わたしの雑記帳

2003/9/25 黄山顕成(こやま・てるまさ)くんの報道を見て

テレビのニュースで偶然、富山県上市町の黄山顕成くんの集団リンチ死事件の報道をみた。加害少年たちの出所後の親の対応。

たった1年の少年院で全てが終わったという父親。事件についてはなるべく触れないようにしていますという母親。謝罪の言葉を並べた手紙と、家族とのやりとりのギャップ。ほんとうにどこも判で押したように、同じ対応に暗澹たる気持ちになる。
なんの落ち度もない相手を一方的に殺してもたった1年。長くて4〜6年。遺族への真摯な謝罪もないまま、事件だけが風化していく。

もっと事件のことを知りたいと思い、ネット検索した。少年事件はどれも似通っている部分はある。しかし、黄山くん事件の内容を読んで、茨城県牛久市の岡崎哲(おかざき・さとし)くんの事件とそっくりだと思った。調べれば、調べるほど共通点がある。

1.事件直後に警察は「一対一のけんか」と発表したこと。 

2.現場にはけんか相手の少年のほか仲間が数人いたこと。被害者はたったひとりだったこと。
3.被害者の拳はとてもきれいで、相手を殴ったりしたあとがまったくないこと。
4.体格や身体能力的にみれば、一対一のけんかなら、被害者のほうが勝っていたこと。
5.学校が中学3年の進学、就職の大切な時期に問題のある生徒を1クラスに集めていたこと。
6.警察のやり方に遺族が非常に不信感を抱いていること。それに対して、警察は自分たちのやっていることに不備はないと断言していること。
7.地域での誹謗・中傷。被害少年を貶めるような噂。

大きく違うのは、黄山くん事件では、直接暴行を加えた7人以外に5人もの傍観者がいて、そのうちのひとりの証言から、初動捜査が間違いであったことが事件の翌日には判明したこと。
もし、そのたったひとりの証言がなければ、一対一のけんかで捜査は終了していたかもしれない。その他の11人はただ、見ていただけにされていたかもしれない。実際の加害少年たちは一切、処分を受けなかったかもしれない。12人いてやっとひとり、しかも自分自身はやっていないからこそ言えたことだろう。

年齢的には黄山くんが高1で、岡崎くんが中3。相手は黄山くんの場合ひとつ上で、岡崎くんの場合同級生。
少年たちは警察をも欺く口裏あわせをやっている。それに対して、警察は何の疑問も持たず、深く追求することなく、さっさとその日のうちに結論を出している。
黄山くんの場合、父親の再捜査の要求に警察が再び事情聴取を行った。その結果、上記の供述を得ることができた。
岡崎さんも、再捜査を何度も願い出て、自分たちでいろいろ証拠まで集めて警察に送ったが、事件が見直されることはなかった。警察が調べたのは岡崎さんや哲くんの身辺ばかりだった。

岡崎さんの場合には、加害少年の父と兄とが現役の警察官だった。
黄山くんの事件の場合、桶川事件を思い出すような、警察官からの被害届け取り下げ要請と家裁送致しなかったことが今回の暴行事件の発端となっているということで、警察にとっての判断ミス、汚点を隠したかった。
母親が押印した書類の文書が違っているという。もちろん、勘違いもあるだろう。しかし、桶川事件では、押していないハンコが押してあった。思いあたるのは、全く別のことで押した印鑑だけだという。

ひと一人殺して、黄山くんの場合、主犯格2人が4〜6年。その他5人は逆送されることもなく、たった1年の少年院送致で出てきた。
岡崎くんの場合、死因は暴行ではなくストレスによる心筋症、病死扱いとなり、相手の少年は保護観察。

非常に似通っている部分と異なる部分。そしてその結果。
大切な子どもが死んでいるのだ。どちらがましという話ではない。ただ、同じことが別々の地域で起きているということ。全国的にはもっとあるのではないか。何も言えない被害者のほうが圧倒的に多い。報道される事件は限られている。

そして、二度とこんなことは起きてほしくないという遺族の共通の思い。あなたも、あなたのお子さんもいつ、被害者になるかもしれないという警告。




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