新宿連絡会は設立以来 3 年間,東京都に対し,話し合いによる問題の解決を求 めてきましたが,東京都は一貫してこれを拒否してきました.しかし,新宿の 野宿労働者の粘り強い闘いは,ついにこの東京都の「話し合い拒否」の姿勢を 変更させるに至りました.
8 月 25 日,東京都が行なった 「自立支援事業」に 関する街頭相談の会場に新宿の仲間 100 人が「説明」を求めて押しかけ, 当事者を無視した街頭相談を「中止」 に追い込んだ,ということは,皆さんご存じだと思います.その後 9 月 12 日,新宿連絡会は「都が 街頭相談を行ないたいのであれば,次回街頭相談の 30 分前に同じ場所で説明 会を開催しろ」との申し入れを行ないました. これに対し,都福祉局はこのほど要求どおり説明会を開催することを新宿連絡 会に伝えてきました.説明会は,次回の街頭相談の前,10 月 13 日午前 9 時 半から新宿西口の自転車置き場前で行なわれます.
以下は昨日 8 日,新宿の仲間向けに配られた新宿連絡会のビラです.
仲間たち!ついにやった!
強制排除-収容政策をやめろという俺たちの声は,大きな山を動かしつつある. 排除-収容は無理だと判断した東京都は福祉局の単独事業として「自立支援策」 を行なうことを余儀なくされた.しかも,8・25 の事態以降,俺たちを当事者 団体としてようやく認知し, 9 月 12 日に提出した「要請書」に沿い「街頭相談」の前に当該野宿者全 体への説明を行なうことを確約し,本日それを発表した.更にこの説明会では, 2 か月で放り出し, ケタオチ飯場にあっせんした芝浦寮のようなことはしないという「自立支 援策」の具体的な改善案を指し示す予定で有るという.「街頭相談」日時は 10 月 13 日(月),場所は三井ビルと住友ビルの間の新宿区自転車置き場前, 説明会は 9 時半から,相談は 10 時から 11 時半までだ.
「話し合い拒否」を一貫して続けてきた東京都がようやく,俺たちの存在を認 め,俺たちの前に出,俺たちとの「話」をする.これを仲間の闘いの「成果」 と言わず何と言おうか? 本年の過酷な連続した闘いによって,東京都をそこ まで追い込んだことを素直に確認しよう.そして改善された「自立支援策」が 俺たちのタメになるものであれば,素直に利用していきたい.もちろん,25 名 だけであるとか,門限の厳しいかつ管理上問題を起こしている新光館であると か,仕事は自分で職安などを通して探しに行くとか,批判点はある.しかし排 除とセットではなく,かつ入所者を途中で放り出さない施策であれば,俺たち が活用しうる選択肢の一つとして利用価値は十分あると考える.初めての試み だけに不安はあると思う.寮の中で不利益等あったら即座に反撃し,更に改善 をかちとらなければならないだろう.もちろん,入るか入らないかは仲間たち の自由意志である.そのためにもまず,説明会に参加しようと呼びかける.苦 節4年の闘いの中でようやく都を引きずり出した成果を俺たちは仲間と共に共 有化したい.来週月曜,朝 9 時インフォメ前に集合して説明会へ!
東京都の「自立支援センター」構想及びその雛型としての「自立支援事業」に対し て,私たちは,
の 3 点から,計画の実施自体に反対していましたが,今回,当事者への説明会 実施,施策内容の根本的な変更(詳細は説明会の場で明かになる予定)とその 3 点がクリアされたことは運動の成果であると考えます.今後は本当に仲間の ためになる対策にさせていくため,入所する仲間と共に監視とさらなる改善を かちとる闘いを進めていきたいと思います.
東京都にとっての野宿労働者はこれまで,排除されるにしても,収容されるに しても,いつでも何かを「される」対象でしかありませんでした.今回の都の 方針転換は,何よりも都が野宿を強いられている人々の存在を認め,「権利主 体」として認知した,という意味で(当たり前ではあるが)画期的な意義を持 つものと考えます.もちろん今回の決定は福祉局だけのものであり,建設局の 排除の姿勢が変わった訳ではありません.しかし,今回の方針変更をかち とったことにより新宿の闘いは新たな段階に入っていくと考えます.
今後とも新宿の闘いへのご支援,ご注目をお願いいたします.