わたしの雑記帳

2008/10/23 斉野平(さいのひら)いずみさん(事故当時高1・現在22歳)の控訴審の第3回目、傍聴報告

2008年10月23日(木)10時30分から、東京高裁424号法廷で、斉野平(さいのひら)いずみさん(事故当時高1・現在22歳)の民事裁判控訴審(平成20年(ネ)2466)の第3回目が行われた。
裁判長は渡邉等氏、裁判官は高世三郎氏、ほか(2名書いてあり、どちらか不明)。
40名前後入る傍聴席の8割方は、支援者らで埋まっていた。

今回、控訴人(一審原告・斉野平さん)側は、文部科学省の柔道指導の手引き( http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/jyujitsu/07121717.htm か?)といずみさんの手術を担当した執刀医の意見書を提出。
一方、埼玉県側は男性顧問の陳述書を提出した。

斉野平さん側の原田弁護士が、県側に、なぜ、いずみさんを投げた女性顧問の陳述書は出ていないのか、なぜ男性顧問の陳述書なのかを問うた。
県側弁護士は、この裁判の争点は受け身の習熟にポイントがあるので、受け身により詳しい男性顧問に書いてもらったという。
対して原田弁護士は、受け身が争点になっているわけではない、むしろ女性顧問が技をかけようとしているときに返し技をかけたことが問題である。文部科学省の手引きにも、生徒が技をかけたら、かけられなければならないとあるがと主張した。

また、裁判長のほうからは、斉野平さん側に、執刀医の意見書のなかで、「頭部を開いても静脈性出血を認めた」との手術記録が何を意味するのかとの質問があり、次回、斉野平さん側は立証準備を行うことになった。

このやりとりについては、裁判後、弁護士から説明があった。
執刀医は、いずみさんが投げられて頭から落ちたかどうかは大きな問題ではないと言っているという。
7月27日から31日までの合宿中、最終日の31日にいずみさんはI女性顧問に投げられて意識を失った。
しかし、事前に小出血があれば、投げられたときの回転運動だけで、大出血してしまうという。

学校側は一審で、最初の脳出血が合宿中ではないのではないかと主張したという。
しかし、医師は合宿中の7月29日、30日ではないかとまで特定している。
斉野平さん側は、合宿中のいずみさんの練習の参加を一覧にし、初日と2日目の午前中は練習に参加し、午後からずっと見学。
にもかかわらず、3日目は朝練には参加し、午前中の練習には休みながらも参加していることについて、当初は足の痛みで見学していたものが、途中から頭の痛みに、痛みの質が変わったのではないかとしている。

いずれにしても、入学して初めての合宿で、生徒の体調管理がきちんとなされていなかったことは問題だと思う。
学校・顧問は足の痛みで練習を見学していると思っていたというが、もし、足の痛みに対してであっても、念のために医者に診せていたら、いずみさんの口から、もしかしたら「実は頭が痛い」という言葉も聞けたかもしれない。

部活動では、養護教諭など、体のことについて知識がある人間ではなく、顧問に部員の健康管理が任されている。
その顧問は、たとえ競技の知識や技術があっても、安全の知識や意識がなければ、今回のようなことが起きてしまう。
指導者にはもっと安全教育を徹底してほしい。そして、合宿などには専門家による健康チェックができる体制を整えてほしい。
部活動の事故が起きるたびに、同じことを思う。


次回は、12月16日(火) 10時30分から424号法廷にて、口頭弁論。




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