沖縄知事選挙報告

地位協定の見直しを求め、

新たな基地建設を許さないつどい

質疑応答(抄)

Q:質問、A:新崎盛暉さんの答え


Q:

 県外移設ではなく国外移設に絞って運動を進めるべきではないか?

A:

 (沖縄における基地問題の解決は)「県内移設なき基地の整理・縮小・撤去」であるべきだ。県内に受け入れるのか、県外に持っていくのか、基地の存在を前提にした議論をすべきではない。その前提こそ問い直す必要がある。県外というと、たとえば本土移設と言ったら本土から反発があるだろう、国外だったらいいのではないか、みんなが賛成するだろう、と言った考えでは大きな力にはなりえない。そのくらいだったら本土移設と言った方がいい。そういう形の突き付けをやるべきだ。つまり、安保を認めるか認めないか、安保が有るから基地があるわけで、ここのところを問うことなしにあっちに押したり、そっちへ押したりしても問題は解決しない。安保を問い返せと言う意味では、グアム・ハワイというよりは本土と言った方が筋が通る。安保を問い返さなければ問題は解決しない。

Q:

 東江が基地の候補地になっているようだが?(東江出身者の質問)

A:

 名護東海岸はだめで、北部の陸上ならいいと言うことでは決してない。海上基地に反対してきた名護や宜野湾の人々も当然一緒に反対するはず。(稲嶺の言う県内移設は)不可能だと思っているが、何もしなければ不可能は可能になる。われわれがこれまで積み上げてきたことがあるから不可能だと言っているので、われわれが手を抜いたら、不可能が可能になることもあり得る。

Q:

 収用委員会での今後の闘いは?

A:

 収用委員会としてできること、収用委員会に要求したことはこの前の公開審理で終わっている。これからは公開審理でできなかったことを裁判できちんとやる方針。同じパターンで反基地運動を盛り上げるのは無理であり、一日も早く安保そのものを問うというところに、踏み込んでいかねばならない。もちろん反戦地主に対する圧力は全力でバックアップをつづけるが、反戦地主におんぶされた闘いは終わった。自分たちの反安保・反基地闘争を作り出していかなくてはならない。

Q:

 産業振興について

A:

 産業振興については、大田陣営と稲嶺陣営では全く差がなかった。稲嶺陣営は、「政府には沖縄振興プロジェクトが用意されている。大田知事がそのバルブの栓を閉めてしまった。私がそれを開ける」という。つまり、中身は一緒。全県フリーゾーンを主軸とする「国際都市構想」なるものが沖縄に適した未来社会を構築できるのかについては、疑問を持っているし、批判的な見解を述べたこともある。

 基地がなくなったらこんなに豊かになると言う話ではない。ある意味では、沖縄も豊かである。ヤマトはもっと豊かである。沖縄は県民所得が日本の中では最低であるが、OECDの中堅国であるイタリアやイギリスと較べても統計数字上の所得水準はおなじレベルにある。むしろ、十分に豊かであると考えなくてはならない。豊かさが偏在しているという社会内部の不平等制に問題があるのであり、それが全世界に広がっていることを認識しなくてはならない。富の偏在を支えるものとして軍事力があり、その頂点にアメリカがあって、日本が追随している。その構造を打つ視点が必要である。

 基地がなくなったら今より豊かになりますよ、と言えるかよくわからない。むしろ言えないのではないか。言えなくても基地は反対しなくてはならない。基地が何をしているのか。たしかに沖縄に基地がしわ寄せされ、犯罪が起こり、人権が無視され、基地の被害は沖縄に集中している。しかし、基地が矛先を向けているのは、まちがいなく沖縄の外、日本の外である。そのターゲットになっている人たちをどう考える、と言う視点を少しずつでも自分たちの基地反対運動の中に取り入れて行くことが必要なのではないか。

 もちろん、経済振興、産業振興は必要だが、それは今よりも所得水準が上がっていくことではない。沖縄に適した産業とは何か、社会的な不平等ではなくて平等を追求していける経済的発展とは何なのかを追求すること。そういう視点が革新に抜けていて、振興策では、稲嶺も大田もあまり違わない状況が生まれてきた。ただ、基地を容認するかしないかのところだけで分かれてきた。しかもそこすら大田陣営はうまく出せなかった。別の社会の在り方を追求する模索が始まっていかなくてはならない。

Q:

 地位協定について

A:

 地位協定の問題は、なぜ米軍人だけが特別の待遇受けなければいけないのかということである。ややもすると、NATOや韓米行政協定との比較になりがちだが、重要なのは、なぜそうのようなものを押しつけられなくてはならないのかということを問うことである。思いやり予算も同じこと。なぜ、誰のために金を出しているのかという問題。(国ごとの比較をするのではなく)国境を越えたつながり、運動を広めていく必要がある。


 つどいでの新崎盛暉さんへの質疑応答を文書化し、要点をまとめた。文責は丸山。


沖縄知事選挙報告会・新崎盛暉さん講演記録(981201)


選挙結果について(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック 1998年11月)


沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック