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西陣プロジェクト その4〜機料編 佐内機料店さん
2001年 4月28日取材
ものづくり職人列伝

「ものづくりの遺伝子」

ご主人は当店の三代目。店を継ぐきっかけとなったのは、祖父から受け継いだ「ものづくりの遺伝子」でした。 

店のご主人は、幼い頃からものづくりが大好きでした。祖父から貰った大工道具をおもちゃに、ものづくりにいそしんでいたといいます。手の器用さを知る周りの人々から後押しされ、24歳にて生家である機料店を継ぎました。もっとも本人はエンジニアになりたかったそうです。

機作りは独学で学びました。子供の時分から職人たちに機の修理を頼まれ、試行錯誤するうちに覚えたそうです。

当時職手さん達によく言われた言葉が
 「ぼんに機が直せたら、逆立ちして歩いたるわ!」
 「でも」とご主人は目を細めます。
 「ほんまに歩いた人はいませんでしたなぁ」

説明してくださる佐内機料店のご主人

店内には手織りの織機が並びます 機料店の仕事

仕事は織り道具の生産・販売が中心です。機に関しては、製作から建てこみ(組み立て)、修理まで一式請け負っています。注文に応じて折畳式の機を開発したこともあります。この機は組み立て作業がわずか数分でできる上に、価格は従来の四分の一以下との厳しい条件もクリアしたとか。今も、機の改善や様々な注文に創意工夫を凝らし続ける毎日です。

また織り道具の模型も作っています。これが実に精巧で、しかもなんとも風雅な味があるのです。これらの模型は、西陣織会館ほか全国各地に展示されています。お店のあちこちにも置いてありますから、来店の際にはぜひ探してみてください!

良い機ってどんな機?

さてここで、良い機とはどんな機なのでしょうか。
一言で言うと「使いやすい機である」ということです。何よりもまず、頑丈で狂いがないこと。そのためには材料となる木を十分に乾燥させることが大切です。なぜなら、伐採してしばらくの間、木は乾燥するにつれて収縮する為、どうしても反りや狂いが出てしまうのです。
また織手さんの身の丈に合った大きさであることもポイントです。

よい機を作りつづける

説明してくださる佐内機料店のご主人

生産中止の脅威

今、プロの織り手が使う道具が次々と生産中止に追い込まれています。趣味として機を嗜む人は増えているものの、職業として取り組む人は減る一方です。玄人用の道具の注文数が激減した結果、小ロットでは採算が合わなくなって様々な道具の生産が打ち切られました。残る道具もいつ店に卸せなくなるか、わからないのが現状です。 

このまま機作りの技も途 絶えてしまうのでしょうか?
私達の問いかけに対し、ご主人の回答は明快でした。

「機織が時代に求められるものであれば、残っていくでしょう」
「私自身弟子を取って技術を伝えることはしませんでしたが、成してきた仕事は機として残っています。機があれば、必要とされた時に技術を甦らせることができます。かつて私がそうしてきたように、ものがあればそこから技は学び取れるのです」



使い手に伝えたいこと

−最後に、使い手にこれだけは伝えたいことを教えてください。
 「最近機の良し悪しが見分けられない人が増えてきたのは、残念なことです。せめて生涯の仕事として織りに取り組む人たちには、良い機を使って欲しいですね」

作業場での様子

店内の機料たち

機料店とはどんなお店なのでしょうか?

機料店とは、機織に使う道具や機そのものを販売しているお店です。
外注した部品を組み立てた機も多い中、ここ佐内機料店ではご主人自ら作った機を販売しています。


ちょっと一言 「外材について」

近年日本産の十分に成長した木では値が合わなくなってきたため、松は外
材を使っています。外材に穿たれたホッチキスの芯(タグの留め付けに使われ
る)に泣かされています。何かの拍子でタグだけが外れてしまうと、毛羽立っ
た小口に潜む透明なプラスチックの芯はまず見つけられません。気付かずに
鉋(かんな)をかけると薄く砥がれた歯がひっかかり、ボロボロに欠けてしまう
のです。

大切なのは力のかかるところ

  糸繰り in ボトル
素敵な模型は、娘に何かを残してやりたいとの思いで作り始めたものだとか。   趣味のボトルシップと本業が合体!「ボトル糸巻器」
仕事の合間をぬっての10年がかりの大作は「非売品です」

この機で体験できます 

お店の紹介です!
 土曜日の午後には簡単な手機の体験もできます。
興味を持った方は、必ず電話で予約してくださいね。

 連絡先 佐内機料店
京都市上京区芦山寺通千本東入二丁目
 TEL/FAX 075-441-1818


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