’99「科学と平和・国際週間」へのよびかけ


 11月11日を含む週が「科学と平和・国際週間」です。この週間は「科学者による国際平和週間」として1986年にドイツのH.Bramhoff氏の提唱によって始まり、1988年12月の国連決議「科学と平和」を受け名称を変更したものです。

 この運動の特色は、それぞれ主体性を持った各地の行事をこの週間に集中して行い、互いに連絡を取ることによって世界規模のひとつの運動とすることにあります。世の中には東西冷戦の終息から一時世界平和の実現への期待がありましたが、いまや冷戦時代以上に武力が使われ平和運動の意義は増えこそすれ減少していません。
 ここ一年だけでも、コソボ紛争、東チモール住民投票後の混乱、各地の国境紛争など、戦争や紛争が絶えません。国内でも日米ガイドライン法案の成立、PKF凍結解除の議論、また国旗国歌法案の成立、憲法改正の論議への端緒などが見られ、平和の観点から心配なことが多くなっています。
 このようなときこそ平和への行動はいっそう重要でしょう。いま行動を止めてしまっては、車が坂を転がるように、日本も戦争をする”普通”の国家へ逆戻りしてゆくに違いありません。

 呼びかけ文で数年来取り上げて来たホルモン撹乱物質の問題は、ようやく「環境ホルモン問題」として人口に膾炙するようになりました。しかしこの問題の解決は非常に難しく、文明自身の再検討が要請されています。
 東海村の原子炉燃料処理工場での臨界事故は、私たちに大きな衝撃を与えました。科学の成果が恐ろしい結果を招きました。科学者、技術者の責任は重大です。
 トルコ、ギリシャ、台湾では大地震による大きな被害が出ています。倒壊する近代的な大きなビルを見ると技術の限界かあるいは手抜き工事なのか、いずれにしろ科学・技術がもっと有効に使われる必要性を感じます。

 この運動は直接的な平和の問題だけでなく、環境問題など人類の福祉へ科学を有効に用いることも視野にいれています。どうぞ各地で特色のある行事を企画してください。

 行事の計画が決まりましたら、下記連絡委員会までお知らせ下さい。
〒225−0011 横浜市青葉区あざみ野4−1−2−105 一樂重雄
Fax/Tel:045−902−7287


<呼びかけ人>:(五十音順)
秋枝茂夫(哲学)
秋葉繁夫(数学)
麻生泰弘(数学・情報科学)
板垣雄三(歴史学)
一楽重雄(数学)
井上 允(天文学)
弥永昌吉(数学)
上野 正(数学)
岡本三夫(平和学)
加藤周一(日本思想史)
鎌田定夫(平和研究)
黒川修司(国際政治)
小出昭一郎(物理学)
斎藤勝弥(国際政治)
篠笥憲爾(経済学)
佐藤裕二(技術教育)
白岩謙一(数学)
白鳥紀一(物理学)
庄野直美(理論物理学)
杉江栄一(国際政治学)
諏訪兼位(地球科学)
高橋 健(物理学)
武居 洋(医学)
田添京二(経済学史・労働経済論)
田村和之(法学)
土山秀夫(医学)
中山正敏(物理学)
鳴海正泰(地方自治論)
福富節男(数学)
古川昭夫(数学教育)
堀 重雄(化学)
三井斌友(応用数学)
松崎早苗(化学)
三輪 浩(物理学)
柳原二郎(数学)
山田 伸(機械工学)
吉川智教(経営学)


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