TBSラジオ『永六輔その新世界』と現代企画室


2004年7月10日(土) TBSラジオ『永六輔その新世界』(8:30〜13:00)で、次の
ような放送が流れました。大意を紹介します。

前の番組の最後で中村尚登さんが、ハンセン病に関わる映画の紹介をしているのを、別スタジオで聞いていた永六輔さんが「あのチェ・ゲバラがハンセン病院でボランティアをしていたんですよね」と言って介入。

その後、永六輔さんの番組に移行して、この一週間の永六輔さんの過ごし方を回顧。

「『モーターサイクル・ダイアリー』という映画を観ました。1960年代、ぼくらの世代にとっては、チェ・ゲバラは憧れの人物でした。

あなた(相手の若い女性のアナウンサー、外山えりさんに向かって)知っている?」
「チェ・ゲバラ? いや知りません」

「カストロは知っているでしょ? あのカストロと一緒にキューバ革命を成功させた人物です。ゲバラはその後ボリビアへ行って、死んでしまうのですが、そのゲバラが若いころ、モーターサイクルに乗って放浪の旅をしていて、その途中でハンセン病院でボランティアをしていたことを知って、びっくりしました。

患者と抱き合う、握手はする、そんなことするなと周りから言われていたのをすっかり無視して、そんなふうに振る舞う。びっくりしました。実は、原作は翻訳されています。

現代企画社というところから、出ています。この現代企画社というのは、面白い本を出している出版社で、最近ここから、太田昌国さんの『「国家と戦争」異説』という本が出ました。

この本に、この番組のことが何回も出てきます。硬い本ですよ。硬い。」

「えっ?」「はい、コマーシャル」

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土生三太郎「さきほどのゲバラの本について、お問い合わせがきています」

「現代企画室という出版社から出ています。『モーターサイクル・ダイアリー』というタイトルです」

「それは映画のタイトルですか? 本も同じですか?」

「そうです。本も『モーターサイクル・ダイアリー』です」

「太田さんという人が書いたのですか?」

「いや、これを書いたのは、チェ・ゲバラです」

「太田さんというのは?」

「それについては、後で触れます」

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「私は、この番組に対して、いい番組だとか褒め称える投書はいっさい紹介してきませんでした。NHKなんかでよくやってるでしょ? 

自分の番組が、良いっていう投書を得々として紹介していることが。そういうことは、いっさいしませんでした。

それとは違うので、紹介します。さきほど触れた現代企画室から出た太田昌国さんの『「国家と戦争」の異説』、『「国家と戦争」の異説』という本です」

「おおたに・まさあきさん?」

「太田昌国さんです。マサは、昌子さん【永六輔さんの、亡くなったお連れ合いの名前】のマサです。ぼくは太田さんを知りません。太田さんもぼくのことをあまりご存知ないと思います。というのは、こう書いているからです。

「素直で、黙従し、受身の市民を作り出すテレビ政治の誕生」という文章で、こう言います。

【以下、252頁の最初の8行を読む】

それから「不気味なアジテーションの根拠と無根拠」という文章では、こう書いています。【154頁から157頁までをほぼ全部読む】。

ね、この番組を全部聞いて、こう書いているのです。あ、ぼくらって、こんなことをやっていたんだ、と思えてくるのね。

同じ出版社の本を2冊続けて読むってことは、あまりないでしょ? でも、『モーターサイクル』もこの太田さんの本も、同じ現代企画室の本だったんです。

めずらしいでしょ? こういうことって。でも難しい。実に難しい本です」 

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