちだけでの話なので、私たちにわからない言葉が飛び交ったと思うが、タメなのにウザイとかの話をしたと思うが、辛辣な話になったと認識している。また、たとえば美術部をこれからどうするのかという話が出たと聞いている。
Q:佑美さんが、泣いたという話も聞いたか?
A:はい。

Q:佑美さんが、「くつ隠をしたのは誰ですか教えてください」と聞いたということは?
A:聞いた。
Q:「いじめられた人」と言って手を上げたら、大勢が手を上げて、佑美さんも手を上げたということは?
A:聞いた。


Q:そのあと、佑美さんの母親から、「この日、ぼこぼにされる」ということで電話を受けたとを聞いたのはいつか?
A:聞いていない。私の記憶にはない。

Q:美術部の担当は?
A:N教諭。
Q:N教諭は、なぜ生徒に任せてしまったのか?
A:子どもたちから要請されて、先生は外してほしいと言われて、外したと聞いている。
Q:そのあと、先生はどうしたのか?
A:中身を聞いて、終わったあとも子どもたちはにこやかにしていたので、解決したんだなと認識したという。
Q:滝川のいじめ自殺裁判の和解については知っているか?
A:はい。
Q:そこでも、ウザイ、キモイということが、ひとつのいじめ、自殺の原因になっている。修学旅行で、いじめっ子といじめられている子が同じ部屋にされてしまって、そのなかでズタズタにされてしまったということは聞いているか?
A:はい。
Q:この本音大会も、なぜ、学校で、担当の先生に任せなかったのか、学校集団で対応しなかったのか?
A:子どもたちだけで解決できることであるということで、先生ははずしてほしいということで、解決して、そのあとにこやかに会話をかわしたと聞いていたので、大変なことという認識はなかった。

Q:文部科学省あるいは県が、「いじめはどの学校にも起きる」と言っていることは知っているか?
A:はい。
Q:いじめの定義で一番、重要なことは?
A:本人がいじめと感じることがいじめ。
Q:佑美さんの遺書で、「死んだのは、クラスの一部に」と書かれていたのを見て、お父さんは、クラスの一部にいじめられていたのではないかと考えたが、あなたはどうか?
A:私も、両親の気持ちに沿った形で、学校で何があって、クラスの一部と書いてあるのか、事実として知りたいと思って、担任にも慎重にかつ、しっかりと事実があれば、アンケートなどで調べてほしいと言った。
Q:自殺の原因として、いじめもひとつの要素としてあるだろうと思って調べたか?
A:はい。
Q:これを遺書として、否定したことはないか?
A:ない。

Q:滝川の事件では、遺書を認めず、手紙とした。文部科学大臣が怒られて、そのあと教育委員会は謝罪した。自殺の時期は同じころか?
A:はい。
Q:遺書の内容を調べるのに、父親に了解をとった?
A:両親から、遺書とは思っていないという話があった。教育委員会と学校と話し合いをして遺書とはしないと決めた。
Q:両親と、遺書ではないという扱いをするということを父親にはかったのか?
A:

Q:生活アンケートで、「こういう事件、自殺した事件について、情報がありますか?」ことを通常はやる。今回、それをやらなかった原因は何か?
A:学校でどういうことがあったか知りたいと思った。「事件について」とすると、学校があたかも生徒を疑っているという誤解を与えるといけない。学校で事実として知りたい。そこからいろいろわかってくるだろうと思った。
Q:滝川以降、「隠ぺいをしないでください」、「いじめがある」という前提で調査しなさいと文部科学省は言っている
佑美さんの自殺で、塾の強要を含め、靴隠しとか、本音大会とかについて、アンケートをするべきだったのでは?
A:子どもたちに動揺を与えたくない。事実としてなにがあったのかしっかりと把握する。その中で、自殺に関することが出てくれば徹底的に調査する。具体的な噂として言ったとか、言わなかったとかいじめを前提とした調査でなくとも、事実がもしあれば出てくると考えた。
Q:佑美さんのいじめの事実は出てきたか?
A:あまりよくは出てこなかった。一部、このことについて原因はなんだろうとか、早く終わりにしたい、触れたくないとかはあったが、いじめや佑美さんがこんなことで苦しんでいるとかは出てこなかった。
Q:それはまさしく、あなたが具体的にするアンケートをしなかったからではないか。
あなたは、いじめについて、いじめっこもいじめられっこも、ほとんど先生に言えないということを知っているか?
A:はい。

Q:塾強要の子はいつ調べたのか?
A:担任が事故のあと調べた。1年後、私が校長室に呼んで話した。
Q:1回目はどんな話だったか?
A:1回目は担任が聞いて、「塾に一緒に行きたい」というこであって、いじめという目的ではないということだったので、報告した。
Q:それは二者面談か?
A:はい。

Q:その記録はどうしたか?
A:報告した。
Q:学校に残っているか?
A:記憶にない。
Q:塾強要の子どもの二者面談を破棄した?
A:記憶にない。

Q:佑美さんのお父さんが、自殺したひとの名前をちゃんと書いて、「必ずいじめの事実を明らかにしてください」と要望した。しかし、学校は佑美さんの事実を明らかにしようというものではなかった。「不安や心配などの把握のため、生活アンケートを毎月、実施します」として、合計10回、実施している。
A:回数は覚えていない。
Q:調査報告義務を知っているか?
A:学校で何か事件があったことについて、正確に事実を伝える。

******

原告代理人弁護士から補足質問

Q:いじめ防止義務について。小学校時代に、いじめがあった場合、中学校に引き継ぐことになっているか?
A:はい。
Q:北本中の場合は、小学校は2校から、来ている?
A:はい。
Q:具体的にどんなことを引継ぎに求めるのか?
A:3年生の職員が、小学校に行って、引継ぎをする。小学校での事実を正確に知るため。性格的なこと、学力、いじめ、暴力的なことの事実があれば引き継ぐよう指導する。いじめられやすい子があれば引き継ぐ。
Q:こういう内容は中学校で、どう生かされるのか?
A:学校全体に知らせ、もしも、いじめ、いじめられるという関係があれば、クラス別にするとか、担任が接触する際、注意深く見守る、保護者と連携をとるなど。
Q:クラス編成にも影響してくるか?
A:はい。


Q:佑美さんの場合、指導要録以外に引き継ぎはなかったということだが、6年生で「やや友人関係が気になる」ということで、クラス編成に配慮するということはあるか?
A:「友人関係が気になる」ということを捉えて、いじめがあるとは判断できない。いじめがあれば、必ず担任から引継ぎがあるはず。たとえば、言い方がきついとかいうことがあるかもしれないので。

Q:佑美さんの場合は、クラス編成等に配慮されていなかったのか?
A:はい。クラス編成に配慮してくださいという引継ぎがなかったので。


********

原告代理人から補足質問

Q:2005年10月12日のの全校集会について。佑美さんの名前も、自殺、もしくは自殺の可能性についても言わなかった?
A:言っていない。
Q:佑美さんへのいじめについては、一切、話していない?
A:はい。
Q:全体集会のなかでこの文書、手紙があるとも言っていない?
A:はい。
Q:緊急保護者会は本件を説明するためのだが、佑美さんの名前も、自殺、もしくは自殺の可能性も言っていない?
A:はい。
Q:いじめについても、塾勧誘の手紙についても、保護者会で言っていない?
A:はい。
Q:2005年12月13日に、自殺であると断定された。その後、生徒や保護者に、会を設けて、佑美さんが自殺であることは説明していない?
A:はい。

Q:(書類を示して)これには、生徒が死亡したことは書いている?
A:はい。
Q:佑美さんの名前やいじめのことは書いていない?
A:はい。

Q:この書面を教師に直接、手渡さずに、メールボックスに入れている?
A:
Q:この書面が配られていないクラスもあった?
A:
Q:1年1組にも配布していない?
A:全校に配布したと記憶している。
Q:原告からの意向を尊重して、この文書を遺書とは言わないことにしたということだったが、あなたはこの文書を佑美さんの遺書だと考えたことは?
A:ある。

Q:アンケートを実施したのは2005年10月26日。佑美さんの自殺から15日経過していた?
A:はい。
Q:アンケート用紙には、佑美さんの名前も、生徒が自殺したことも、生徒が亡くなったということもない?
A:はい。
Q:あなたの陳述書には、「犯人捜しをすることはしない」と書いているが、加害者が誰かということを切り離して、調査ができると考えたのか?
A:事実として何があるのか知りたいと思い、調査した。

Q:美術部の48番の生徒のアンケートには、美術部のことを書く欄がなかったので書かなかったからと答えている?
A:はい。
Q:当初、保護者に告知せずにアンケートを実施しようとした?
A:それはないと思う。
Q:原告らは無記名を希望した。しかし、アンケートは「できるだけ記名してほしい」と説明して行われた?
A:
Q:(新聞の切り抜きを示して)記名式で真実が明らかになるはずがないと書いている。本気で調査をするなら無記名式にすべきと専門家が言っている。
A:はい。

Q:アンケートの結果について、初めて原告らに報告したのは、2005年の12月。アンケート実施から1か月後?
A:はい。
Q:平成17年11月9日、途中から保護者欄を設けた?生徒の回答の内容を保護者が見るということが考えられる?
A:はい。
Q::生徒と保護者のアンケート用紙を分けなかった?
A::はい。
Q:アンケートは全生徒520人、全部で10回実施されて、5200枚になるはず。しかし、北本市に提出されたのは1125枚。残り4000枚以上を廃棄した理由は、アンケート用紙が大量になったからか?
A:違う。書いていないものについては廃棄した。まとめたもの、とっておいても仕方のないものは処分するよう指導した。
Q:基準は?
A:記載のないもの、書いてあっても本件に関わりないもの、無縁なものは処分する対象にした。


Q:二者面談、三者面談は、学校行動予定では、2005年12月8日から行われている?
面談の開始は佑美さんが亡くなった1か月近くたって開始したと書いている?
A:はっきり覚えていない。

Q:48か12の生徒から、佑美さんが泣かされているということは把握しているか?
A:はい。
Q:これは2005年12月8日の会合で配られたものだが、48番の生徒が言ったウザイという言葉も、いじめにあたるか?
A:はい。
Q:(書類を示して)ここに佑美さんが泣いたということの記載はない?
A:はい。
Q:13番は、「確実に個人個人を攻撃するものでした」と書いている?
A:報告書の通り。
Q:34番は、中井くんと言っていたと書いている?
A:


Q:アンケートの時に、「人権団体からクレームが来るので」ということだったが、実際にクレームは来たのか?
A:
Q:2者面談は何回くらい行ったのか?
A:担任面談した回数は、記憶にない。
Q:結果、どんな内容だったのか?
A:ここに報告した通りのことで、それ以外は把握していない。
Q:二者面談をするときには、先生がメモをとるか?
A:二者面談を記録するように言った。


Q:お母さんから、小学校時代にいじめがあったという訴えは、佑美さんが亡くなったあとあった?
A:はい。小学校時代のことは、教育委員会と小学校との話あいなので、私は直接、関わっていない。
Q:小、中で連携して、いじめがあったかなかったか会議をしようと考えたことは?
A:なかった。

Q:本音大会のことは、生徒から担任とカウンセラーかに話したと生徒が言っているが、聞いたか?
A:報告会で。


Q:学校内のトラブルについて、平成17年、生徒会長が殴られた事件以外は大小トラブルはなかったということだったが、当時、万引きする生徒が多数いたのではないか?
A:あったかもしれないが、これは記憶にあるということはない。

Q:佑美さんの自主学習ノートに、「先生は生徒が帰るとき、なぜ、不良と闘っていたのですか?」「今日、学校から帰るとき、体育館のところに不良っぽい人がたまっていた」と書いているが?
A:不良ぽいのが数人いたことは事実だと思うが、不良グループということではない。仲間に何かあるとすぐに集まるようなグループみたいなのがあったと思う。
Q:生徒からすれば不安に思うのでは?
A:生徒によっては。
Q:それに対する対策は?
A:担任や学年の先生で、たまっていると解散するようにと指導していた。


Q:生活アンケートについて、遺書のなかに「クラスの一部が原因かも」とあるので、とくにクラスでは佑美さんのことについて何か知っていることがあれば丁寧に聞くように指示したということだった。しかし、佑美さんの母親と弁護士に、同じクラスだった子どもと親に聴き取りをしたが、「佑美さんのことをアンケートに書いてとかいうことはなかった。」。何か説明はあったかの問いに、「まず、自分のことを教えてくれということでした」「佑美さんのことではなく、まず自分が悩んでいることなどを書くように言われた」と答えているが?アンケートはひな形か?
A:アンケートはひな形ではない。
Q:アンケート実施の指導を出しただけで、どのようにしたか、1年5組を見て、確認したか?
A:していない。

*****

北本市代理人弁護士から、補足質問。

Q:ここに書かれていることについて、3人にこてんぱに言われたというが、こてんぱに言われた生徒の名前は?
A:全くわからない。
Q:誰かわからないのに、両親に報告する必要はあるか?
A:ないと思う。
Q:学校アンケートの集計結果は両親に報告した?
A:はい。


ここまで5時30分。
とくに終わりのほうは、早口だったこともあって、聞き取れなかったり、書きとれなかったところが多い。



ここから、私見。

尋問を聞いて、やはりいちばんの問題は小学校時代の担任教師の対応にあると思った。
2006年、文科省は子どもたちがいじめを打ち明けないから、いじめ問題が解決しないとして、子どもたちには、親や教師に相談することを呼びかけ、教師向けにいじめ発見のマニュアルを配布した。
しかし、北海道滝川の事件も、中井さんの件も、そして群馬県の上村明子さんの件も、みな、子どもたちは親や教師に相談していた。教師は、いじめの存在を知っていた。
にもかかわらず、教師からまともに取り合ってもらえず、いじめはどんどんエスカレートした。

佑美さんの場合も何度もいじめを訴えていた。担任に何とかしてほしいと願っていた。
切羽詰って、「ふざけているように見えるときでも、どうしたの、けんかしているのと聞いてほしい」と具体的な介入方法まで、ベテラン教師に対して指示している。
しかし、担任が具体的に動いたのは、卒業時の出し物で、本来は佑美さんが押しつれられるのはおかしい木琴の係を、決めなおさせたことだけ。それも、ただやり直させただけで、このことをきっかけに対人ルールについて、児童たちにきちんと指導はしていない、中途半端な介入。それはむしろ、佑美さんに、チクッたということで報復を受けるのではないかという不安を増大させた。
その不安をわざわざノートに書かなければ伝わらない鈍感さ。一生懸命伝えても、正面から受け止めることさえしてもらっていない。

いじめ発見の有効な手段として、全国で教師と生徒との交換日記が行われている。しかし、ほかでも、いじめを訴えても、教師から軽くあしらわれたり、何度も重なると、重要な内容にさえコメントもしてもらえなくなっている。「何かあったら言いなさい」とコメントに書きながら、対応してほしいことがあるから書いても、具体的な行動には結びつかない。
交換日記の意味はあるのだろうか。教師に十分対応できるだけの時間的余裕と、いじめ対応のノウハウがなければ、ただ教師を忙しくし、いじめを訴えた生徒を絶望されるだけになる。あげく、ノートを見られれば、ちくったとして、リンチの理由にさえなる。
ただし、小学校時代の交換日記が、遺族の手元にあったことの意味は大きい。
学校裁判では、原告側の手元にある物的証拠は実に乏しい。学校がアンケートをとっても、その内容がそのまま遺族に知らされることはない。グラフなどに加工されたものが報告されたところで、個々の生徒が実際にはどのように書いたのか、本当のことを遺族が知るすべはない。

担任は、児童たちが小学校6年生で、もうすぐ卒業することに安堵していただろう。このままやり過ごせば、自分はなんとかなる。
しかし、小学校のいじめが中学校に持ち越されることが多いということは、もはや常識。(me080218 参照)。
自分が対応できなかったのであれば、せめて、中学校にきちんと、小学校で何があったか、誰と誰にいじめられている可能性があるのか、生徒の身になって、具体的に、引継ぎを行っていたら、佑美さんは中学1年生で、命を絶たれずにすんだかもしれない。
しかも担任は、中学校に行っても、このいじめ、いじめられの関係が続くであろうことを予測していた。
よく、大人がいじめられている子どものサポートをしようとしないときの言い訳に使われる言葉がある。「大人になっても、社会人になっても、いじめはあるのだから、大人が介入すべきではない」「強くなければ、このあとも生きていけない」。
単な自己弁護にしか過ぎないと思う。
子どもの頃、いじめられて対処できなかった子どもであっても、大人が適切にサポートして、いじめを解決することができれば、少なくとも、いじめは解決できると信じることができる。そして、大人の介入の仕方を見て、次は自分はどうすればよいかを学んでいく。逆に、いじめられていることを知っていても大人から放置された子どもは、いじめられるのは損だ、いじめる側になろうと思うこともある。いじめはいじめられる側が悪いと教わった子どもは、いじめを正当化して、いじめる側になることもある。
小学校4年生のときには、隣の子が怖くて不登校になっていた子どもが、6年生では他人をいじめるようになる。それは、4年生のときに、周囲から適切な援助を受けられなかった結果ではないだろうか。

そして、小学校でいじめていた子どもたちが、中学校でもいじめをする。それまで以上に周囲を巻き込んで、エスカレートする。それも、やはり大人たちの対応の結果だと思う。大人に、教師にいじめを知られても大したことはないと高をくくってしまった。そして、実際、佑美さんが自殺してさえ、大人たちは自分を責めることはせずに擁護してくれる。
「ジ・エンド」「死んでよかった」。これは、いじめた子どもたちの大人に対する試し行動ではないかと思う。
林賢一くん事件(790909)で、鹿川裕史くん事件(860201)でも、加害者たちは同じような行動をとっている。
いじめてしまった。死に追い詰めてしまったと本当はわかっているからこそ、不安にかられる。大したことではないと思いたい。自分のせいではないと思いたい。周囲の子どもたちにも今更、弱みを見せられない。弱さを見せたら、今度は自分がいじめの対象になってしまう。精一杯のつっぱり。
こんなときに、大人がすべきことは、「君のせいではないよ」と逃げることを教えるのではなく、正面から自分は亡くなった子に何をしたのか、自分はその子のために何をすべきで、何をしてこなかったのか、一緒に考え、共に罪を担っていくことだと思う。しかし現実には、周囲の大人たちは、自分たちが責任を問われることを恐れて、何もなかったことにしてしまう。
「ジ・エンド」「死んでよかった」。これは、悲しみから出た言葉で、いじめではない。そんな曲解した捉え方を堂々とやってのけてしまう。いじめていた子どもたちが、立ち直ることは難しい。

小学校に比べて、中学校でのいじめについては、証拠が乏しい。
もし、佑美さんが中学校で男性担任に、いじめのことを訴えていなかったとしたら、それは小学校の担任の対応に原因があると思う。
教師にいじめのことを言っても無駄だという思い。中学校は小学校以上に接する時間が短い。まして男性教師。女子の陰湿ないじめは理解が難しいかもしれない。たった一人で掃除をしているのを見ても、何も疑問を感じない担任ならなおさら。

美術部で行われた本音大会。佑美さんはきっと、絵を描くことがすきだったのだろう。癒しだったのではないか。しかし、その癒しの場さえ奪っていく。今のいじめは、その子どもにとって何が一番つらいかを研究しつくして行われる。
佑美さんにとって本当に辛いことは、せっかく中学校という新しい環境でできた友だちを奪うこと。いじめに巻き込んでいくこと。佑美さんが自分を出せる場所、癒せる場所を奪っていくこと。

佑美さんへのいじめは、けっして特殊なものではなく、あまりにパターン化されたいじめだった。
そして、同じような経緯で、すでに大勢の子どもたちの命が奪われている。
過去の子どもたちの死をきちんと受け止めて、教訓化して来なかった。建前ばかりで、いじめで殺された子どものたちやその親たちの訴えに、今も本気で耳を傾けようとはしない文部科学省。
佑美さんのいじめの訴え無視し続けた小学校担任の対応と、文部科学省の対応はとてもよく似ている。
事件概要を知れば知るほど、大人たちがきちんと対応さえしていれば、失わずにすんだ命だったと、悔しさがこみあげてくる。


証人尋問に、文部科学省の人間は予定されていない。最高裁にまで行かないと、審議さえされないのかとも思う。
次回は9月8日(木)。午後13時30分から、北本市教育委員会の証人尋問。
いじめ対応の建前と本音の差が聞きどころかと思う。




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