IMF、世界銀行、WTOといったブレトンウッズ機関との関連はどのようなものですか?

 IMFと世界銀行はサミットの合意内容を実施する有力な機関です。

IMFとは国際金融システムの安定のために、1944年にアメリカのブレトンウッズで設立され、現在、184ヶ国が加盟する国際金融機関です。IMFの姉妹機関にあたるのが、世界銀行です。この機関はIMFとおなじく1944年に設立され、現在では加盟国184ヶ国を誇っています。もとは、戦後ヨーロッパの復興支援をするために設立されたものでしたが、ときがたつにつれて役割が変化し、現在では第三世界の開発を公的に財政支援する機関となっています。

 IMFと世界銀行の特徴は、投票権の配分が国連のような一国一票制ではなく、一ドル一票制であることです。これはつまり、資金のある国が実権をにぎれるということを意味しています。たとえば、G8諸国はIMFと世界銀行において、およそ半数の投票権をもっています。その影響力はきわめて大きく、サミットの合意はまちがいなく政策決定に反映されます。とくに、IMF、世界銀行の〈構造調整プログラム〉は、サミットで話しあわれた新自由主義にもとづいた政策であることは疑いようがありません。

 1980年代のはじめまでに、IMFと世界銀行は第三世界の国々にぜったいに返せないような額の借金を貸しつけました。借りた国のなかには、メキシコ、アルゼンチンのように破綻してしまい、債務危機におちいったところもあります。こうした国々にたいして、IMFと世界銀行は、条件付きで追加融資をおこないました。その条件というのが、〈構造調整プログラム〉にしたがうことです。

※ 詳細は別項目を参照のこと。

1980年まで、先進諸国はサミットの合意のもとに、第三世界の市場を開放させようとしていましたが、ときとして反発をうけることもありました。しかし、この借金漬け政策のあと、ラテンアメリカ、アフリカ、アジアの国々は、完全に新自由主義政策に従属するようになりました。IMFと世界銀行は、サミットでの話し合いを促進する役割をはたしてきたといえるでしょう。

GATTおよびWTOに対してサミットは積極的な支持を与えてきました。これはサミットの出発点から変わることのない基本スタンスです。たとえば、2005年のグレンイーグルス・サミットでは「WTOドーハ開発アジェンダ(DDA)の成功裡の妥結は、経済成長の創出、開発の可能性の創出及び世界中の生活水準の向上のための最も効果的な方法の一つとなろう」としてすべてのWTO加盟国に対して、2006年末の香港での閣僚会議に向けて「交渉を妥結させるために一層の切迫感をもって作業を進めるよう求める」と強い態度を表明しました。2007年のハイリゲンダム・サミットでは、頓挫しているドーハラウンドのプロセスを推進することを積極的に打ち出し、「すべてのWTO加盟国に対して、交渉が迅速に成功裡の妥結に至るよう、建設的な柔軟性を示すよう呼びかける」といった対応を続けています。