わたしの雑記帳

2007/4/19 中井佑美さん(中1・12)いじめ自殺裁判(4/12)の傍聴報告

2007年4月12日(木)、東京地裁103号で、午後2時から埼玉県北本市の中井佑美さんの民事裁判の第1回目があった。選挙直後であるためか、あれだけ報道されたにもかかわらず、マスコミ関係者は少なかった。
傍聴人も、長野からわざわざ応援に駆けつけた支援する会の人たちがいたが、全部で3〜40名と思っていたより少なかった。熱しやすく冷めやすい国民性を表している気がしてしまう。

裁判長は金子順一氏。裁判官は清水響氏、山崎隆介氏。
被告は学校管理者である北本市と文部科学省。それぞれに1千万円の損害賠償を求めている。
原告の弁護士は児玉勇二弁護士をはじめとする弁護団。

最初にテレビ用に2分間の静止画像が撮影された。提出書類の確認のあと、佑美さんのお父さんとお母さんの冒頭陳述があった。裁判長は、「ひとりと聞いていましたが」と言いつつ、許可した。

お父さんが陳述書を読み上げ、次いでお母さんが読んだ。お母さんは途中で、涙がこみ上げ、読めなくなってしまった。続きをお父さんが代読した。(両親の陳述書 参照)
遺書の最後に書かれた
「私、お母さん、大好きなのにね」の言葉が、何度も、何度も、私の頭のなかでぐるぐると回った。佑美さんは、そのあとにどんな言葉を続けたかったのだろう。

夫妻は学校に何度も何度も、事実解明を依頼した。しかし、満足のいく回答は得られなかった。
学校は佑美さんが自殺した事実さえ伝えず、ただ生徒らに「学校へ来るのは楽しいですか」などと一般的なアンケートをしただけだという。
3回行われた報告の1回目(12/8)は間違いだらけで、2回目(
12/15)は報告書さえない。3回目(2006/3/23 )は「調べたがわからない」という。一方で工程表や調べた経緯の報告もない。そして、同じ調査はできないと突っぱねる。

佑美さんは小学校の時に特定の女子児童からいじめられていたという。トイレに連れ込まれ、「便器に顔を突っ込め」などと言われたことがあったという。
両親の自力の調査では、佑美さんがいじめられていたという証言を得ている。


しかし、学校はいじめを認めない。保護者会には本当のことを話しますと言った学校側は、さわやか相談員を増やすとか、北本中学校再生プログラムなど、今後の予定を話すだけだった。
警察は「原因不明」とし、市長も「教委に横槍を入れることになるので関与できない」と言う。教育長は「自分が責任者としてやる」と宣言しながら、事務処理をこなすだけだった。

親は亡くなったわが子に何があったのか知りたいだけなのに、学校も、教育委員会も誠意ある態度を示さない。知るためには裁判をするしかなかった。
大勢の遺族が裁判さえできずに泣き寝入りをしている。
娘が亡くなったのは事実。それだけでたたかえる裁判をしたいという。
裁判のたびに思う。この国には「親には知る権利がない」。人として、わが子がけがをしたり亡くなった場合に、何があったのか知りたいと思うのはあまりに当然の権利だと思うのに。

今回の裁判で原告側は、自死前に、学校側がいじめ防止義務、結果回避義務を怠ったと主張。
事後の対応としては、なぜ自殺しなければならなかったのか、原因の調査説明がないことをとりあげ、いじめが社会問題になっているにもかかわらず、7年連続ゼロと発表するような文部科学省の姿勢が影響していると主張している。

対して被告側の弁護士は、文部科学省の誰が加害行為をしたというのか、特定してほしいという。
市からの反論は5月に出る。
次回は、6月28日(木)13時30分から、東京地裁712号法廷にて。


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