チェ・ゲバラ 第2回AMERICA放浪日記
 ふたたび旅へ
 
エルネスト・チェ・ゲバラ/著
棚橋加奈江/訳 
太田昌国/解題
本永惠子/装丁
四六判・上製・本体2200円+税
ISBN4-7738-0410-6 C0026
2004年11月25日 初版第1刷 発行
 
若き日のゲバラ日記、またまた発見!『モーターサイクル南米旅行日記』の姉妹編、こころ騒ぐ青春の紀行文学の続編を完訳。
「だいぶ時間が経って、いろいろな新しいことが起きた。一番重要な出来事だけを書いておこう。
1956年2月15日から父親になった。イルダ・ベアトリス・ゲバラが長女だ。話のあった五つの仕事がだめになり、小さな会社にカメラマンとして就職した。写真芸術での僕の進歩はめざましいものがある。
将来の計画は闇の中だが、いくつかの研究の仕事を終えたいと思っている。今年は僕の将来にとって大事な年になると思う。病院はもう辞めた」

――日記の末尾にこう書き記した年の11月、ゲバラはカストロらと共にヨットに乗ってキューバへ向かった。独裁政権打倒のゲリラ戦を展開するために。

日本語版解題
【著者】
エルネスト・チェ・ゲバラ・デ・ラ・セルナ(1928〜1967)
Ernesto Che Guevara de la Serna
アルゼンチン、ロサリオに生まれる。幼児のころから喘息の発作に苦しむ。それに抗うように、ラグビーやサッカーのような激しいスポーツを好み、自転車、モーペッド旅行も試みた。

ブエノスアイレス大学医学部在学中の1951〜52年の8ヵ月間、友人アルベルト・グラナードと共に、南米食をモーターサイクル、ヒッチハイクで旅行した。そのとき記していた日記は『増補新版 チェ・ゲバラ モーターサイクル南米旅行日記』として刊行され(小社刊)、その無鉄砲で、情熱的な貧乏旅行ぶりが若者を心を捉え、ロングセラーとなっている。

いったん帰国し、医師資格を得たが、1953年ふたたび出国、北へ向かった。予定を次々と変えて、メキシコにまで至り、そこでフィデル・カストロら亡命キューバ人革命家と知り合い、キューバ独裁政権打倒の革命闘争に参加することになる。

この旅の途中で家族・友人に宛てた手紙は『チェ・ゲバラAMERICA 放浪書簡集』(小社刊)としてすでに刊行されているが、本書はその旅の際の日記である。キューバ革命に参加した後、帝国主義の支配を絶つ新たな解放闘争の地を求めて出国、アフリカ、コンゴでの解放闘争支援に挫折し、1966年南米ボリビアに赴いた。民族解放軍を組織したが、反帝ゲリラ闘争を全面的に展開する以前に、政府軍との遭遇戦で負傷、捕らえられ、翌日射殺された。享年39歳であった。
 



 娘と話す 左翼ってなに?  
アンリ・ウェベール/著
石川布美/訳 島田雅彦/解説
泉沢儒花(Bit Rabbit)/装丁
本体1200円+税
ISBN4-7738-0215-4 C0036 
 
好評『娘(子どもたち)と話す』シリーズ第7冊目。
政治の頽廃と欺瞞が、世界でも日本でも、これほどまでに目に余る状況の下、それを批判すべき「左翼」に、元気がない。夢と希望を失わずに社会=世界のあり方を見つめ、公正・平等・対等などの価値を復権させるべき「左翼」は、どこへ行ったのか?

1960年代フランス「パリ5月革命」の担い手であった著者が、その後の試行錯誤の果てに行き着いた地平から、左翼の現状と課題を、娘たちを相手に、分かりやすく語る。当然にも、著者の意見には、賛否両論があるにせよ、討論のベースはここに作られているだろう。

「左翼」が「サヨク」になる時代状況を、大胆に、かつ軽妙に描いた
作家・島田雅彦氏による解説付き。

 
   



 チェ・ゲバラ モーターサイクル南米旅行日記  
チェ・ゲバラ/著
棚橋加奈江/訳
本永惠子/装丁
四六判・上製・本体2200円+税
ISBN4-7738-0408-4 C0026
 
「世界で最も美しい革命家」チェ・ゲバラの若き日の姿。
無鉄砲で情熱的な毎日を綴る放浪日記。
青春文学の傑作として親しまれてきた本作品がついに映画化。今秋、世界各国で公開されます。

「モーターサイクルダイアリーズ」
製作総指揮:ロバート・レッドフォード.監督:ウォルター・サレス
主演:ガエル・ガルシア・ベルナル
配給:日本ヘラルド映画

2004 年カンヌ国際映画祭でも高い評価を得た、この秋いちばんの注目作です。小社では、写真を差し替えてゲバラの講演などを新たに加えた増補新訂版の刊行を準備中。映画公開に先駆けて発売します。
版元ドットコムの記事



 呪われた愛  
ロサリオ・フェレ/著
松本楚子/訳
本永惠子/装丁
四六判・上製・本体2500円+税
ISBN4-7738-0407-6C0097
 
大胆なストーリーの展開! パロディーに満ちた精神が描く快作。

カリブの海に浮かぶ小島プエルトリコ。最初はスペインに、ついでアメリカ合衆国の支配に翻弄される祖国を舞台に繰り広げられる物語。

いまは失われた楽園、不正も飢餓も存在しないことになっていた「理想」の封建的な農業社会が生んだ独立派の架空の英雄政治家ウバルディノをめぐる真実を、複数の証人が明かしてゆくスリリングな展開。郷土小説家と息子が語る、いわば公式的な解釈に立ち向かい、疑問を呈するのは3 人の女性――妻、奴隷、看護婦である。

彼女たちが日常の言葉で語るのはゴシップであり、嘘であり、言いたい放題の中傷であるが、しかもなお真実なのである。映画「羅生門」にヒントを得て描かれた豪快な作品。タイトルとなった本編の他に、破滅に誘う愛を描く中篇『贈り物』『鏡の中のイソルダ』『カンデラリオ隊長の奇妙な死』を収録。
著者ロサリオ・フェレは1938 年プエルトリコのポンセ市に生まれ、アメリカ合衆国で教育を受けた。

現在もニューヨークで作家活動を行うかたわら大学で教鞭をとっている。主な作品に『パンドラの書』『見えない家』『ラグーンの家』『エキセントリックな隣人』などがある。性差、層差、国籍の差――あらゆる差別に鋭い批判の眼を向けるフェレの筆は、あいまいな「女性擁護」論や国家権力のまやかしを、辛辣に暴きださずにはおかない。




 娘と話す アウシュヴィッツってなに?  
アネット・ヴィヴィオルカ/著
山本規雄/訳 四方田犬彦/解説
泉沢儒花(Bit Rabbit)/装丁
本体1000円+税
ISBN 4-7738-0405-XC0036
 
フランスで話題の「娘/子どもたちと話す」シリーズ、待望の翻訳刊行再開!

どうしてベルトの腕には数字の入れ墨があるの?
ゲットーって、いったい何のことなの?
みな殺しにしたいと思われるなんて、ユダヤ人はいったい何をしたの?

虐殺をした人は自分が悪いことをしているとは思っていなかったの?
後悔もしなかったの?

 
   



 「国家と戦争」異説 戦時体制下の省察  
太田昌国/著
四六判・上製・本体2800円+税
ISBN4-7738-0402-5
 
『「拉致」異論』(太田出版、2003年刊)で画一化した拉致報道に一石を投じた著者が、大国の政府とメディアが一体化して、これまた異論を許さないま
まに進行する「反テロ戦争」と自衛隊出兵の論理を徹底批判。戦争をついには廃絶し得ない「国家」の論理から解放されて、人びとが進むべき道を模索する。
【主な目次】
第1章 戦争の時代に
 崩れゆく言葉――有事・戦時下の言論状況
 「現在」と「過去」を歴史に繋ぐ論理 など。
第2章 「テロ」事件と報復戦争を解読する
 批判精神なき頽廃状況を撃つ
 けしとミサイル
 戦争行為をめぐるゴリラと人間の間 など。
第3章 右派言論徹底検証
第4章 ナショナリズムの解体へ 
【著者紹介】
太田昌国(おおた まさくに)
1943年、北海道釧路市に生まれる。
1980年代半ばから、現代企画室の編集者として、第三世界の歴史・思想・文学、民族問題、南北問題、帝国主義論などに関連する書籍の企画・編集を多く
手がける。80年代初頭からラテンアメリカを軸とした独自の第三世界論を執筆し、最近は日本の政治・社会・文化状況をテーマに、書籍・雑誌・Web・講
演会などで幅広く意見を発表しつづけている。
主な著書に『「拉致」異論』(太田出版)『日本ナショナリズム解体新書』『ゲバラを脱神話化する』『<異世界・同時代>乱反射』『千の日と夜の記憶』な
ど(いずれも現代企画室刊)
TBSラジオ『永六輔その新世界』番組内で本書が取り上げられました。




 いま、そこにいる良寛  
北川フラム=編
財団法人ニューにいがた振興機構/表参道・新潟館 ネスパス=監修
A5判・280頁
定価:本体2,800円+税
ISBN4-7738-0403-3 C0095
 
新潟県の総合情報館「表参道・新潟館
ネスパス」において、連続して開催されましたレクチャーシリーズ「いま、そこにいる良寛」(一九九九年三月一二日―二八日)の講演と対談を収録し、併せ
て、同館にて同時開催されましたアート作品・エッセイ・詩による「良寛讃歌展」に出展されましたエッセイと詩を掲載しています。
講演・対談:大岡 信/早坂 暁/石山修武×佐藤 健/新井 満×藤沢 周/松原泰道/岡井
隆×小林恭二/関川夏央×工藤美代子/清水邦夫×真野響子/小島寅雄×谷川敏朗

エッセイ・詩:平山征夫/吉増剛造/藤本義一/下重暁子/原広司/佐佐木幸綱/佐野洋子/坂本龍彦/伊藤玄二郎/竹原素子/矢川澄子/立松和平/牧
太郎/板橋興宗/如月小春/水野るり子

 



 ファルージャ 2004年4月   
ラフール・マハジャンほか/著
 益岡賢+いけだよしこ/編訳
新書判上製・224頁
定価1500円+税
ISBN4-7738-0404-1 C0022 Y1500E
 
日本の自衛隊は、どんな戦争に荷担しているのか。
イラク占領米軍によるファルージャ包囲戦。
「これは犯罪である。そして、私たち皆にとっての恥辱である」

イラクに留まる人道援助活動家たちが 21世紀初頭の「ゲルニカ」「南京」の実態を報告する。
米軍狙撃兵が救急車を撃つ、女性と子どもたちを撃つ。その光景を見たイラク人は言った。「私は47年間、バカだった。ヨーロッパの文明とかアメリカの文 明といったものを信じていたんだ」
「アメリカがどんな自由を持ってきてくれたというんですか。マシンガンの自由? なら私が銃を取ってあなたを撃つのも自由なんですね」

【目次】
ファルージャ背景 益岡賢
地獄の扉を開く ラウール・マハジャン
第1章 ファルージャ 2004年4月10日・11日
恐怖は怒りに変わっている――イラク人レジスタンスの報告 ラフール・マハジャン&エイミー・グッドマン
ファルージャからの報告――我々はファルージャを「救済」するために破壊せねばならない ラフール・マハジャン
米軍はファルージャで民間人を虐殺している ダール・ジャマイル
ファルージャの目撃者より ジョー・ワイルディング
第2章 バグダッドより 
イラク人の心をつかむ ラフール・マハジャン
バグダッドの医師たちの報告――米軍はファルージャでクラスター爆弾を使用し、患者にいやがらせをしている ダール・ジャマイル
「帝国ノート」より ラフール・マハジャン
第3章 ファルージャ 4月13日〜15日 
ファルージャへ戻る ジョー・ワイルディング
解説 イラク侵略と日本 益岡賢



 ラカンドン密林のドン・ドゥリート カブト虫が語るサパティスタの寓話 6

マルコス副司令官/著
小林致広/編訳
四六判・上製・272 頁
定価2,500 円+税  2004 年4 月刊行
ISBN4-7738-0105-0

驚くべき文章生産量をほこる、メキシコはサパティスタ民族解放軍のマルコス副司令官。
なぜ書くの? と問われて「文章を書いていないと、発砲してしまうからだよ」と、悠然と人を喰った答え方で応じるマルコスがラカンドン密林の住民、カブト虫のドン・ドゥリートに託して語るつかみどころのない、世にも不思議な物語。
共感する者に一理あり、腹を立てる者にも一理あり。いずこを眺めても、混沌たる過渡期の現在、ここには何か新しいものが生まれてくる時の、表現スタイルの模索の跡がくっきりとある。
カブト虫が語るサパティスタの寓話これは政治文書か、文学か、寓話か。はたまた、密林でやるべきことのないゲリラの、スキャンダラスなお遊びか。

【著者紹介】
マルコス副指令(Sup Marcos)
メキシコ・チアパス州で1994年に反政府・反グローバリズムの主張を掲げて武装蜂起したEZLN (サパティスタ民族解放軍)に属する、非先住民族出身のスポークスパースン。

メキシコ政府は実在の誰某であると特定しているが、人前ではつねに覆面をして素状を明かさず、その半生も不明の謎の人物。

「文章を書いていないと発砲してしまうからだよ」と自ら語るくらい、驚くべき文章生産量を誇る。メキシコ政治・社会論、時事評論、文化評論、インタビュー、寓話など、その多彩な表現は、今後も順次小社から刊行予定。(写真=佐々木真一)

【登場人物紹介】
カブト虫ドゥリート(Durito)
メヒコ(メキシコ)と呼ばれる国の南東部、ラカンドン密林で1985年12月に生まれたカブト虫。市民としての名はナブコドノソルだが、その名で知る者はおらず、「ドゥリート」がゲリラ名であり、遍歴の騎士としての名でもある。新自由主義に対して断固として敵対する者。



 彼岸は廻る 越後妻有版「真実のリア王」写真記録集 6

森山大道/写真
中塚大輔/構成 
クリスチャン・バスティアンス/作、演出
A4判・220頁 
定価:本体3,800円+税 
ISBN4-7738-0401-7 C0072

2003 年夏、オランダ政府・文化機関の全面的な協力のもとで実現した話題の舞台を、写真家・森山大道の対象の内奥にまで迫るレンズを通して紙面に再現。
越後妻有版「真実のリア王」は、オランダのアーティスト、クリスチャン・
バスティアンスが、新潟県は越後妻有地域(十日町市、川西町、津南町、中
里村、松代町、松之山町)に数ヶ月間滞在し、現地の老人たちにインタビュ
ーを重ねながら翻案した「リア王」を、そのインタビューを受けた老人たち
が舞台で演じるというもの。
昨年夏、同地域で開催された「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2003」のオープニングイベントとして、同じくオランダの建築家MVRDV 設計による「まつだい農舞台」にて上演され、大きな反響を呼んだ。
このもう二度と再現できない奇跡の舞台を森山大道氏が撮影。写真集の構成は、広告デザイン界の鬼才、中塚大輔氏が手がけた。




 大地の芸術 民越後妻有アートトリエンナーレ 6

大地の芸術祭・花の道実行委員会東京事務局=編、全264頁・カラー写真300点以上(安斎重男ほか撮影)
執筆:中原佑介、北川フラム、ジェームズ・パットナム、川俣正ほか
本体4,200円+税
IISBN4-7738-0400-9 C0071

デザイン:太田三郎、アートディレクション:中塚大輔

吉新潟県、越後妻有(十日町市、川西町、津南町、中里村、松代町、松之山町)全域762km2 を舞台にくり広げられた、2 回目の国際野外芸術祭(トリエンナーレ)の記録。
世界中の名だたる美術家、建築家が過疎・高齢化に悩む中山間地に集い、50 もの集落の住民たち、800 名を超えるボランティアと協働してつく
りあげた50 日の祭典。固有な時間の流れを含む「里山」の空間に生まれた、新たな祭りの予感。
参加アーティスト(23 カ国157 組)
美術:クリスチャン・ボルタンスキー、ジェニー・ホルツァー、キキ・スミス、蔡國強、草間彌生、川俣正、日比野克彦ほか
建築:MVRDV、原広司、手塚貴晴+由比、ペリフェリック、カサグランデ& リンターラ、R&Sie 建築事務所ほか
音楽・舞踏・パフォーマンス:中馬芳子+スクール・オブ・ハードノックス、鬼太鼓座、ニブロール、巻上公一、渋さ知らズほか

そのほか、一線の評論家・ジャーナリストによる論評、美術教育シン
ポジウムや地球環境セミナー(基調講演:緒方貞子)などの報告、地
元住民など参加者の声を満載。現代美術のひとつの到達点を示す1 冊。




 茅原華山と近代日本 民主主義を中心に 6

孫国鳳/著
A5判・上製・336頁
定価4500円+税
ISBN4-7738-0312-6 C0021 Y4500E

吉野作造より早く民本主義を唱え、普選運動にも力を注いだ茅原華山は、なぜ、日本近代史研究のなかで軽視されてきたのか。

著者は、華山の全生涯の足跡を丹念にたどりながら、華山の主張に内在していた限界・矛盾を描き出しつつ、朝鮮併合や中国への進出など大陸政策を批判し陸軍不要論にまで至っていた華山の先見の明と可能性を浮かび上がらせる。

20世紀初頭の近代日本に新たな光を当てる中国人留学生の力作。

(主な目次)
序論  茅原華山研究の視角
第一部 思想の形成と初期の政治観
 第一章 思想の形成
 第二章 地方新聞時代の立憲政治と対外論(1892?1903年)
第二部 民本主義論の展開と挫折
 第三章 『万朝報』の時代(1904?1914年)
 第四章 「第三帝国」の時代(1913?1915年)
第三部 民主主義実現の前提:民生維新
 第五章 『洪水以後』と『日本評論』(1916?1919年)
 第六章 『内観』の時代(1920?1928年)
結論  民本主義と華山

【著者紹介】
孫国鳳
1956年 中国北京市生まれ
1979年 中国北京師範大学外
国語学部日本語学科卒業
1987年 翻訳士
1997年 東京外国語大学大学
院修了、学術修士
2002年 東京大学大学院修了、
学術博士