わたしの雑記帳

2009/8/26 奈良中学校、柔道部顧問による傷害事件傍聴報告

2009年8月25日(火)、午前10時00分から、横浜地裁503号法廷で、奈良中学校、柔道部顧問による傷害事件の民事裁判が行われた。
裁判長は三代川俊一郎氏、峯俊之氏、塩田良介氏。
今回、原告は、事件当日、Kくんが救急搬送された病院の医師の意見書を提出。Kくんの傷害について、柔道家の意見書を加えたうえで、原因のところで意見書を書いてくれたという。
すでに、Kくんの後遺症については、リハビリの主治医が意見書を出してくれていることから、裁判長は原告の主張、立証はほぼ出たと判断。次回は、10月27日(火)、午前10時00時から、被告の県と市の反論、反証が出る予定。
なお、今回も裁判長からは刑事処分についての問い合わせがあったが、今だ結果は出ていないという。

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Kさんが、裁判がはじまる前に、「うちと同じ状況に鳥肌が立ちました」と言って、ネットからとったニュース(2009/8/7朝日新聞 滋賀、2009/8/24 京都新聞)のコピーを下さった。
2009年7月29日、滋賀県愛荘町の秦荘中学校で、柔道部の練習中に、村川康嗣(こうじ)くん(中1・12)が、男性講師との乱取りで、2、3回投げられたあと、動かなくなり、「急性硬膜下血腫」で意識不明の重体になっていたが、8/24病院で死亡した。
康嗣くんにはぜんそくの病があり、母親は講師に激しい運動をさせないよう、再三にわたって訴えていたが、講師から「声が小さい」として、3人だけ残して練習を続けさせ、21本目からは康嗣くんだけを残して、講師自ら相手になったという。また、柔道部員が「落ちる(気絶する)まで絞め技を掛け続けるよう指示があった」と学校側に話しているという。

こちらの事件も警察が調べているというが、果たして起訴になるかどうか。
Kさんは言う。たとえ故意であっても、柔道の部活中に、道場で、柔道技によって大けがをさせられたり、死に至った場合、立件が難しいのではないかと。
実際、ほかでも、柔道や剣道などの練習にかこつけて、様々なところでリンチ(私的制裁)が行われているが、結局、証拠不十分で不起訴になってしまう。しかし、力差がある場合、力のあるものがコントロールして、相手に危険がないように投げるのは当然で、そこが曖昧にされたまま、不起訴がつづけば、同じことが繰り返されてしまう。

すもうの時津部屋の斉藤俊(たかし)さんの事件でも、すもうの練習にかこつけた「かわいがり」という名のリンチで殺されている。もし、遺体が新潟のご両親のもとに運ばれなければ、ご両親が遺体を解剖に回し、その結果を受けて声をあげ、マスコミにとりあげられなかったら、きっと不起訴になっていただろう。そして、伝統としてまた新たな犠牲者が生み出されたことと思う。

ひとが死んでも、現場の感覚はすでに麻痺しており、反省も、自浄作用も期待できない。
再発防止のためにも、練習にかこつけた暴力が見過ごされるようなことがあってはならないと思う。

もし、2004年12月24日に起きた奈良中柔道部の事件が、きちんと刑事事件として裁かれていたとしたら、少なくとも武道をコーチするひとたちに少しは教訓になっていたのではないか。講師にとって、気に入らないことがあったからといって、柔道の練習にかこつけて相手を気絶するまでいたぶろうという気持ちは、逮捕されるリスクを考えれば、抑止力になったのではないかと思うと、残念でならない。



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